- ■試乗・文:毛野ブースカ
- ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor//
翌朝、2日目も天気は晴れ。朝風呂とバイキング料理を満喫して宿を出発。国道289号線を只見町方面に進んで只見駅に立ち寄り、そこから国道252号線を只見川とJR只見線とともに会津柳津町方面に向かう。宿から30分ほどかけて只見駅に到着後、只見駅の近くにある三石神社に参拝。只見駅からは流れの緩やかなエメラルドグリーンの只見川と時折見える只見線の線路を見つつ、緩やかなカーブが連続する風光明媚な国道252号線を走っていく。只見町を訪れたなら国道252号線はぜひ走ってほしい。
途中、寄り道をしながら国道252号線を進み国道49号線と交差したところで国道49号線を新潟県方面に向かう。交通量が多くて流れの速い国道49号線を進み、西会津ICで降りて県道16号線を喜多方市方面に向かう。県道16号線を1時間ほど走って喜多方市に到着。喜多方市といえば、みなさんご存じの喜多方ラーメン発祥の地。2019年にスズキVストローム250のインプレでも訪れた喜多方ラーメンの名店「坂内食堂」に行ってみることにした。記憶を頼りにお店に行ってみるとなんと定休日。どうしようかと悩んだが、お隣の「松食堂」が営業中だったのでここで食べることにした。事前情報なしにこの店を選んだが、行列ができるだけにここも美味しかった。ここでメーターをチェックすると走行距離は約544㎞、燃料ゲージは残り2目盛りだった。
喜多方市からは国道121号線を会津若松市、南会津町方面にひたすら進み、国道400号線を通って昨日通過した塩原温泉郷に戻り、西那須野ICから東北自動車に入って東京に戻るというルートだ。国道121号線は会津地方の主要幹線道だけに交通量が多く流れも速い。5~6速ホールドで進んでいく。晴れて気温が上がり初夏の陽気だ。喜多方市を出発して1時間もかからずに会津若松市に到着した。
会津若松市は白虎隊が自刃した飯盛山と名城・鶴ヶ城が有名だ。今まで飯盛山と鶴ヶ城は訪れたことがなかったので、この機会に見学してみた。飯盛山は多くの学生たちが見学に訪れていて、白虎隊が自刃した場所から約4キロ先にある鶴ヶ城が確認できた。一方、鶴ヶ城の天守閣からは飯盛山はもちろん会津若松市内が一望でき、会津若松市が歩んできた歴史の一端に触れることができた。
鶴ヶ城を見学したところで時刻は14時を過ぎていた。夕方過ぎには西那須野ICに到着したいので、会津若松市を出発してややペースを上げて国道121号線を芦ノ牧温泉/湯野上温泉方面に進む。芦ノ牧温泉には15時過ぎに到着。今回は足湯だけ入って終了。湯野上温泉は駅舎の前で撮影。その後、下郷町、南会津町を通過して国道400号線が近づいてきたところで急に気温が下がり、雲行きが怪しくなってきた。国道400号線に入って塩原温泉郷を抜けて、塩原温泉郷の入口にある日帰り入浴施設「みかえりの郷 彩花の湯」で休憩。ここまで走り続けてきて冷えた身体を温めた。
「みかえりの郷 彩花の湯」を出ると時刻は17時15分。辺りは日が落ちて暗くなってきた。メーターを見ると約670㎞走行して燃料ゲージが残り1目盛りになっていた。高速道路に乗る前に給油しなければならない。アシスト&スリッパークラッチのおかげで左手の疲労感は少なく、思っていたよりお尻が痛くないので、まだまだ走れそうだ。
西那須野ICを通過して数㎞離れたガソリンスタンドで給油。676㎞走行して8.70リットル給油し、前回給油してから352.1㎞走行したのでリッター40.5㎞となった。2回目もなかなか優秀な数値となった。アップダウンのある山間部や流れのいい一般道が中心だとリッター40㎞を超えることがわかった。同じ状況下においてレブル250で走るとどうなのだろうか。燃費だけでなく疲労感も気になる。いずれレブル250の実走検証が必要かもしれない。
給油後、西那須野ICに戻って東北自動車道に入って東京を目指す。行きと同じく90㎞/hで巡行する。ユニークな形状のヘッドランプは明るく、外灯の少ない地方の高速道路でも安心して走れる。バイクのお腹を満たしたので、今度はライダーのお腹を満たす番だ。カワサキKLX230シェルパで実証検証した時は宇都宮餃子は食べられなかったので、今回は上河内SAで「上河内ジャンボ餃子+ライス(並)」を注文。餃子とライスだけというシンプルな組み合わせだったが、お腹は充分満たせた。
90㎞/hで淡々と走り続けて自宅に到着したのは午後9時46分だった。ここまで863.4㎞走行し、燃料ゲージが残り2目盛りとなった。さらに翌日以降、アームズマガジン編集部を往復するなどして最終的には920.6㎞走行し、燃料ゲージは残り1目盛りになったところで実走検証を終了。自宅から1㎞先にあるガソリンスタンドで給油した。給油量は6.92リットルとなり、西那須野ICから244.6㎞走行してリッター35.3㎞となった。前回、前々回より数値は悪いが、混雑した都内を走行したからだろう。それでもWMTCモード以上の数値を叩き出した。実燃費はこの値に近いのだろう。
実走検証史上、最長の900㎞をCL250で実走した。天候とスケジュール次第では1,000㎞実走も難しくはなかったが、それは次の車種で実現させよう。900㎞を共にしてみたCL250の感想をわかりやすく言うなら「とても乗りやすい」。スクランブラースタイルからちょっとヤンチャなイメージを思い浮かべそうだが、癖がなくて全域に渡って思い通りにコントロールできる。コーナリングや高速走行も安定しており疲れにくい。乗りこなさなければ乗れないのではなく、乗りこなさくても乗れるのだ。ここにCL250やレブル250が売れている理由があるのではないかと思った。純粋に外観がカッコいいことも理由としてあるだろうが、実走して感じた乗りやすさもオーナーを惹きつけているのだろう。
そうした走りやすさに加えて250㏄クラスならではの高燃費や使い勝手のよさもツーリングだけでなく通勤・通学でも使ってみようと思わせるのに充分な説得力がある。ノーマルの状態では荷物は積載できないが、オプションパーツが豊富に揃っているので、購入をお考えの方はオプションパーツもあわせて購入することをお薦めする。特にCL250でキャンプツーリングをしてみたい方はオプションパーツの装着は必須だ。
CL250に乗車すると決めた時「レブル250の兄弟か……果たしてどうなのかな?」と楽しみと不安が入り混じっていたが、実走してこんなに楽しいバイクとは思わなかった。こうなると、お兄さんのレブル250がますます気になってきた。特に話題のE-Clutchタイプは従来モデルよりさらに乗りやすくなっているだろう。CL250にもE-Clutchタイプがラインアップされればもっと人気が出るかもしれない。でも、これ以上乗りやすくなったらどうなるのだろうか。他のメーカーが嫉妬しないだろうか。そんな余計な心配をしてしまう今日この頃だ。(完)
(試乗・文・撮影:毛野ブースカ)
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