Honda CT125・ハンターカブ 車両解説
今や「伝説」と化しているCT110、いわゆる“ハンターカブ”。スーパーカブをベースに野山を駆け巡れるアウトドアモデルとして’60年代に海外向けに発売をスタート。そのペットネームの通り、ハンターたちの足として、またアウトドアスポーツのお供として多くのユーザー層を開拓してきたのが初期のハンターカブのヒストリーだ。ちなみに1962年に初代ハンターカブ、C105H、1968年8月には、C50をベースに3速マニュアルミッションに副変速機、アップマフラーなどを備えてアウトドアー仕様としたCT50が国内発売されている。
ここまでをハンターカブシリーズの第一期ととらえれば、第二期は1981年10月に発売されたCT110をもってヒストリーの再スタートとしていいだろう。ただ、当時は同時期に発売されたユニークで個性的なスタイリングを備えたシルクロードに注目が集中してしまった形で(同時期に発売されたTL125イーハトーブも合わせて“トレッキングバイク”というジャンルを提唱するとされていた)、あくまで熱烈なハンターカブファンのために国内発売で応えた、というカタチだったといえるだろう。
ちなみにこのトレッキングバイクの一員として登場したCT110は、トレッキングの入門バイクとして「野や山など、雄大な自然の雰囲気を楽しみながらゆったりと走行したり、ツーリングや市街地走行など、幅広い用途に応えられる機能美を持つ新感覚のレジャーバイク」とされていた。エンジンは、4サイクル単気筒、105cc、7.6馬力のカブ方式の横型シリンダーエンジンを搭載。ただミッションはマニュアルでは無くスーパーカブと同様自動遠心クラッチのままで扱いやすさの面を重視していた。その他、スキッドプレート、アップマフラー、大型リアキャリア、5.5リットルの大型燃料タンク等を採用。
アウトドアーカブシリーズの第三期といえるのが、2013年6月に発売されたクロスカブだろう。スーパーカブ110をベースに、アウトドアイメージのスタイリングを与えた“レジャーモデル”で、アウトドア向けの変更としては、減速比の変更、バックボーンタイプのパイプフレームの採用、スーパーカブ110プロ用のロングストロークサスの採用などで、ハンターカブイメージのデザインに重点を置いたモデルとしての存在といえた。
そして今回発売開始される「CT125・ハンターカブ」へと繋がる。昨年開催された第47回東京モーターショーにコンセプトモデルとして出品されたそのもので、熱烈なハンターカブファンからは“オマージュモデル”として揶揄されることもあったクロスカブのイメージを払拭。本格的なアウトドアー仕様に回帰しようという意思が強く感じられるモデルだ。
駆動系こそマニュアルシフトでは無く、自動遠心クラッチとの組み合わせだが、エンジンは単気筒OHC、124ccのスーパーカブC125用をベースに開発、リアフレームを延長した新型フレームに搭載する。一般的なスポーツモデルと同様のトップブリッジで支持する、110mmストロークのフロントフォークやアップマフラー、アンダーガードなども装備。前後輪にはディスクブレーキも装備されている。
★ホンダ ニュースリリースより (2020年3月20日)
新型の原付二種レジャーモデル「CT125・ハンターカブ」を発売
Hondaは、アウトドアレジャーの用途に適した装備を採用した新型の原付二種(第二種原動機付自転車)レジャーモデル「CT125・ハンターカブ」を6月26日(金)に発売します。
CT125・ハンターカブは、「Super Cub(スーパーカブ)」シリーズの魅力である普段使いの気軽さに加えて、郊外へのツーリングやキャンプなどさまざまなアウトドアレジャーへの移動手段として、楽しみをより一層拡げる機能性を備えたモデルです。
車体は、スーパーカブC125をベースに、市街地走行から郊外へのツーリングや林道でのトレッキングなど、幅広い走行状況を想定した車体諸元とフレーム剛性バランスの最適化を図るとともに、不整地でのトレッキング性能をより高める装備として、110mmのストローク量を持たせたフロントフォーク、アップマフラーやアンダーガードなどを採用しています。また、ブレーキは前後にディスクブレーキを採用しています。
エンジンは左手によるクラッチ操作を必要としない自動遠心クラッチを採用した、空冷・4ストローク・OHC・単気筒124ccを搭載。市街地での頻繁な発進停止や、ツーリングやトレッキングにおけるゆったりとした巡航時など低中速域での力強さを重視した出力特性としています。
スタイリングは、スーパーカブシリーズのアウトドアレジャー向け派生モデルに共通した機能的でタフなイメージと、現代の生活スタイルとの調和を図った独自の存在感を主張するデザインとし、カラーリングは、市街地からアウトドアまで幅広い環境に調和するグローイングレッドとマットフレスコブラウンの全2色を設定しています。
- ●発売日
- ●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- 440,000円(消費税抜き本体価格 400,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- ●販売計画台数
- (国内・年間) 8,000台
- ●カラー
- 「グローイングレッド」
- 「マットフレスコブラウン」
2020年6月26日
- =CT125・ハンターカブの主な特徴=
- ●車体・足回り
- ・スーパーカブC125のフレームをベースにリアフレームを延長。ヘッドパイプまわりの補強や、追加されたピボットプレートなどにより、市街地からトレッキングまで幅広い走行状況を想定した剛性バランスの最適化を図っています。
- ・一般的なモーターサイクルと同形状のトップブリッジとテレスコピック式フロントフォークに、アップハンドルを採用。見晴らしの良いアップライトなライディングポジションとしています。
- ・路面の凹凸がある不整地 などの走行状況での車体取り扱い性を高めるため、アップマフラーやアンダーガードを採用するなど、165mmの最低地上高を確保しています。
- ・ブレーキは前後にディスクブレーキを採用するとともに、フロントのみ作動する1チャンネルABS※1を装備 。制動時の安心感をさらに高めています。
- ・前後ホイールには、足まわりを引き締めるマットグレー塗装仕上げのスチールリムにステンレススポークを採用しています。
-
- ●エンジン
- ・ハイマウント吸気ダクト採用のエアクリーナーとアップマフラーによる専用の吸排気システムを採用。市街地での頻繁な発進停止や荷物積載時の登坂路走行から、ツーリングやトレッキングにおけるゆったりとした巡航時など、低中速域での力強さを重視した出力特性としています。
- ●スタイリング
- ・ボディー各部の面構成をシンプルに仕上げながら、アップマフラー、エアクリーナーカバー、フューエルタンク、大型キャリア、鋼板フロントフェンダーなどを過度に一体化させない造形とすることで、タフな印象と現代的な印象のバランスを図ったスタイリングとしています。
- ・カラーリングは、市街地からアウトドアまで幅広い環境に調和するグローイングレッドとマットフレスコブラウンの全2色を設定。エンブレムには歴史あるHonda二輪プロダクトブランドであることを象徴する、オールドタイプのウイングマークを採用しています。
- ●その他
- ・全灯火器に、シンプルなデザインとしつつも存在感のある発光表現を可能とした省エネルギーで長寿命なLEDを採用しています。
- ・容量5.3Lのフューエルタンクを採用。長距離ツーリングなどでの安心感をより高めています。
- ・さまざまな荷物の積載に便利な大型リアキャリアを装備しています。
- ・2人乗りに対応するピリオンステップを装備しています。
- ・エンジン始動が簡単なセルフ式スターターに加え、キック式スターターも装備しています。
主要諸元
車名型式 | 2BJ-JA55 | |
---|---|---|
CT125・ハンターカブ | ||
発売日 | 2020年6月26日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.960×0.805×1.085 | |
軸距(m) | 1.255 | |
最低地上高(m)★ | 0.165 | |
シート高(m)★ | 0.800 | |
車両重量(kg) | 120 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※2 国交省届出値 | 61.0(定地燃費値 60km/h 定地走行テスト値(2名乗車時)※3 | |
67.2(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)★※4 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | 1.9 | |
エンジン型式 | JA55E | |
空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ||
総排気量(cm3) | 124 | |
内径×行程(mm) | 52.4×57.9 | |
圧縮比★ | 9.3 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 6.5[8.8]/7,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 11[1.1]/4,500 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置(PGM-FI) | |
始動方式★ | セルフ式(キック式併設) | |
点火方式★ | フルトランジスター式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 5.3 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板ダコイルスプリング | |
変速機形式 | 常時噛合式4段リターン※5 | |
変速比 | 1速 | 2.500 |
2速 | 1.550 | |
3速 | 1.510 | |
4速 | 0.923 | |
変速比 | 3.350/2.785 | |
キャスター(度)★ | 27°00′ | |
トレール(mm)★ | 80 | |
タイヤサイズ | 前 | 80/90-17M/C44P |
後 | 80/90-17M/C44P | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ディスク |
後 | 油圧式ディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | バックボーン |
■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/Thai Honda Manufacturing Co., Ltd.
■製造国/タイ■輸入事業者/本田技研工業株式会社
※2 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※3 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※4 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます
※5 走行中はリターン式で、停車時のみロータリー式になるチェンジ機構です