ロードレース世界選手権(WGP)への登竜門「MiniGP JAPAN」のSEASON PLAN参戦発表会2024が都内で行われた。主催の中込正典氏が、まず昨年末に行われた2023 WORLD FINAL CHAMPIONSHIP(MiniGPのシリーズランキング上位2名が参加、世界各国代表と戦う)で準優勝 #33 冨樫虎太郎、12位 #34 国立和玖となったことを報告した。
中込氏は「ワールドファイナルはレベルが上がっていて1秒内に15台が入っている厳しい戦いでした。その中で、ふたりが活躍してくれました。富樫選手は優勝争いをしながらの2位で、表彰台で悔し涙を流していました。12歳で世界を経験できたことは大きかったと思います。懸命に挑んでくれました」と挨拶した。
富樫は「ハイレベルな戦いは日本にはないなと思うものでした。その経験が出来て良かったなと思います。この経験を生かしたい。今年はJ-GP3で地方選に参戦、出来れば全日本に参戦出来るように頑張ります」と語った。国立は「レベルが高い中で走り、自分に足りないところを見つけられて良かったと思います。今年もMiniGPに参戦してチャンピオンになり今年もファイナルに参戦して世界1になりたい」と誓った。
MiniGPは3年目を迎え、アジア圏内からの応募もあり、27名がエントリー、そこから、15名をセレクションして参戦ライダーを決める。
長島哲太から「MiniGP TN45 with MotoUP Racing」の体制も発表された。
「海外昇格組として羽田太河がFIM Moto2 European Championship、池上聖竜がATCとETCに参戦。ふたりはスペインで共同生活をしながらの参戦です。全日本ではST600 に藤田哲弥、J-GP3に中谷健心が参戦します。松山遥希は地方選に参戦、全日本に上がれるように頑張ってもらいたい」と語った。中谷と松山はMiniGP出身ライダーだ。
更に尾野弘樹と組んで「MotoUP Junior Team」を発足させたことも公表された。海外参戦を掴んだ池上は74Daijiroクラス出身で、そこからMiniGP参戦、昨年は全日本J-GP3クラスで活躍する非凡さを見せた。その経験や学びが、その後のライダー人生にとって大切なことだという思いもあり、ポケバイやミニバイクの早い時期に、的確なアドバイスをして育成をすることに着目した。長島も尾野もWGPで世界チャンピオンを期待される逸材として活躍したが、そこには届かなかった。その無念さと悔しさを若手育成に注ぐ。「自分たちと同じ失敗をしてほしくないという思い。遠回りさせたくない」と取り組む。
関東圏は長島が担当、関西圏は尾野が担当して、年4~5回は合同練習を実施する。更に中込氏が運営するキッズアップの英会話教室でのレッスンもあり世界をターゲットに子供たちが集う。
尾野は「この2年間、MiniGPに関わらせて頂き、ファイナルにも帯同させてもらいました。2022年は池上選手が3位、2023年は富樫選手が2位で、今年は世界1をとる目標に向かって各ライダーにアドバイスして行きたい。世界で走ることの厳しさや僕らの失敗談を伝えながらフィールドバッグしていけたらと思います」と語った。
長島は「若手育成の難しさはサポート体制をどうして行くのかでもありますが、中込社長筆頭に応援して頂き、昨年は聖竜(池上)が全日本で結果残してくれました。本気で取り組み、必要なものを考え、弘樹(尾野)と共に、応援の気持ちに答えて行きたい。ここから、世界1が出たねと言えるようにと思う」と語った。
自身もレース活動をしていた中込氏の夢であり目標である「日本人のMotoGPチャンピオン」獲得に向けて、若き才能あるキッズライダーたちが切磋琢磨する世界が構築されて行く。その未来に希望を見出すことが出来た発表会だった。
(レポート:佐藤洋美、撮影:吉川英澄、株式会社P-UP World)