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試乗・解説





■試乗・文:毛野ブースカ
■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor//

 翌朝、2日目も天気は晴れ。朝風呂とバイキング料理を満喫して宿を出発。国道289号線を只見町方面に進んで只見駅に立ち寄り、そこから国道252号線を只見川とJR只見線とともに会津柳津町方面に向かう。宿から30分ほどかけて只見駅に到着後、只見駅の近くにある三石神社に参拝。只見駅からは流れの緩やかなエメラルドグリーンの只見川と時折見える只見線の線路を見つつ、緩やかなカーブが連続する風光明媚な国道252号線を走っていく。只見町を訪れたなら国道252号線はぜひ走ってほしい。

#CL250
宿を出発して只見駅近くにある要害山の中腹にある三石神社を参拝。ここは縁結びのパワースポットとして知られている。
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入口からすぐに行けるだろうと思っていたら急な山道を10分ほど登らなければならなかった。本殿は巨大な岩の下にあり何とも不思議な形をしている。岩には無数の小さな穴があって5円玉を通した糸をこの穴に通して結べれば良縁が結ばれるという。

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三石神社を参拝した後でJR只見線の只見駅に立ち寄った。只見町は日本でも有数の豪雪地帯として知られており、只見線は秘境のローカル線として知られている。
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Vストローム250でも訪れた国道252号線沿いにある「大塩天然炭酸場」に立ち寄った。以前訪れた時よりも場所がわかりやすくなっていた。

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ここが炭酸場で、屋根の下にある井戸から炭酸泉が湧き出ている。

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井戸のフタを開けると炭酸泉がコンコンと湧き出ていて神秘的な雰囲気。
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国道252号線をさらに走った先にある「道の駅 奥会津かねやま」で軟水に天然の炭酸が含まれているペットボトルをゲット。微炭酸のさわやかな飲み心地はこれからの暑い季節にピッタリ。

 途中、寄り道をしながら国道252号線を進み国道49号線と交差したところで国道49号線を新潟県方面に向かう。交通量が多くて流れの速い国道49号線を進み、西会津ICで降りて県道16号線を喜多方市方面に向かう。県道16号線を1時間ほど走って喜多方市に到着。喜多方市といえば、みなさんご存じの喜多方ラーメン発祥の地。2019年にスズキVストローム250のインプレでも訪れた喜多方ラーメンの名店「坂内食堂」に行ってみることにした。記憶を頼りにお店に行ってみるとなんと定休日。どうしようかと悩んだが、お隣の「松食堂」が営業中だったのでここで食べることにした。事前情報なしにこの店を選んだが、行列ができるだけにここも美味しかった。ここでメーターをチェックすると走行距離は約544㎞、燃料ゲージは残り2目盛りだった。

#CL250
流れていないように見えるほど只見川の流れは穏やか。新緑の山々が川面に映し出されている。思えば遠くにきたものだ。
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喜多方市の名物の「喜多方ラーメン」を食べるべく「松食堂」に入店。平日にもかかわらずお客さんが並んでいた。

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喜多方ラーメンの王道とも言える「チャーシューメン」(普通盛、1,000円)を注文。しっかり味のしみ込んだチャーシューとあっさり系の醤油スープが絶妙にマッチして美味しい。喜多方ラーメンらしさが充分堪能できる。
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喜多方市に到着したところで走行距離は約544㎞。燃料ゲージは2目盛り減っていた。流れのいい一般道を走行しているのでガソリンの減りが少なく感じる。

 喜多方市からは国道121号線を会津若松市、南会津町方面にひたすら進み、国道400号線を通って昨日通過した塩原温泉郷に戻り、西那須野ICから東北自動車に入って東京に戻るというルートだ。国道121号線は会津地方の主要幹線道だけに交通量が多く流れも速い。5~6速ホールドで進んでいく。晴れて気温が上がり初夏の陽気だ。喜多方市を出発して1時間もかからずに会津若松市に到着した。

#CL250
会津若松市では「白虎隊」が自刃した飯盛山を見学。当日は観光客に加えて多くの学生たちが社会科見学で訪れていた。
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階段もしくは「動く坂道・スロープコンベア」を使って登ったところに「白虎隊十九士の墓」がある。

 会津若松市は白虎隊が自刃した飯盛山と名城・鶴ヶ城が有名だ。今まで飯盛山と鶴ヶ城は訪れたことがなかったので、この機会に見学してみた。飯盛山は多くの学生たちが見学に訪れていて、白虎隊が自刃した場所から約4キロ先にある鶴ヶ城が確認できた。一方、鶴ヶ城の天守閣からは飯盛山はもちろん会津若松市内が一望でき、会津若松市が歩んできた歴史の一端に触れることができた。

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白虎隊が自刃した場所から少し高いところから会津若松市を見渡したところ。写真中央の緑が多く見える場所が鶴ヶ城だ。この場所で白虎隊は火災が発生した市内を見て鶴ヶ城が陥落したものと早計して自刃した。
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飯盛山から4㎞ほど離れた場所にある鶴ヶ城に行ってみた。戊辰戦争では会津藩のシンボルとして戦い抜き、明治7年にすべての建物が壊されたものの、昭和40年に天守閣が再建された。威風堂々としたお城らしいお城だ。

 鶴ヶ城を見学したところで時刻は14時を過ぎていた。夕方過ぎには西那須野ICに到着したいので、会津若松市を出発してややペースを上げて国道121号線を芦ノ牧温泉/湯野上温泉方面に進む。芦ノ牧温泉には15時過ぎに到着。今回は足湯だけ入って終了。湯野上温泉は駅舎の前で撮影。その後、下郷町、南会津町を通過して国道400号線が近づいてきたところで急に気温が下がり、雲行きが怪しくなってきた。国道400号線に入って塩原温泉郷を抜けて、塩原温泉郷の入口にある日帰り入浴施設「みかえりの郷 彩花の湯」で休憩。ここまで走り続けてきて冷えた身体を温めた。

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今度は鶴ヶ城の天守閣から飯盛山方面を見たところ。写真中央付近の山肌に白虎隊が自刃した場所があり、その山を越えた先に猪苗代湖がある。
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国道121号線沿いにある芦ノ牧温泉では、北海道から来た初老の紳士が話しかけてきて、一緒に足湯に浸かりながら旅の話で盛り上がった。

「みかえりの郷 彩花の湯」を出ると時刻は17時15分。辺りは日が落ちて暗くなってきた。メーターを見ると約670㎞走行して燃料ゲージが残り1目盛りになっていた。高速道路に乗る前に給油しなければならない。アシスト&スリッパークラッチのおかげで左手の疲労感は少なく、思っていたよりお尻が痛くないので、まだまだ走れそうだ。

#CL250
芦ノ牧温泉からさらに進んだ会津鉄道の湯野上温泉駅の駅舎は珍しい茅葺屋根だった。駅には外国人観光客も訪れていた。
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湯野上温泉駅を出発した会津鉄道の列車。たまには列車の旅もいいかもしれない。

 西那須野ICを通過して数㎞離れたガソリンスタンドで給油。676㎞走行して8.70リットル給油し、前回給油してから352.1㎞走行したのでリッター40.5㎞となった。2回目もなかなか優秀な数値となった。アップダウンのある山間部や流れのいい一般道が中心だとリッター40㎞を超えることがわかった。同じ状況下においてレブル250で走るとどうなのだろうか。燃費だけでなく疲労感も気になる。いずれレブル250の実走検証が必要かもしれない。

#CL250
ツーリングの最後に立ち寄った「みかえりの郷 彩花の湯」。入湯料は700円。お湯は無色透明のカルシウムナトリウム硫酸塩酸温泉で、広々とした露天風呂もあり、今回のようにツーリング帰りに寄ってみるのもいいかもしれない。
#CL250
西那須野IC近くのガソリンスタンドで給油。前回からここまで352.1㎞走行して8.70リットル給油。燃費はリッター40.5㎞となった。なかなか優秀な数値だ。

 給油後、西那須野ICに戻って東北自動車道に入って東京を目指す。行きと同じく90㎞/hで巡行する。ユニークな形状のヘッドランプは明るく、外灯の少ない地方の高速道路でも安心して走れる。バイクのお腹を満たしたので、今度はライダーのお腹を満たす番だ。カワサキKLX230シェルパで実証検証した時は宇都宮餃子は食べられなかったので、今回は上河内SAで「上河内ジャンボ餃子+ライス(並)」を注文。餃子とライスだけというシンプルな組み合わせだったが、お腹は充分満たせた。

#CL250
上河内SA(上り)で食べた「上河内ジャンボ餃子+ライス(並)」(920円)。すごくシンプルなメニューだが、餃子はボリュームがあって美味しかった。
#CL250
自宅に到着したところで走行距離は863.4㎞、燃料ゲージは2目盛り減っていた。1日で約400㎞走ったことになる。

 90㎞/hで淡々と走り続けて自宅に到着したのは午後9時46分だった。ここまで863.4㎞走行し、燃料ゲージが残り2目盛りとなった。さらに翌日以降、アームズマガジン編集部を往復するなどして最終的には920.6㎞走行し、燃料ゲージは残り1目盛りになったところで実走検証を終了。自宅から1㎞先にあるガソリンスタンドで給油した。給油量は6.92リットルとなり、西那須野ICから244.6㎞走行してリッター35.3㎞となった。前回、前々回より数値は悪いが、混雑した都内を走行したからだろう。それでもWMTCモード以上の数値を叩き出した。実燃費はこの値に近いのだろう。

 実走検証史上、最長の900㎞をCL250で実走した。天候とスケジュール次第では1,000㎞実走も難しくはなかったが、それは次の車種で実現させよう。900㎞を共にしてみたCL250の感想をわかりやすく言うなら「とても乗りやすい」。スクランブラースタイルからちょっとヤンチャなイメージを思い浮かべそうだが、癖がなくて全域に渡って思い通りにコントロールできる。コーナリングや高速走行も安定しており疲れにくい。乗りこなさなければ乗れないのではなく、乗りこなさくても乗れるのだ。ここにCL250やレブル250が売れている理由があるのではないかと思った。純粋に外観がカッコいいことも理由としてあるだろうが、実走して感じた乗りやすさもオーナーを惹きつけているのだろう。

#CL250
最終的には920.6㎞走行して給油量は6.92リットル、西那須野ICから244.6㎞走行してリッター35.3㎞となった。ツーリング時よりも数値は悪いが、それでもWMTCモードよりいい数値となった。
#CL250
こんなにカッコよくて乗りやすくて、燃費がいいとなれば欲しくなってしまうのは当然だろう。今度はお兄さんのレブル250に乗ってみたくなった。

 そうした走りやすさに加えて250㏄クラスならではの高燃費や使い勝手のよさもツーリングだけでなく通勤・通学でも使ってみようと思わせるのに充分な説得力がある。ノーマルの状態では荷物は積載できないが、オプションパーツが豊富に揃っているので、購入をお考えの方はオプションパーツもあわせて購入することをお薦めする。特にCL250でキャンプツーリングをしてみたい方はオプションパーツの装着は必須だ。

 CL250に乗車すると決めた時「レブル250の兄弟か……果たしてどうなのかな?」と楽しみと不安が入り混じっていたが、実走してこんなに楽しいバイクとは思わなかった。こうなると、お兄さんのレブル250がますます気になってきた。特に話題のE-Clutchタイプは従来モデルよりさらに乗りやすくなっているだろう。CL250にもE-Clutchタイプがラインアップされればもっと人気が出るかもしれない。でも、これ以上乗りやすくなったらどうなるのだろうか。他のメーカーが嫉妬しないだろうか。そんな余計な心配をしてしまう今日この頃だ。(完)
(試乗・文・撮影:毛野ブースカ)


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2025/07/25掲載