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2026年は監督に専念する 生形秀之、 地元チームが世界の舞台での活躍を目指す


「生形秀之 引退 THANXパーティー」&「move on to a new chapter ~生形秀之、新章へ~」


 2025年シーズン限りで現役生活に幕を下ろすことを決断した生形秀之が、静岡県内のホテルで「生形秀之 引退 THANXパーティー」を開催した。

 生形は1977年静岡市(現・清水区)生まれ。1995年にミニバイクレースで初参戦して以来、GP125、ST600、J-GP2へとステップアップ。2005年には地元の活性化とスポーツ振興を掲げ「エスパルスドリームレーシング」を設立した。


 オーナー兼ライダーとして全日本ロードレース選手権を戦い続け、2016年には活動の幅を広げるために株式会社エススポーツを設立。「鈴鹿8時間耐久ロードレース」参戦など挑戦を続け、2025年シーズンで現役を退いた。

 パーティーは、生形の「全日本最終戦・鈴鹿で引退レースをすることができました。支えてくれた皆さんのおかげで走り続けることができました」という挨拶で幕を開けた。

 乾杯の音頭を務めたのは静岡市長の難波喬司氏。長年にわたる生形の現役生活をねぎらい、新たな門出を祝った。

 生形は、大ケガから復活したことで知られる。その復活劇を支えた恩師として壇上に立ったのは、日本のスポーツ界・ビジネス界に科学的メンタルマネジメントを持ち込んだ第一人者、西田文郎氏。生形は「先生からの言葉がどれだけ支えになったか。『これはチャンスなんだ』と気持ちを切り替えることを教えていただいた」と感謝を述べ、西田氏も「大きな困難を乗り越えた生形さんなら、これからの成功は間違いない」と力強いエールを送った。

 リハビリを支えた医療法人社団アールアンドオーの理学療法士・西郷和史氏も紹介された。


 生形が当時を振り返った。
「骨盤がバラバラで多くの病院に断られたが、手術をしてくれる先生を見つけていただいた。術後はベッドから車椅子にも移れないほどで……そこから支えてもらいました」

 西郷氏は語る。
「限界を超えてリハビリに挑むので、僕がブレーキをかけるほど。あれで引退してもおかしくないケガでしたが、本人の強い意思があった」

 理事長の鈴木延幸氏も「よくここまで戻った」と復帰劇に驚き隠さない。

 そして入院期間に、何かを習得したいと鍛錬したけん玉を「皆さんにお見せしたかった」と披露、難しい技を決めて喝采を集めた。

 長年の支援者であるフジ物産株式会社・山﨑伊佐子社長がエールを送る。
「改めて素晴らしいライダーであり、人間だと感じました。これからも変わらず応援したい」

 会場では、生形のレース挑戦を振り返る映像が上映され、場内からは感嘆の声が上がった。

 そして式は『move on to a new chapter ~生形秀之、新章へ~』へと移る。

 生形は「目標だった全日本でチャンピオン獲得、鈴鹿8耐表彰台も4位が最高で届いていない。ライダーとして、それを叶えることは出来ませんでしたが諦めていません。西村 硝を迎えて叶えたい」と力強く語った。

 2026年、生形はチーム監督に専念しライダーに西村 硝を起用し、JSB1000クラスにスズキGSX-R1000Rでフル参戦。チーム名は「S-SPORTS・SUZUKI」、タイヤはブリヂストンを使用することが発表された。

 西村は「確実に足元を固め、期待に応えていきたい」と決意を表した。


 また、株式会社エスパルス前社長の左伴繁雄氏からもビデオレターが寄せられ、生形へ熱いエールが送られた。サプライズとして、長年支え続けた妻・麻美さんへ花束が贈呈。育成としてキッズレースに参加する若手2名も紹介され意気込みを語った。


 スズキ株式会社 常務役員 二輪事業本部長・伊勢 敬氏が激励の言葉を述べた。
「数えきれない感動を与えてくださった。生形選手との20年の歩みは、スズキにとって大きな財産。J-GP2で8年間フル参戦し、4年連続ランキング2位、通算4勝、28回の表彰台、GSX-R600開発にも尽力していただいた。鈴鹿8耐でも2度の4位という快挙を見せてくれた。育成にも力を発揮して頂き、生形選手が見出したライダーは、活躍してくれています。そこにも感謝しています。来季からの新たなチャレンジも、スズキは全力で応援します」

 最後は株式会社小林製作所 前社長・小林俊雄氏の挨拶で一本締め。会は盛況のうちに締めくくられた。生形が率いる「S-SPORTS(エススポーツ)」は、スズキのバックアップを受けて西村を次代のエースへ育成していく。

 さらに鈴鹿8耐では海外ライダーを招聘し、S-PULSE DREAM RACING・SUZUKIとして参戦予定。地元・静岡発のチームが世界の舞台での活躍を目指す。

(文・写真:佐藤洋美)

2025/12/15掲載