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2023年に発売された新車の情報ページです

SUZUKI スズキの“アドベンチャー・ツアラー”V-Stromシリーズに800が登場

スズキの“アドベンチャー・ツアラー”V-Stromシリーズに800が登場




SUZUKI V-STROM 800DE 車両解説

 スズキのフラグシップ“アドベンチャー・ツアラー”として欧州を中心に人気を集めていたV-Strom 1000 ABSの国内仕様モデルが発売されたのは2014年6月。ハヤブサに続き、欧州仕様そのままのハイパワー仕様で国内市場への導入だった。

 1997年発売のTL1000S、そして翌1998年のTL1000Rに源を発するスズキのリッタークラスVツイン・スポーツに系譜をたどれるスズキの90度Vツインスポーツエンジン。セミカムギアトレインやラムエア機構、そしてF.I.採用などにより125PSのハイパワー(国内仕様は93馬力に抑えられていたが)エンジンを軽量なアルミツインスパーフレームに搭載した“じゃじゃ馬”マシンとしてのスタートだった。

“アドベンチャー・ツアラー”としてのヒストリーは、2002年、「次世代アドベンチャー・ツアラー・モデル」として生産を開始したV-Strom 1000の登場に始まる。より快適で上質なロングツーリングに最適なモデルとしてツーリングファンの支持を得ることに成功し、その後、2004年に発売開始した弟分のV-Strom 650と合わせて、「スズキに個性的なアドベンチャー・ツアラー・シリーズあり」を強く印象づけることに成功している。その後、V-Strom 1000は2007年に、650では2011年にエンジンから車体に至るまで、ほぼすべてを一新するモデルチェンジを受けている。

V-Strom 1000 ABSの国内仕様発売は、2014年。新型に生まれ変わるやすぐさま販売実績を塗り替えたというほどの人気となった海外仕様モデルをベースに、180km/hのスピードリミッターの追加、イグニッションキーの変更(海外仕様で備わるパーキングポジションを廃止、国内のレギュレーションに合わせた)、そして各種のコーションラベル類を日本語に変更、という3点のみの変更にとどめていた。

 ちなみに2代目V-Strom 1000 ABSへの変更点を取り上げておくと、エンジンでは、基本構造以外のほぼすべてを新設計。ピストン径をそれまでの98mmから100mmへとボアアップすることで、排気量を996ccから現状のシリンダーレイアウトではほぼ限界といえる1,036ccへアップ。最高出力は72.0kW(97PS)から74.0kW(100PS)に、最大トルクも101.0N・mから103.0N・mへとアップ。ピストン自体もサイズアップにもかかわらず、従来と変わらない重量と剛性も確保していたという。

 シリンダーヘッド周りでは、ツインイリジュウムスパークプラグが新たに採用された。イグニッションコイルも1気筒当たり2個を採用。フューエルインジェクションでもインジェクターホールを4から10に増やし、よりクリティカルなコントロールを可能とし、排出ガス規制もEuro3をクリア(従来はEuro2)、燃費を18.0km/Lから20.9km/Lに向上させている。フライホイールマグネトーの慣性重量は15%アップし、ISC(Idle Speed Control)システムを採用したF.I.スロットルボディの採用などとともに低回転時のコントロール性を大幅にアップしている。

 ラジエターの冷却能力を19.8kWから22.7kWに向上。オイルクーラーは廃止。さらに冷却システム全体でマイナス1.3kgの軽量化も実現。クラッチはスリッパークラッチ機能やアシスト機能を持たせたSCAS(Suzuki Clutch Assist System)を採用。マフラーは従来のツインマフラーからシングルへと変更、約4.7kgの軽量化を実現。

 車体周りでは、スズキの二輪車では初採用となるトラクションコントロールを採用。状況に合わせて2タイプのモード(オフを入れて3ポジション)を選択可能だった。フレームはツインスパータイプと基本構造はそれまで通りだったが、最新のFEM(有限要素法)解析によりほぼ一新され、剛性を33%アップさせつつ、重量は従来モデルよりも13%軽量化している。スイングアームは約36mm延長、ホイールベースも20mmの延長となった。フロントにはKYB製のφ43mm倒立式フォーク、リアにはプリロードアジャスター付サスを採用。フロントブレーキは異形対向4ピストンモノブロックラジアルマウントキャリパーにグレードアップ。ボッシュ社製のABSを標準装備している。

 ハンドルバーはそれまでのモデルよりも34mm後方に、フットレストも15mm後方にセッティングされ、ライダーの足着き性を向上させている。特徴的な上下2段にレイアウトされたヘッドライトを採用。そして必要にして最小限といえる、これまた特徴的なウインドスクリーンは、工具使用により3段階の高さ調節が可能。角度も3段階に調整が可能で、こちらは工具不要だ。メーターはデジタルの多機能メーターパネルを採用した。

“ワイルド&スマート”をデザインコンセプトにして生まれ変わった新型V-Strom 1000 ABS。ライバル各車がリッタークラスからさらに排気量を拡大、より大きく、より豪華なマシンへと変身していくのに対して、あくまで軽量&コンパクトさ、にこだわったマシン作りで“アルペンマスター”、アルペンルートでの最速マシン、という分かりやすい目標を実現するべく生まれ変わったモデルだった。この4世代目は、2015年12月に新色が追加設定されたのがラストとなった。新色2色の追加で、継続色合わせて計5色もが用意されるカラーラインナップとなっていた。

 弟分のV-Strom 650シリーズとよりイメージを統一した新デザインのスタイリングと、制動時の姿勢をより安定させてくれる“モーショントラックブレーキシステム”に注目だろう。従来からの“トラクションコントロールシステム”採用により加速時のホイールのスリップをコントロールしてくれるのは同一だが、今回、新たに採用された“モーショントラックブレーキシステム”ではABSも進化し、前後輪で協調作動するシステムに発展。バンク角の変化にも対応して前輪と後輪のABSの制動力を自動でコントロールし、より最適なブレーキング性能を発揮できるように制御してくれるという。

 最近の動きとしては、2018年3月に新色の「オールトグレーメタリックNo.3」(QEB)の追加が行われ、2019年3月にも、V-Strom 650 ABS/650XT ABSシリーズ同様カラーリング及びデカールの変更が行われ2019年モデルとなっている。

 そして2020年4月。3世代目へとフルモデルチェンジ。車名が「1000」から「1050」へと変わったが、排気量1,036cm3に変わりは無く、V型2気筒の基本構成もそのままだった。ただし電子制御スロットルの採用や吸排気タイミングの調整により、出力を5kW向上させながら、同時にその年の12月から新型の二輪車を対象に導入された令和2年排出ガス規制に対応させていた。また、出力特性を3タイプの中から選択可能なSDMS(スズキ・ドライブ・モード・セレクター)や3段階から選択可能なトラクションコントロールなど、様々な走行シーンに対応する電子制御システムS.I.R.S(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)を新たに搭載し、長距離ツーリングに求められる使い勝手や利便性を向上させている。

 最大の変更点といえるスタイリングは、1988年に発売されたスズキ初のアドベンチャーモデル「DR750S」をモチーフにしたデザインを、より現代風にアレンジすることで、スポーツアドベンチャーツアラーらしい力強いイメージを強調している。ボディを構成する各パーツも従来の丸みを持ったものから、直線を基調とし、DR750Sを強くイメージさせるシャープなスタイルとなった。

 高さの調整が可能なウインドスクリーン、アルミ製のテーパー形状のハンドルバーの標準装備、また、「V-STROM 1050XT」には、新採用のクルーズコントロールやヒルホールドコントロールのほか、荷重や下り坂に応じてブレーキを制御するロードディペンデントコントロールやスロープディペンデントコントロールなども搭載された。アルミ製アンダーカウリング、アクセサリーバー、センタースタンド、シート高調整機能、LED 式ターンシグナル、12Vアクセサリーソケットも新たに標準で装備している。

 また、V-STROM 1050XTには、車体色に「DR750S」をベースとした1988年のパリ・ダカール・ラリー出場マシン「DR-Z(ジータ)」を彷彿とさせる特別色「ヘリテージスペシャル」が設定された。

 2021年モデルとなった2021年3月のモデルチェンジは、さすがにカラーリングの変更のみ。黒/赤の「グラススパークルブラック/キャンディダーリングレッド」と、黒の「グラススパークルブラック」の2色となった。

 そして今回、新設計された、775cm3並列2気筒エンジンを量産二輪車で初めてクランク軸に対して90°に一次バランサーを2軸配置した「スズキクロスバランサー」を採用することで、振動を抑えながら軽量・コンパクト化を実現したV-STROM 800DEの登場へと繋がるのだ。
 

V-STROM 800DE。
V-STROM 800DE。

 

V-STROM 800DE。

 

★スズキ ニュースリリースより (2023年3月17日)

スズキ、大型二輪車 新型「V-STROM(ブイストローム)800DE」、
新型「GSX-8S」を国内で発売

 スズキ株式会社は、2022年11月に開催された「EICMA 2022(ミラノショー)」で発表したスポーツアドベンチャーツアラーの新型「V-STROM(ブイストローム)800DE」、ストリートバイクの新型「GSX-8S」を3月24日より国内で発売します。

 新型「V-STROM 800DE」、新型「GSX-8S」は、幅広いユーザー向けに、毎日の移動からツーリングまでの利便性を両立した軽量で扱いやすい800ccクラスの新型モデルとして開発しました。
エンジンは、775cm3並列2気筒エンジンを新設計し、量産二輪車で初めて※1クランク軸に対して90°に一次バランサーを2軸配置した「スズキクロスバランサー」※2を採用することで、振動を抑えながら軽量・コンパクト化を実現しました。

 新型「V-STROM 800DE」は、様々な走行シーンに対応する電子制御システムS.I.R.S(スズキインテリジェントライドシステム)を採用し、トラクションコントロールシステムに専用のGモードを設定しました。また、調整式の前後サスペンションと、フロントには大径の21インチホイールを装着、前後にセミブロックパターンのタイヤを採用しました。外装はV-STROMシリーズ共通のイメージを維持しながらも、シャープなスタイリングとし、タンクの下まわりやフロントカウルの先端部分にアクセントカラーを採用しました。

 新型「GSX-8S」は、S.I.R.Sに出力特性を3つの中から選択可能なSDMS(スズキドライブモードセレクター)や3段階から選択可能なトラクションコントロール、双方向クイックシフトシステム等を採用することで、様々な走行シーンやスキルに対応しました。また、軽量アルミ製スイングアームを採用し、操縦性を高めました。デザインでは、ショートマフラーに加え、エンジンやシートレールを露出させることで機能部品を美しく見せ、時代を先取りした斬新な独自性のあるスタイリングとしました。
 新型「V-STROM 800DE」、新型「GSX-8S」は、3月から4月にかけて大阪・東京・名古屋の3ヶ所で開催されるモーターサイクルショー※3に出品します。

※1 2022年11月時点、スズキ調べ。
※2 特許取得済み。
※3 第39回大阪モーターサイクルショー2023:3月17日から19日までインテックス大阪で開催
第50回東京モーターサイクルショー:3月24日から26日まで東京ビッグサイトで開催
第2回名古屋モーターサイクルショー:4月7日から9日まで愛知県国際展示場で開催

●商品名
 V-STROM 800DE
●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
 1,320,000円
●発売日
 2023年3月24日
 
●商品名
 GSX-8S
●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
 1,067,000円
 ※価格(リサイクル費用を含む)には、保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う費用は含まれない。
 

 

主要諸元

車名型式 8BL-EM1BA
V-Strom800 DE
発売日 2023年3月24日
全長×全幅×全高(m) 2.345×0.975×1.310
軸距(m) 1.570
最低地上高(m) 0.220
シート高(m) 0.855
車両重量(kg) 230
乾燥重量(kg)
乗車定員(人) 2
燃費消費率(km/L)※1 32.4(国交省届出値 定地燃費値※2 60km/h 2名乗車時)
22.6(WMTCモード値※3 クラス3 サブクラス3-2 1名乗車時)
登坂能力(tanθ)
最小回転半径(m) 2.7
エンジン型式   FRA1
水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ
総排気量(cm3) 775
内径×行程(mm) 84.0×70.0
圧縮比 12.8
最高出力(kW[PS]/rpm)※4 60[82]/8,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)※4 76[7.7]/6,800
燃料供給装置形式 フューエルインジェクション
始動方式 セルフ式
点火方式 フルトランジスタ式
潤滑油方式 圧送式ウエットサンプ
潤滑油容量(L) 3.9
燃料タンク容量(L) 20
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比 1速 3.071
2速 2.200
3速 1.700
4速 1.416
5速 1.230
6速 1.107
減速比1次/2次 1.675/2.941
キャスター(度) 28°
トレール(mm) 114
タイヤサイズ 90/90‐21M/C 54H
150/70R17M/C 69H
ブレーキ形式 油圧式ダブルディスク(ABS)
油圧式シングルディスク(ABS)
懸架方式 テレスコピック式
スイングアーム式
フレーム形式 ダイヤモンド

※平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応
※1:装備重量は、燃料・潤滑油・冷却水・バッテリー液を含む総重量となります
※2:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。実際の燃費は、使用環境(気象、渋滞等)や 運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※3:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※4:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※5:エンジン出力表示は、「ps/rpm」から「kW/rpm」へ、トルク表示は「kgf・m/rpm」から「N・m/rpm」へ切り替わりました。( )内は、旧単位での参考値です。
車体色YU1 : チャンピオンイエローNo.2
QT7 : グラスマットメカニカルグレー
YVB : グラススパークルブラック





2023/03/17掲載