Facebookページ
Twitter
Youtube

レース・イベント





■レポート・写真:中村浩史

 栃木県・那須モータースポーツランド(=那須MSL)のピットレーンにズラリと並ぶ試乗車の数々。ハヤブサ、水冷KATANAにGSX-8R、GIXXERからGSX-R125、Z1、Z900RS、ゼファーまで新旧、大排気量から小排気量まで計10台あまり。ヨシムラサイクロンをはじめ、ヨシムラパーツが装着されたヨシムラカスタムバイクだ。
 パドックにはヨシムラのグッズ販売を始め、MOTUL、ブリヂストンタイヤ、RKチェーンと、ヨシムラゆかりのスポンサーブースもズラリ。
 この日、那須MSLで行なわれたヨシムラファンミーティング2025のテーマは「ヨシムラを見る聞く触わる乗る話す撮る!」。ステージイベントのトークショーを聞く、ヨシムラマシンに触わる、試乗車を那須MSLで乗る、ヨシムラスタッフと離す、そして写メ撮ってSNSに上げる! ふだん、サーキットに応援に行っても、なかなか入れない距離感でのふれあいを楽しめるイベントでした。

#ヨシムラファンミーティング2025
ステージイベントに登場、左から現ヨシムラライダーの渥美心、辻本聡さん、加藤陽平社長。
#ヨシムラファンミーティング2025
「いつも応援ありがとうございます。今年は世界耐久チャンピオン獲れなかったけど、来年こそ必ず!」(加藤陽平)

#ヨシムラファンミーティング2025
前後の日は雨だったものの、この日はきちんと晴れた那須MSL。この後も車両は増え続け、100台を軽く超えてました。
#ヨシムラファンミーティング2025
先導つきでしたが、ヨシムラカスタム車で那須MSLを走れました! 一番人気はハヤブサだったみたい!

 イベントメニューのメインは、もちろん試乗車の那須MSL走行ですが、ステージイベントのトークショーも内容テンコ盛り。まずは、加藤陽平社長、そしてライダーの渥美心による今シーズンのレース振り返りをたっぷり聞かせてもらいました。
「今シーズンは、最後の最後に1ポイント差で世界耐久チャンピオンを逃してしまいました。マシンはスズキのサポートもあって進化していて、鈴鹿8耐からは新しいスペックで戦うこともできた。精一杯やっての世界ランキング2位ですから、胸を張って2026年シーズンでやり返そうと思います!」(加藤陽平)

#ヨシムラファンミーティング2025
ヨシムラのコアファンはちょっと年齢層お高め!? 辻本さんのデイトナ話を聞き入っていました。「あの時は××が〇〇でタイヘンだったんだ」って書けない話も多数(笑)。
#ヨシムラファンミーティング2025
パドックにはMOTUL、ブリヂストン、RKチェーンが出店。いずれも長くヨシムラを支えてきたサポーターたち。

 そして、もうひとつの目玉が「604GSX-R750」のお披露目&デモラン。604GSX-Rとは、1986年にAMAスーパーバイク・開幕戦デイトナ200マイルに、辻本聡さんが参戦したヨシムラGSX-R750のことで、油冷エンジンを積むGSX-R750初期モデルをベースに組み上げられた伝説のレーシングマシン。この日は辻本さんもゲストとして参加していて、そのころのエピソードも語ってくれました。
「あの年はね、前年の1985年に全日本チャンピオンを獲って、そのご褒美にオヤジさん(故POPこと吉村秀雄さん)がデイトナに連れて行ってくれたんです。デイトナにはアメリカのチャンピオンをごろごろいてね、初めて世界を見た感じがしたんです。もちろん、負けてねぇぞ、って思ったけど。ケビン(シュワンツ)だって、なんだコイツ速くねぇなぁ、ってオヤジさんと話してたんだよ(笑)」(辻本聡)
 辻本さんはその後、その604号車でデモンストレーションラン。ヨシムラの手によって組み上げられた油冷ナナハンは素晴らしいサウンドで秋空広がる那須MSLを駆け、この604号車目当てで来場した多くのファンが見入っていました。
 そしてヨシムラは、この604号車の組み上げをきっかけに、油冷GSX-R750の絶版パーツ開発や生産もスタート。これは加藤社長の号令で『こんないいバイク、乗り続けている人がいて、もう純正パーツが手に入らないなんてもったいない!ヨシムラでできるところは作ろうよ!』という話になったんだそうです。油冷ファン、大ヨロコビ!

#ヨシムラファンミーティング2025
これが1986年のデイトナに参戦したGSX-R750を忠実に再現した604号車。こちらは辻本さんが乗ったマシンで、ヨシムラ社内で組み上げられた、別のもう一台がオークションにかけられました。
#ヨシムラファンミーティング2025
やっぱりよく似合う、604号車と辻本さん。この両車の活躍が、当時の爆発的GSX-R750ブームを加速させました。

#ヨシムラファンミーティング2025
いざデモラン! このGSX-Rからニョキッと伸びた長い脚はあの頃のまま!
#ヨシムラファンミーティング2025
エンジンはできる限りの新品パーツを使って、ヨシムラがオーバーホールして組み上げたリビルドエンジン。キャブレターはTMRブラックボディで、フレーム補強は当時のものを忠実に再現。

 さらに! 実はこの604号車は2台組み上げられていて、この日に辻本さんが乗った車両ともう一台が、オークションにかけられていたのです。
 2025年9月20日に始まった時のスタート価格は、ゼッケンにかけて604万円(+消費税=664万4000円)。「油冷ナナハンに600万円はいくらなんでも……」という声があったのは事実ですが、ヨシムラがイチから選定したパーツで、当時の辻本車にできるだけ忠実に、当時の図面をもとにヨシムラが組み上げた車両だけに、価値が分かっている人は分かってる!

#ヨシムラファンミーティング2025
「なんやオレが乗ったデイトナ車よりぜんぜん乗りやすいやないか!」と辻本さん。静かで速い、高回転を回した時のサウンドは感動的でした!
#ヨシムラファンミーティング2025
1986年GSX-R750と2025年GSX-R1000Rのランデブー。来シーズン、ヨシムラSERTモチュールはゼッケン12で戦うのかな。

 ちょうどこのイベント開催日の午前11時半が締め切り時刻だったんですが、その数時間前に750万円あたりだった価格が、オークションあるあるで、締め切り時刻間際に入札→締め切り時刻延長が続き、750万円は800万円、900万円、とうとう大台の1000万円も超え、1100万円、そして1200万円を超え、最終落札価格は1241万4000円! なんとスタート価格から577万円アップで落札されました!
 このオークションの模様を辻本さんと現場でケータイで見ていたんですが「お、上がった!」「またや!」「マジか!」「怖わなって来たぞ」「さすがに1000万円超えることないやろ」「うわ!超えた!」「1100はないよな」「わ! 1200万乗った」「ありがたいよなぁ」と大騒ぎから、ちょっと感謝で終わりました。
「どこのどなたが競り合って落札してくれたか分からんけど、本当にありがたいです。可能なら納車にもついていって、お会いしてお礼言いたいくらいや」(辻本さん)

 イベント終了時刻まで終わらなかったオークション。いまだに色あせないヨシムラ人気、辻本人気を物語る終わり方となった秋のイベントでした。
(レポート・写真:中村浩史)

#ヨシムラファンミーティング2025
604号車と1号車。ヨシムラの現在、過去、未来が勢ぞろい。みんなが乗って、話して、デモランも見られて良いイベントでした。
#ヨシムラファンミーティング2025
「いつも乗ってるんですけどね、あんまり乗ってるシーンって公開しませんもんね」と加藤社長。吉村不二雄さんは相談役となって、この日は九州・雁ノ巣会へご参加だったそう。


2025/10/29掲載