FIM Asia Road Racing Championship
ROUND 3 – MOBILITY RESORT MOTEGI – JAPAN
ASB1000
アジアロードレース選手権(ARRC)第3戦が、栃木県モビリティリゾートもてぎで開催された。日本ラウンドということで、全日本ロードレース選手権に参戦するライダーが数多くワイルドカード参戦しバトルを繰り広げた。昨年の鈴鹿8耐にドゥカティチームから参戦経験のあるJDT RACING TEAMのハフィス・シャリンのグリッドには、加賀山就臣監督が応援に訪れた。
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阿部が抱負を語った。
「母国ラウンドは重圧がありますが、力を示したい場所でもあり、ダブルウィンを狙っています。全日本の事前テストでトップタイムを記録できていること、全日本を戦っていたので、ライバルに比べて走行経験は多いですが、600だったので1000での走行経験は多くはない。アジア勢の中でも茂木を経験しているライダーは多く、決してアドバンテージがあるとは言えない。アジアのレベルの高さはここ2戦で味わっているので、しっかり挑みたい」
レース1決勝。スタートからハフィスが首位に立つが、Honda Racing Taikandのナカリン・アティラトフヴァパットがトップを奪う。トップを狙うハフィスのフロントがナカリンのリアにヒットし、2コーナーでハフィスはコースアウトしてしまう。追い上げる阿部は4周目にナカリンを捉えてトップに立つが、ナカリンの執拗なアタックで激しいトップ争いとなる。11周目にナカリンがクラッシュ。代わって阿部の背後にIDEMITSU HONDA RACING MALAYSIAのアズロイ・ハキーム・アヌアルが迫ったが、阿部が0.696秒差でアズロイを退けトップでチェッカーを受けた。阿部にとって嬉しいアジア初優勝となった。2位にアズロイ、3位にはIDEMITSU HONDA RACING MALAYSIAのムハマド・ザクワン・ザイディが入った。西村は4位でチェッカー。
5位には伊藤元治(MOTO BUM HONDA)、6位に豊島 怜(DOG FIGHT RACING・ヤマハ)、8位に和田留佳(Team TATARA aprilia)、10位に村瀬健琉(Team TITAN-TKR SUZUKI)、13位に井手翔太(UMA RACING MMR AKENO SPEED GREEN CYCLE)、14位に芳賀瑛人(Team TATARA aprilia)が入った。予選13番手の岩戸亮介(Kawasaki Plaza Racing Team)は体調不良により決勝の参戦を断念した。
阿部は「タイヤマネジメントが難しい厳しいレースでしたが、落ち着いて走ろうと言い聞かせてチェッカーを目指しました。母国で勝ててとても嬉しい」と安堵していた。
阿部のダブルウィンがかかったレース2決勝。ハフィスと阿部が好スタート、それを西村が追う。アズロイがA1 ENERGY BMW RACING TEAMのアピワス・ウォンタナノンと接触してリタイアの波乱となる。
阿部は6周目にハフィスを捉えて首位を奪う。そこから二人の激しいトップ争いが最終ラップまで続く。手に汗握るトップ争いは、ハフィスが24分09秒165、阿部が24分09秒378でチェッカー。その差はわずかだったが、阿部は涙を呑んだ。西村はナカリン、ザクワンとの3番手争いを制し3位となった。井手は7位、豊島は8位、村瀬は10位、芳賀は12位。伊藤と和田はリタイアとなった。
ダブルウィンならず肩を落とす阿部だが、ライバルの脱落もあり、両レースで表彰台を獲得したことで、ランキング5位から年間ポイントランキング暫定首位に浮上した。
阿部は「本当に悔しい結果になり、落ち込みましたが、シーズンの流れを考えるとランキングトップに立てたことは良いことなので、この流れを大事に後半戦に挑みたい」と決意を語った。
SS600
SS600には、全日本ロードレース選手権ST600に参戦中の南本宗一郎がHONG LEONG YAMAHA RACINGから、SDG HARC-PRO HONDA PHILIPPINESの小田喜亜門がワイルドカード参戦。南本は古巣チームから参戦しノーポイント&7位、小田喜は9位&7位となった。
AP250
AP250にはSANWA RACING TEAMの荻原涼大が2位&4位、TY Antares Racing ITAMAの高平理智が6位&5位、SANWA RACING TEAMの大久保 光が7位&8位、UMA RACING MMR AKENO SPEED GREEN CYCLEの竹本倫太郎が9位&11位、MOTUL KAWASAKI SNIPER MANUAL TECHの井吉亜衣稀が14位&18位、SDG HARC-PRO HONDA PHILIPPINESの富樫虎太郎が26位&26位、TEAM TECH2&YSSの横江竜司がリタイア&14位となった。
今季、大久保は世界耐久選手権を戦うライダーで、小排気量であるAP250をメインに戦うライダーたちとは体重が10kg以上違うが、トップ争いに加わりレースを盛り上げた。荻原や竹本もトップ争いに加わり、日本人ライダーのレベルの高さを示した。
TVS ASIA One Make Championship
ワンメイクで戦われるTVS ASIA One Make Championshipに参戦する尾野は、圧倒的な速さを示してダブルウィンを飾った。
尾野は「今シーズンはレギュレーションが変更になったことも含め、ここ2戦は厳しいレースが続いていました。土曜日の予選ではポールポジションを獲得。レース1では約4秒差をつけての独走優勝でした。ウォームアップセッションもトップタイムを記録して、レース2では約7秒もの大差をつけて完全勝利を達成できた」と喜びを語った。
次回第4戦は8月30〜31日に、インドネシアのプルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・サーキットで開催予定。
(文:佐藤洋美)