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第1回 XLR80Rを再生する-1
XLR80R

 みなさま、はじめまして。かつてG2連邦より委託テクニカルディレクターという肩書きの、平たく言えば雑用ネジ締め係を拝命していたツボ8と申します。現在、G2連邦のピンキー大統領が所有していたXLR80Rを譲っていただき、乗って、いじってを楽しませていただいておりまして、その模様をこちらでレポートさせていただけることとなりました。第1回目となる今回は、そのXLR80Rを紹介させていただこうと思います。

 譲っていただいた時のXLRは、バイクの心臓とも言えるエンジンを抜き取られたまま長期放置されていたという状態でした。ちなみにエンジンレスとなっていた理由はこちら(PCページに移動します)をご覧下さい。

 これを公道復帰させて自分が乗り回そうと考えたのが、今から4年前の2015年のこと。XLR80Rは自分の物置兼ガレージ(?)に放置されていたため、ピンキー大統領に「放置しておくのももったいないので自分で乗ってもいいか?」とお伺いしたところ「ご自由に」という太っ腹な回答をいただきました。

 早速、心臓となるエンジンをネットオークションで購入しました。といってもXLR80R用のエンジンは希少なせいもあり、同系統のエイプ100程ではないものの値が張るのでオリジナルには拘らず、ボルトオンで搭載可能なエンジンの中では最もリーズナブルなエイプ50用をゲット。ウソかホントか不明ですが、走行1500kmという低走行なもので、パワーフィルターの付いた純正キャブ付き。当時たまたま撮っていた落札画面のスクショが残っていたのですが、1万3500円で落札したようです(もう忘れてましたけど)。

 ここまでは行動が早かったのですが、エンジンが手に入ったことで満足してしまったのか、車体にこそエンジンを載せたものの(どうにも邪魔なので〈笑〉)、今度は自分が再び放置しちゃいまして、作業の続きをやり始めたのが今年の春前となります。

 「GWまでに公道復帰」を目標に、搭載したエイプ50用中古エンジンの整備や、車体側のメンテナンスを行い(詳細は写真とキャプションで)、排気量が50ccのままですがGW中にようやく公道復帰を果たしました。

 XLR80R、というか現状ではXLR50Rですが、実際に乗ってみるととても楽しいバイクですね! さすがに50ccなので「もう少しパワーが欲しい」なんて、バイク歴の浅い自分でもそう思ってしまったりもしますが、公道復帰以後は用もないのにXLRを乗りまわす日々を送っています(それ以前から持っているスペイシー100にはほとんど乗らなかったのに)。

 乗る楽しみと共に、いじる楽しみも満喫しています。モンキーやカブなどの横型エンジン同様に、チューニングを楽しみやすいとされる通称「縦型エンジン」に属するXLR80Rやエイプのエンジンは、いじり好きにカテゴライズされる自分のような人間にしてみるととても魅力があります。公道復帰後、簡単に変更が可能なカムやキャブを、試しにエイプ100の純正品に交換してみたりしたのですが、しっかりその変化を感じることができるんです! チューングというにはまだまだレベルが低いですが、そんなエンジンの変化を体感できるところもXLR80Rの魅力となっています。

 縦型エンジンを搭載する現行モデルが無くなってしまい、G2界の主流は現行モンキーやグロムの最新の横型エンジンが主流となっている現在では「今さら」感もありますが、このレポートでは、縦型エンジンのチューニング的な作業をメインにお伝えすることとなると思います。まずはしっかりとXLR80Rを名乗れるように80ccへのボアアップからスタートして、いろいろな仕様のエンジンを製作する予定です。大したことはできないと思いますが、興味を持っていただけたら幸いであります。

XLR80R
G2連邦の公用車『ベンアペ』にエンジン一式を奪われてしまったことで、エンジンレスで放置されていたXLR80R。ピンキー大統領ご自身の手で復活させる予定だったようですが、大統領がご多忙(?)で放置されたままとなっていたため、自分がエンジンを用意してXLR80Rを楽しませてもらえることになりました。

XLR80R
エンジンを入手しXLR80Rにとりあえず載せたのが、写真のデータによると3年前の2016年夏。しかしエンジンを始動させることもなく、今度は自分が放置してしまっていたわけです。しかし今年(平成31年)の春前、XLR80Rで遊びたい熱が再び燃え上がりまして、作業を再開(スタート?)しました。

XLR80R
搭載したエンジンはエイプ50用です。XLR80R用とエイプ50用では、ボアがΦ47.5mmに対してΦ42.0mm、ストロークが45.0mmに対して35.6mmとボアストローク共に異なりますが、市販のボアアップキットを組めば80cc前後の排気量となるし、何よりXLR80Rのノーマルエンジンより安く手に入るというのが、エイプ50エンジンを選んだ理由となります。

XLR80R
本来搭載されていたXLR80Rのエンジンと新たに搭載するエイプ50のエンジンの車体への搭載上の相違部は、ハーネスの接続とシリンダーハイトの違いによるシリンダーヘッドの位置。後者に関してはマフラーのところで説明させてもらうとして、ハーネの方はXLR80Rのハーネスに合わせて、エイプのエンジンから伸びる配線4本の内、3極カプラーにまとめられた3本の配線をギボシ端子に変更して、接続しました。

XLR80R
中古エンジンに付いていたキャブレターはエイプ50純正品。ベンチュリー径が14mmのPB型となります。長期放置されていたのでフロート内の汚れが心配だったのですが、開けてみるとそれほど問題のない状態でした。キャブクリーナーで洗浄後、各孔の貫通をエアブローで確認してから装着しました。

走行1500kmとはいえどんな使われ方をしてきたのか分らないので、まずは中古のエイプ50エンジンがしっかりと掛かってくれるのかが気がかりでした。そんなこともあり、車体側の整備を始める前にエンジン始動の確認を行いました。ハーネスを繫ぎ、洗浄したキャブを取り付け、新しいオイルを注入してからエンジンを始動してみると、動画のとおり異音もなく無事に動いてくれました。
こちらで動画が見られない方はこちらで。https://youtu.be/GoxMqehLnoo

XLR80R
マフラーですが、たまたま所有していたエイプ100の純正マフラーを装着してます。ちなみにXLR80Rとエイプ50では、エンジンのシリンダーハイトが異なるためシリンダーヘッドの位置が約20mm低くなってます。そのためXLR80R純正マフラーをボルトオンでは装着できないと思われます(未確認ですが)。だからといってエイプ100純正マフラーなら加工無しで付くわけではありません。XLR80R純正マフラーが欠品していたので、エイプ100用を付けただけです。サイレンサー部のステーはエイプ100用の純正部品を材料にして作ったワンオフです。

XLR80R
車体側の整備に移ります。お金を掛けられないので(笑)部品交換はどうしても必要な部分のみに留めました。具体的には経年劣化で激しくひび割れていたフロントタイヤ(リアはトレッド部にひび割れがありましたが、山もあるので再使用<笑>)、同様に経年劣化していた前後のリムバンドとチューブ、それから前後のハブベアリング、ドライブチェーンとリアショックを新品や程度のいい中古に変更しました。あとは清掃と稼動部のグリスアップや注油を行い、組み直しています。


ツボ8
ツボ8(戸籍上は坪内英樹):主に四輪誌などで活躍中のフリー・ライター。月刊四輪誌「ジェイズ・ティーポ」(現在休刊)在籍時代には510ブルーバードや240Zのレストア&日本一周の企画を大成功させた立役者。二輪免許は小型限定しか持っていないという筋金入りのG2(原付二種)フリーク。趣味はスクリューマウントのスーパータクマ―レンズを装着したEOS20Dでの写真撮影。

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2019/11/14掲載