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第2回 XLR80(50)Rにいたずらしてみる

 エイプ50のノーマルエンジンを積んだXLR50R(言うまでもなく元はXLR80R。現在50ccのためXLR50Rと呼んでます)、思いのほか乗って楽しいです。しかし単独で走っている分には、という但し書きが付きますが……。多くのクルマと共にある程度のペースで走る幹線道路では、どうにも遅く感じてしまい、正直なところ楽しくないのです。そんな不満を解消するには、とっとと80ccにしてしまうのが正解だとわかってはいるのですが、50ccのままどのぐらい速くなるの? っていう興味が湧いてきちゃいまして、80cc化する前に、ちょっといたずらしてみました。今回はそれについてレポートしてみます。

 いたずら(平たくいうとチューニング)といっても大した内容ではなく、キャブとカムを兄貴分のエイプ100やXR100モタード用に変更してみました。100カム(エイプ100用)は50に組み付けるといわゆるハイカムに、そして100キャブ(XR100モタード用)もベンチュリー径がΦ14からΦ16となり、ビックキャブになります。ちなみにキャブもカムも80cc化した際に導入しようと思っていたので、XLR50Rを公道復帰させた直後に入手済み。モノがあって組み付け作業も簡単であれば、いじり好きな自分としては、試さない手はありません。

 サクサクッと100キャブ、100カムを組み付けてみて、エンジン特性はどのように変化したか? 「純正流用じゃ大して性能も変わらないでしょ?」と思うかもしれませんが、ビックリするほど変わります。パワーバンドは3000回転以上も高回転側に移り、そしてパワーバンドに入ればなかなか力強くなります。

 具体的には、7000〜8000回転ぐらいからパワーが盛り上がりだし、1万回転を越えてもパワフルに回っていく感じです(1万2000回転でバルブがサージングし始めるので、低いギアではオーバーレブを注意しないとヤバいです)。変更前は、4000〜5000回転からパワーが盛り上がり、8000回転前後でピークを迎え、1万回転手前まで惰性で回るというものでしたから、ガラリと特性が変わったことがわかっていただけると思います。

 しかし残念ながら、低回転は最悪な乗り味となりました。高回転キープ&半クラッチ多用するような運転をしないと、ノーマルと同じレベルの発進加速が得られないのです。信号によるストップ&ゴーの多い市街地では、この仕様は苦行以外の何者でもないですね(汗)。

 とはいえ高回転まで回っていれば、以前よりパワフルになっています。このエンジン特性を活かすには……、ファイナルの変更しかないでしょう! ちなみにXLR50Rの二次減速は、ドライブ側14T(エイプ50純正)、ドリブン側34T(XLR80R純正)の2.428でした。これはエイプ50のノーマル、3.2857よりかなりロング。低速トルク型といえるエイプ50ノーマルエンジンなら、特に不満も無く乗れましたが、100カム&100キャブで高回転型となったエンジンには全くマッチしません。

 そこでファイナルをローギア化してみることに。ちなみにXLR80Rのドリブンスプロケットは、流用できるものがなく選べる歯数が限定されるため、エイプはもちろん、モンキーやカブなどと共用で、多くの歯数の設定があるドライブ側を変更します。ハイカムやビッグキャブを付けたエイプ50のフィナルをググって、現状のエンジン仕様にマッチしそうな減速比を計算したところ、ドライブスプロケットを12Tに変更するといい感じになりそう。ちなみに最終減速比は、14×34Tの2.428から12×34Tの2.838となり、エイプ50のドライブスプロケットを16Tにしたのとだいたい同じとなりました。

 このファイナル変更で、発進は普通にできるレベルに改善することができました。「元に戻っただけじゃん!」と言われてしまいそうですが、以前と同じなのは発進だけ。発進後はファイナルがショート化されたことでエンジン回転がスムーズに上がるようになり、高回転化でパワーが増したパワーバンドで走行しやすくなり、自画自賛になってしまいますが、以前よりも明らかに速く走れます。幹線道路も苦もなく走ることができるようになりました。

 自己満足できるだけの結果もそれなりに得られたので、次のステップとなる80ccへのボアアップに進みたいと思います。タイミングよく、ネットオークションで希望落札額が5000円ちょいのメーカー不明デッドストック新品ボアアップキットを発見したので、「まともに使えるボアアップキットなのか?」などの心配事項もありますが、余計なことを考えずにとりあえず希望落札額で落としてみました。果たしてまともに動くのか? 次回以降で組み付け時の模様をレポートしたいと思います。

XR100モタード純正キャブ
50ccエンジンのまま、幹線道路を楽に走ることができるようにすべく装着した部品のひとつがXR100モタード純正キャブ。エイプ50純正キャブよりもベンチュリー径が2mmほど大きい16Φとなり、50に着ければ、いわゆるビッグキャブとなります。ネットオークションにて純正インマニ付きで約3000円で購入。

リューター
エイプやXRモタードは、キャブとインマニの間に吸気量を制限するためと思われるインシュレーターが組み込まれているのはG2連邦界隈では有名な話のようです。50の方は孔を拡大済みのアフターパーツに組み替えられていたのですが、新たに手に入れた100キャブの方はノーマルのままだったので、リューターで孔を拡大してます。

キャブ
実動車を解体したという部品だったので、キャブの中はそれほど汚れていなかったのですが、50キャブの時よりもしっかりと洗浄しておきました。キャブクリーナーによる一般的な洗浄だけではなく、さらに超音波洗浄機まで使ってクリーニングしてみました。

カム
カムはエイプ100純正に変更。こちらはピンキー大統領のコレクション(?)を分け与えていただいたものとなります。ちなみに純正カムの場合、スプロケが着く部分(矢印部)にある溝でどのエンジン用のカムかがわかるようになっているそうで、エイプ100は写真のように太い1本溝、エイプ50は溝無し、XR80は2本溝、CB50は細い1本溝などなど……となっているようです。※編集部注:カムシャフト、正しくはノア セレンさんhttps://mr-bike.jp/mb/archives/8021 がかつて乗っていたXR100モタードに付いていたもの。エイプ100用と同じだと思いますが……。

カム
排気側のカム山となりますが、50カム(左)と100カム(右)を比べるとその高さ(リフト量)と山の形(プロフィール)の違いがお分かりになると思います。50カムは4000〜8000回転ぐらい、100カムは50エンジンに着けると7000〜1万回転以上がパワーバンドとなります。100カムと100キャブと組み合わせると、バルブスプリングがサージングを起こす1万2000回転までしっかり回るようになりました。

ドライブスプロケット
高回転化したエンジン特性に合わせてドライブスプロケットを12T(元は14T)に変更し、最終減速比をショートに変更しました。普通に発進できるようになり、走行中はパワーバンド内にちょうどハマるギアリングとなってます。ちなみに5速で1万回転以上まで回って最高速(いたずらする前より10km/h強アップ)に至る、そんな感じのギアリングです。

ボアアップキット
ネットオークションにて5000円台で落札したボアアップキット。恐らく中華のノーブランド・ボアアップキットとなりますが、シリンダー、ピストン、ピストンリング、ピストンピン、ピストンピンクリップ、シリンダーベース&シリンダーヘッドガスケットというセット内容は、有名ブランドのボアアップキットと同様です 。

作業
エンジン降ろして作業は進んでますが、次回はボアアップキットの詳細をお見せします!


ツボ8
ツボ8(戸籍上は坪内英樹):主に四輪誌などで活躍中のフリー・ライター。月刊四輪誌「ジェイズ・ティーポ」(現在休刊)在籍時代には510ブルーバードや240Zのレストア&日本一周の企画を大成功させた立役者。二輪免許は小型限定しか持っていないという筋金入りのG2(原付二種)フリーク。趣味はスクリューマウントのスーパータクマ―レンズを装着したEOS20Dでの写真撮影。

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2020/02/27掲載