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60周年を迎えたホンダマリン事業が見る未来
シルバーのボディがアイコンとなっているホンダの船外機。2馬力のBF2から最新350馬力のBF350まで、多彩なラインアップ。中央がBF350で、後列一手前の赤い船外機が記念すべき一号機GB30。

BF350とBF250を2基装備したボートに試乗する機会を得た。初体験の素人でも250馬力×2=500馬力(左)と、350馬力×2=700馬力(右)のパワーの差は、はっきりと体感できた。パワー感はもちろんだが、もっと驚いたのは200馬力もアップしているのに明らかに振動、騒音が低減されていたこと。ちなみに価格は3905000円(税込)〜。


 ホンダのマリン事業が60周年を迎えた。1964年に発売した最初の船外機はGB30。軽量コンパクトで安価な2ストエンジンが全盛だったが、船外機は排出ガスを水中に放出するため、未燃焼の2ストオイルも当然水中に放出されていた。ホンダは船外機市場への参入に際し「水上を走るもの、水を汚すべからず」という本田宗一郎氏の信念で、大きさ、重さ、コスト面など不利にもかかわらず4ストエンジンを選択した。

 以来、ホンダの船外機は信頼性、耐久性、高性能、低燃費などのホンダクオリティにより、プロアマ問わず世界各国で高い支持を受け、2021年には累計生産200万台を達成、アメリカの沿岸警備隊でも採用されている。

 60周年を迎えた2024年2月、新たなフラッグシップとしてBF350が発売を開始した。昨今の船外機市場は300馬力級の大馬力エンジンを複数装備することが主流となっており、これまでのホンダ最大のBF250(250馬力)を一気に100馬力引き上げた。しかもエンジンはホンダ初のV8 5000cc。四輪にも二輪にも存在しないホンダ最大のエンジンを船外機用に新規開発した。馬力だけでなく低振動、低騒音、低燃費はもちろん、メンテナンス性なども向上している。

 また60周年を機に小型機の電動化(松江市にて実証実験中の模様はこちらでどうぞ)、バッテリー容量の関係で今のところ電動化が困難な中型機以上は内燃機技術で、工場では太陽電池パネル等で環境負荷を低減してカーボンニュートラルに取り組む。

 エンジンだけではなく、操船支援システム(自動操縦のようなもの)、マルチビューカメラシステム、着桟支援システム(車でいえば縦列駐車を自動化したようなもの)といった操船の難しさや煩わしさを低減するシステムの開発も進んでいる。

 船外機というと一般ユーザーには縁遠い世界と思われそうだが、レジャー用だけでなく漁業を始めとして実は生活に関連する分野でも多数活躍している。60周年を迎え,ホンダマリンの新たな挑戦が始まる。

 ホンダ船外機のことがもっと知りたくなったらホンダ船外機の今(2018年掲載)でどうぞ。

縦置きというか筐体にズボッと縦に収まるV8エンジン。クロスプレーンクランクシャフトにはNSX用に開発された高強度クランク材を使用。Vバンクは一般的な90度ではなく、V6エンジンのBF250と同サイズに収めるために60度を採用。NSXと並べるとその大きさもよく分かる。

これまでの船外機はオイルフィルターを真横に設置(左 BF250)していたが、交換時にオイルダレがあることから、受け皿を付けて斜めに設置(右 BF350)など、細かいところも使い勝手を向上させた。







2024/11/30掲載