■レポート・写真:高山正之
ホンダモーターサイクルジャパンは、電動二輪車の普及拡大を目的に、東京都内に在住のお客様を対象とした「EM1 e:(イーエムワン イー)」のモニター募集を8月に開始しました。
500名の募集定員に、1200名以上の応募がありました。人気の高さがうかがえます。
今回の「そろそろeかも。EM1 e: スペシャルイベント」は、2024年9月4日(水)、Hondaウエルカムプラザ青山において、電動スクーターEM1 e:の魅力を多くの人に知っていただくために開催されました。特別ゲストに、DREAMS COME TRUEの中村正人さんを迎えるとともに、モニターに当選されたお客様の中から、20名が参加しました。
Hondaが初めて一般の方に販売を開始した電動二輪スクーター「EM1 e:(イーエムワン イー)」の魅力とは。
スペシャルイベントの冒頭では、主催者のホンダモーターサイクルジャパン社長の室岡克博(むろおか かつひろ)さんから、挨拶と現状の電動二輪について説明がありました。
室岡さんは自らEM1 e:を通勤で使用しているとのこと。街中で走っているときに質問されるのがちょっと嬉しくて笑顔になるようです。
一般的に、電動モビリティは高価な乗り物というイメージがありますから、Hondaの二輪車では身近なビジネスモデルから電動化に取り組んでいます。日本郵便では、配達用途のBENLY e:をすでに16,000台使用されているとのことです。スーパーカブとともに、全国を駆け回っています。
電動二輪車の普及のためには、スムーズなバッテリー交換システムが重要になっていきます。バッテリーのシェアサービスを展開するGachaco(ガチャコ)社では、東京都内47か所にバッテリー交換ステーションを設置して、利便性の向上を図っているとのことです。
そして、今回の500名モニターという大規模な取り組みは、電動二輪車の認知度の向上と、モニターの方たちからSNSなどで魅力を発信していただける相乗効果を目指したものと説明がありました。
スペシャルゲストとしてDREAMS COME TRUEの中村正人さんが招かれたステージに登場すると、モニター代表として招かれた20名のお客様から大きな拍手がおくられました。中村正人さんとHondaとの関りは深く、その一端が紹介されました。
中村:「Hondaのバイクは、ラクーンをはじめZOOMERにも乗りました。僕が60歳になった時に吉田美和に赤いスーパーカブをプレゼントしてもらったこともありました。吉田美和もバイクが好きで、未来予想図の歌に出てくるバイクは、たしかHondaのCBじゃなかったかな。スーパーカブつながりでは、50周年記念として企画された『Love Cub 50プロジェクト』に参画して、オリジナルカブを造った。カッコいいでしょ。
四輪では、3代目オデッセイのCMソング(LOVE LOVE LOVE)も手掛けることができました。昨年は75周年記念ソングも出来たし、新型オデッセイのために楽曲させてもらいました。このソングは、公式YOUTUBEで見られるのでぜひ見てください。
新型オデッセイを2台購入させていただきました。フルスペック仕様で、沖縄に1台、東京に1台あります。運転しているときは音楽は聴かないでエンジンサウンドに耳を傾けています」
中村正人さんが語るEM1 e:の魅力とは
中村:「EM1 e:には、沖縄で乗るチャンスがありました。室岡さんが言ったように、始動から発進までの儀式がない。ガソリンエンジンのバイクだったら、セルを回してからギアを入れて、いざ発進。電動にはそれがない。自分が思っているようにモーターが動いてくれて、とても自然に感じる。加速も十分で、交通の流れにも戸惑うことがない」
室岡:「原付一種ですが、車体はしっかり造られています。フロントはディスクブレーキにしました」
中村:「足周りがしっかりしていると感じましたね。バッテリーが重心位置にあるので、そのせいかナチュラルな動きでした」
室岡:「私は、乗っているときに環境にやさしい乗り物に乗っているんだという優越感を覚えます。そして、ショーウィンドゥに映る姿にニンマリしてしまう」
中村:「今日はちょっとしたニュースがあるんです。ドリカムは、おかげさまで35周年を迎えることができま
した。35周年の全国ツアーはまもなくスタートしますが、会場にスペシャルなEM1 e:を帯同することに決めました。これが、私が企画したEM1 e:です」
EM1 e:ドリカムスペシャルを初公開
室岡:「とても大勢のファンが集まる会場に置いていただけるのは感謝感激です」
中村:「ツアーには、トータルで34万人が来場されます。ボディに、DREAMS COME TRUE by Hondaを入れました。自分としてはとても気に入ってます」
室岡:「ありがとうございます。吉田さんの反応は」
中村:「吉田にはまだ見せていません。見せるとなかなか決まらないから、やり直しがきかない状態で見せるしかないです」
室岡:「EM1 e:は、環境にやさしく使い勝手も良いスクーターです。この良さを沢山の人たちに知っていただくために努力していきます。モニターの皆様は、小さなことでもいいですから、どんどん意見を出してください。それが将来にわたってより良き商品につながると思います」
中村:「私は、電動二輪車に初めて乗りましたが、とても自然に運転出来て楽しかった。実際に触れて乗っていみないと、この良さは分からないですね」
室岡:「これからの子供たちに良い空気を残してあげたい。我々の『未来予想図』に向けて」
中村:「上手くまとめてくれました」
中村正人さんは、終始にこやかにEM1 e:やHondaの製品について語ってくださいました。モビリティのなかでも二輪と四輪がとても好きなんだと感じることができました。もうすぐ、ドリカム35周年ツアーの会場でスペシャルEM1 e:に出会うことができます。
そして、500名のモニターの方々が都内や近郊をさっそうと走りまわる姿が見られそうです。EM1 e:が新しい風を運んできます。
■Honda電動二輪の初めて物語
1994年3月、Honda初の電動二輪スクーター「CUV-ES(シーユーヴィ イーエス)」を官公庁や地方自治体などに200台限定でリース販売をスタートしました。ネーミングの由来は、Clean Urban Vehicle Electric Scooterの頭文字をとったものです。
今年は、発売からちょうど30年を迎えましたので、電動二輪車の足跡を簡単に紹介させていただきます。
1994年 CUV-ES | 2024年 EM1 e: | ||
定格出力(kw) | 0.58 | 0.58 | |
最高出力(kw/rpm) | 3.3/3,600 | 2.3/5400 | |
一充電走行距離 (30km/h定地走行テスト値) | 61km | 53km | |
車両重量(kg) | 130 | 92 |
CUV-ESは、ニッケル・カドミウムバッテリーをステップフロア下に収納していました。その重さは約60kgのため、車両重量は130kgとなりました。
私が初めて乗った時の経験ですが、発信はスムーズでしたが、停まってからメインスタンドをかけようとすると車重により軽々とはいきませんでした。CUV-ESのリース販売により、さまざまなノウハウを得ることができました。
1997年、バッテリー交換スタンドのパワーステーションを公開しました。この年の東京モーターショーで、研究開発中の電動アシスト自転車用バッテリー交換用スタンドを展示しました。
パワーステーションと名付けられたこのシステムは、バッテリーの規格を統一すれば、より多くの人たちに利用いただける機器でした。全国のさまざまなコンビニに設置できれば、電動アシスト自転車で楽に日本一周が出来るという構想もありました。このシステムは、実用化一歩手前までいきましたが、世の中で活用されることはありませんでした。
Hondaは、時としてあまりにも早すぎる取り組みにより、時代が追い付いてこない現象が見られるのです。しかしながら、これらの取り組みは、現在の電動スクーターやバッテリーのシェアリングシステムのルーツとして記憶にとどめていきたいと思います。
(文・写真:高山正之)