Facebookページ
Twitter
Youtube

試乗・解説






たいへんです! ハチタイが行なわれている鈴鹿サーキットに、いろいろニュースが投下されています! ひとつはコチラでお知らせしたホンダCB1000F/SEコンセプト、そしてお隣のスズキブースに、まさかの隠し玉が公開されていました!
■文・写真:中村浩史

スズキ「エイト」シリーズと呼ぼう
これからのスズキスポーツの軸

 ハチタイといえば、レースはもちろん、サーキットのグランドスタンド裏にある「GPスクエア」とよばれるスペースに、各メーカーのブースが展開されるのがおなじみです。4大メーカーに外国車、タイヤメーカーにパーツメーカーと、この場所のヒートアップぶりも、真夏の風物詩ですね。
 そして、今大会のメーカーブースも話題てんこもり。ひとつはホンダCB1000Fコンセプトの、東京モーターサイクルショーに続く一般公開ですが、お隣のスズキに本邦初公開モデルが展示されていたんです!
 それが、ブース入り口に展示されていた、24年春に発表され、実モデルは日本初公開となるGSX8TとGSX8TTです! これは、すでに発売されているGSX8Sシリーズ――GSX-8S/GSX-8S/Vストローム800/Vストローム800DEの新バリエーションモデル。これはもう、スズキ「エイト」シリーズと呼びましょう。

#Suzuki_GSX-8T
エイトシリーズの最新作、GSX-8T(手前)とGSX-8TT。

 実はGSX-8Sの試乗記の結びに「このハチエスのバリエーションモデルとして、もっとオーセンティックなネイキッド、GSX800Eなんてモデルが見てみたいですね」と記したんですが、スズキさん、ちゃんと見てくれていましたね。いやちがう、最初から計画にあったのでしょう(笑)。
 エンジン、フレーム、スイングアームなどの基本骨格はGSX-8S/Rと共用し、新しいモデルに仕立ててあります。スズキはここの手法がうまいですね。ひとつのプラットフォームをベースに次々と新しいモデルを生み出すと、「スケールメリット」という数の論理で、販売価格を抑えることができますから、ユーザーにとってはうれしい戦略です。

#Suzuki_GSX-8T
#Suzuki_GSX-8T
オーソドックスなネイキッドと位置付けられそうなGSX-8T。

 GSX-8Tは、エイトシリーズ初のネイキッド。丸ヘッドライトとスクエアデザインなタンクを持つオーソドックスなスタイルで、車名の「T」は、タイタンの愛称で知られる、スズキの名車T500のイメージなのだそう。うーん、タイタンにはあんまり見えないけどね。シュラウドに、数字の「8」が、ビリヤードの8番ボールっぽくあしらわれています。どちらかと言うと、GSX400 IMPULSEにも見えるデザインです。バーエンドミラーがちょっと新しさを表現していますが、エイトシリーズのスタンダードなモデルという位置づけなのだと思います。

#Suzuki_GSX-8T
#Suzuki_GSX-8T
8Tをベースにビキニカウル、アンダーカウルを装着したGSX-8TT。

 同時に展示されていたGSX-8TTは、GSX-8Tをベースにビキニカウル&アンダーカウルを装着し、1970年代のロードレーサーをイメージしたモデル。車名の「TT」はツーリスト・トロフィだと思ったら、ベースとなった8Tに「Timeless」のTを加えたのだそうです。

#Suzuki_GSX-8T
エンジンはエイトシリーズ共通のもの。8T/8TT用にモディファイが加えられているかもしれません。
#Suzuki_GSX-8T
タンクはオーソドックスなスクエアフォルム。写真は8TTのグラフィックで、ちょっと古めのレーシングマシンをイメージしたのだという。

 これでエイトシリーズは、フルカウルのGSX-8R、スーパーネイキッド風のGSX-8S、オフロードのVストローム800/800DEに、このGSX-8T/8TTと、オールジャンルなバリエーションをもつシリーズとなりました。スズキのビッグバイクスポーツは、このエイトシリーズを軸にして行くのだと思います。と思ったら!──。

#Suzuki_GSX-8T
8TTにはビキニカウルを装着。丸ヘッドライトにビキニカウルという構成はCB1000F SEと同じ。流行りそう?
#Suzuki_GSX-8T
カウルなしは8T。写真のスクリーンはヨーロッパ向けの純正アクセサリーなのだそう。

前触れなく再登場した
スズキ1000ccスーパースポーツ

 1000ccスーパースポーツと言えば、各メーカーのフラッグシップ、いわば顔と呼べるモデルです。ホンダはCBR1000RR-R、ヤマハはYZF-R1、カワサキはZX-10Rと、まさに鈴鹿8耐で覇を競っているモデルたち。スズキでいえば、GSX-R1000Rがこのカテゴリーに当たります。
 そのGSX-R1000Rですが、最終モデルの発表が2019年。その後はマイナーチェンジもなく、このままGSX-R1000Rはラインアップからなくなってしまうのだ、と考えられていました。スーパースポーツモデルと密接な関係のあるモータースポーツからも、ワークス活動を終了する、とアナウンスしたりで、スズキファンを悲しませていましたからね。
 それでも、スズキGSX-R1000Rは蘇りました! 鈴鹿サーキットのスズキブースに展示されていたモデルは、2026年モデルとして発売する、と正式にアナウンスされたもので、新たに最新の排出ガス規制もクリア。これでアメリカ、ヨーロッパでの販売も可能となったのです。

#Suzuki_GSX-8T
突如として姿を現したNew GSX-R1000R。これは白青カラー。

#Suzuki_GSX-8T
白赤カラーはちょっとラッキーストライクカラーっぽい?
#Suzuki_GSX-8T
黄色カラーはちょっとHBカラーですね。

 New GSX-R1000Rは最新の排出ガス規制、音量規制をパスするべく、エンジン内部パーツを改良。マフラーも変更し、同時に電子制御にもアップデートを加えています。
 展示車両の注目は、2024-25年の鈴鹿8耐に出場した「スズキCNチャレンジ」のマシンと同様のカーボン製ウィングレットが装着されていたこと。しかしこれは、基本的には純正アクセサリーとして販売されるパーツのようですが、一部地域向けには装着した状態での販売も計画しているようです。

#Suzuki_GSX-8T
カーボンファイバー製ウィングレットは純正オプション設定。アクセサリーではレースに使用できないため、たとえばヨシムラSERTのベースであるフランス仕様のみ標準設定、という可能性もあるかも。
#Suzuki_GSX-8T
ガス規制をクリアするためか、サイレンサーが少しロングになったイメージです。

#Suzuki_GSX-8T
マフラー形状の変更に合わせ、アンダーカウル形状も小変更があった模様。
#Suzuki_GSX-8T
カウルサイドに「40thアニバーサリー」ロゴがあしらわれます。

 実はスズキは、ワークス体制でのレース活動を休止すると発表した後、世界耐久選手権だけはヨシムラジャパンと協業しての活動継続をする、と発表しています。それもあって、2024年シーズンはヨシムラSERT MOTULがワールドチャンピオンになりましたしね、スズキとしても世界耐久選手権でのマシン開発を通じて、レース活動の重要さを再確認、それが2026年モデルのGSX-R1000R誕生につながった、とも考えられるのです。
 おそらく2026年の世界耐久選手権のマシンとしてホモロゲーションを受けるために、2025年内の正式発表となるのだと思います。
 スズキフラッグシップの復活、素直にうれしいッ!
(文・写真:中村浩史)

#Suzuki_GSX-8T
GSX-Rシリーズ40周年モデルの意味合いもあってのGSX-R1000R再登場。厳密にいうと、GSX-Rシリーズ最初のモデルはGSX-R(400cc)で1984年に発売されています。
#Suzuki_GSX-8T
電動アシストサイクルe-poの動力系ユニットを使用したミニバイクも展示されていました。e-poもまだ市販されていませんが、e-GAGとしてでも販売してくださいっ!


[CB1000Fコンセプト鈴鹿に出現!へ]

2025/08/02掲載