長年慣れ親しんだ「東京モーターショー」から「ジャパンモビリティショー」へと名称が変わり、コンテンツも多彩になって頑固な? 昭和世代にとってちょっとした戸惑いがあることとお察しいたします。しかし心配には及びません。名称が変わっても、二輪四輪メーカーブース、パーツメーカーブースはちゃんとモーターショーしています。それらにプラスして、新たなコンテンツが加わったのです。つまり、見て体験する楽しみが増えたという、たいへんお得な催し物へバージョンアップしたのです。
どんな催し物があるのかは、公式サイトでご確認いただくとして、今回は日本のものづくりを担っていただくキッズのみなさんに、ぜひ体験していただきたいコンテンツをご紹介させていただきます。
ジャパンモビリティショーの開催場所は前回と同じ東京ビッグサイト。メーカーのブースがならぶメインの東棟、パーツメーカーや体験ゾーンなどの西棟、さらにもうひとつ南棟で開催されるのが「Out of KidZania in JMS 2023」です。キッザニアについては、すでにみなさまもご存じかと思いますが、簡単にいえばキッズのみなさまに様々な職業を実際に体験してもらおうというものです。今回キッザニアとのタイアップ「Out of KidZania」では、二輪四輪関連の職業を体験できる11ブースを展開。寝る間もなくこき使われる昭和の雑誌編集者というような体験はもちろんありませんから、親御さんも安心です。
中でもユニークな体験ができるホンダブースをご紹介させていただきます。こちらでは「商品の研究開発の仕事」を体験できます。なにがユニークかといえば、商品開発のテーマが除雪機であること。降雪量の多い地方で除雪機はなくてはならない当たり前のものかもしれませんが、それ以外の地域では、名前は知っていてもはっきり言って縁がないものかもしれません。
その除雪機をバーチャルで体験した後、どう思ったか、どうすればより扱いやすくなるのかなど、ホンダの伝統であるワイガヤ(わいわいがやがやと自由闊達に意見交換をする)をした後に改善点、解決方法を発表するという、商品開発を体験するものです。
こういうと除雪機にはまったくスキルもないキッズにハードルが高いと思われるかもしれませんが、そこは先輩社員役のスタッフが適時フォローしてくれますから心配ご無用です。
なにより、普段は体験できないことですから、これからいろいろなことを経験して成長していくキッズにとって、プラスになることは間違いなでしょう。
体験予約はオンラインで簡単にできます。まずはこちらをご参照ください。
この体験が契機となって、将来ホンダの開発者を志望することになるかもしれません(私事で恐縮ですが、私は3〜4歳頃にスーパーカブに触れたことがきっかけで、バイク関連の仕事に就いたようです。そのいきさつにまさか興味がおありでしたらスーパーカブ大全 ホンダ創業75周年記念版のあとがきをご覧いただければ幸いです)。
これも余談になりますが、かの本田宗一郎さんも着用した、ホンダ伝統のあの白い作業着と作業帽を着用した記念写真を残せるということは、キッズはもちろん、ホンダファンの親御さんにとってもかけがえのない一枚になるのではないでしょうか。
まずは講義。いったいなにが始まるのか。大人でも何事も最初は緊張と不安がよぎる一瞬ですが、先輩社員役のスタッフが、緊張を解きほぐしながら、わかりやすくホンダを解説してくれます。
講義が終わると、ヘッドディスプレイを装着していよいよMR体験。除雪機のテストという設定なのですが「困った人の役に立つ」ということを理解してもらうため、最初に「雪が積もって困っているんだよ」とおばあさんが登場します。
バーチャルとはいえ、おそらく生まれて初めての除雪車体験だと思います。慎重に進むキッズ、豪快なスピードのキッズ。このあたりは性格? が出るのか、見ていてもほほえましいですね。
除雪完了。するとおばあさんが再び登場「ありがとうね」と感謝の言葉を伝えます。3分にも満たない体験ですが、困っている人の役に立つことの素晴らしさも体験できたことでしょう。最後に認定書に付ける記念撮影をして体験は終了です。
体験の後はワイガヤ。「ちょっと体験しただけで、しかも生まれて初めて体験した除雪機でそんな簡単に改善点が出せるのか?」と思うのは頭の固い大人になってしまった悲しさ。初めての体験だからこそ、素直に思った言葉が出てくるのは、柔軟な子供ならでは。もちろん先輩社員がしっかりアシストしてくれますから、ご心配なく。
すべてのお仕事が終わると、さきほど撮ったばかりの記念写真の入った研究開発員認定書と、日常で思いついたアイディアを記入して、それを実現するためにそうすればいいのかを考えるためのアイディアノートが進呈されプログラムは終了です。
今回のMR(Mixed Reality 複合現実)はCanonの協力によって開発されました。一般的に知られているVR(仮想現実)やAR(拡張現実)ではなく、実際の位置を把握しながらデジタル映像と重ねて表現するもの。つまり今回の体験のように、除雪機に見立てた台車を実際に動かしての体験にはぴったりの技術です。こういうすばらしい技術を開発する技術者になるきっかけにもなるかもしれません。
MRの開発に関わったキヤノンITソリューションズ株式会社の方に伺ったところ、ヘッドマウントの重量はわずか150g。装着していることを意識させないことが重要だそうです。また、医学的には証明されていませんが、目の発達途中である小学生以下のキッズを考慮し、体験は3分以内としたそうです。ちなみに製品開発では3DCAD、デザイン検討ではCGなど実際の現場ではなくてはならない技術なんだそうです。
今回のMRは
Honda Rewiredという8機種のパワープロダクツ製品を使い困っている人を助けるゲームをベースに作られたそうです。
バーチャル除雪機は小型ハイブリッドの
HSS1170i(写真左)をデフォルメしたそうですが、音は実機から採取したもの。重厚感を出すため低音重視のスピーカーが台車内に仕込まれて、実感を出すことに一役買っています。
ホンダファンならば一度は着てみたいおなじみの白い作業着と作業帽。作業着は本物と同じ素材です。帽子はフリーサイズなのでまさに本物。残念ですがこれらは使用後に返却です。
「人の役に立つ喜びを実感していただくには、困っている人のため何か行動することが重要です。MR体験には困っている人のために役に立つものということで、あまりなじみはないかもしれませんが除雪機を選びました。体験したお子様が、人のために役立つことを考えることのきっかけになっていただければと思います。また保護者の方にも、ホンダといえば二輪四輪は誰でも思い浮かべていただけると思いますが、パワープロダクツはあまり知られていません。これを機会に“パワープロダクツは人の役に立つことをやっているよね”と知っていただければと思います」。今回の趣旨を語っていただいた本田技研工業のパワープロダクツ事業統括部の門澤 愛さん。ちなみにホンダパワープロダクツをもっと知りたいと思った方は、2019〜2020年のちょっと前ではありますが、12回に渡りさまざまな方に弊誌がインタビューした記事がございますので
こちらからどうぞ。
体験は1回6人(3人組×2)で約30分。それを一日10回(多客時は11回)、10月26日(プレスディ)から一般公開最終日の11月5日まで11日間、単純計算でも600人以上が参加できます。スタッフのみなさんがホンダブースでお持ちしております。空きがあれば当日でも予約できますが、直接ブースに行っても参加できません。必ず
専用サイトで予約をお忘れなく。体験にはジャパンモビリティーショーの入場料金(当日券3000円 同伴の子供は無料)と体験料金(平日500円、休日1000円)が別途必要になります。
(●撮影:富樫秀明)
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