ガンマの登場からすでに2年半、TZレプリカと呼ばれたRZで高性能化に火を付けたヤマハは、RZ250R、RRと正常進化を続けた後、スズキに続いて本格的レーサーレプリカモデルTZR250を投入した。バイクブームが盛り上がるにつれてレースに参戦する人も増加、ロードレース入門者からベテランまで幅広い層から高い評価を受けた市販レーサーTZ250のテクノロジーを惜しみなく投入したTZR250は、ニューモデルを待ち焦がれたレプリカ少年達の羨望の一台となった。発売翌年の登録台数は、2位のVTに13000台以上差を付けて約27000台を記録、その後熟成化、モデルチェンジを繰り返し、後方排気、Vツインと短期間で大きく深く進化していく。
新たに開発されたショートストロークの水冷2気筒エンジンは、YZR500やTZ250に採用されているクランクケースリードバルブを採用して、前後輪車重50:50のミッドシップで搭載。市販レーサーTZ250のベースにもなったアルミデルタボックスフレームにより、RZ250Rに比べてフレーム重量は約40%もの軽量化を達成した。フルカウルはクラス世界最小のCdA値0.268を達成。車体色はワークスカラーのホワイトのみの設定であったが、翌年4月にクリスチャン・サロンのゴロワーズカラーをイメージしたファラウェーブルーを、10月にはエディー・ローソンのチャンピオン獲得を記念したマールボロカラー、さらに1987年7月にはYSP仕様としてヤマハニューブラックが続々と追加された。
アルミシリンダーの内側をコーティングしたセラミックコンポジットメッキシリンダーを新たに採用して、補助排気ポートも新設。前年型のTZ250で採用したものと同等の大型リードバルブ、デジタル進角CDIなども装備。足周りもラジアルタイヤを装備するなど強化された。
「オン・オフモデルとストリートモデルの融和」をコンセプトに開発され、1987年の東京モーターショーで発表された新ジャンルのスポーツモデル。オフローダーイメージのスタイルながらフロント18、リア17インチのオンロードタイヤという車体で、アルミではなくスチールのダブルクレードルフレームにTZR250と共通の水冷2気筒クランクケースリードバルブエンジンの変速比を変更して搭載した。今日大流行のアドベンチャー系、X系といわれるモデルの先達的存在ともいえる。TDR250をベースとして製作されたワークスレーサーで、ファラオラリーにも出場している。シティユースでの使い勝手もよく、TZRよりも乗りやすく価格も安かったが、生まれた時代が早すぎたのか、カラーチェンジすらされることなく一代限りの短命に終わってしまった。翌年イメージを踏襲したTDR50/80も発売された。
1軸バランサーを組み込みボア×ストロークを変更、後方ストレート排気とした新設計エンジンにフルモデルチェンジ。キャブレター、CDIもデジタル制御に進化。カセットミッションや曲面クロスフローラジエター、φ298mmフローティングディスクに異径4ポッドキャリパーなども新たに採用された。カウルはエッジの効いたスラントノーズフェアリングで直線的なイメージに。5月には新色のブイマックスブルー×スターシルバーが追加された。
フロントは倒立フォーク、スイングアームはトラス構造と足周りを強化。吸排気ポートタイミングや 5、6速のギアレシオ変更、電子制御TM30SSキャブ、2ウエイコントロールYPVSなども採用され、主に中低速域での性能向上を図った。※消費税導入により以下の価格はすべて税抜き価格で表記。
乾式クラッチ、TM34S大径キャブ、減衰力調整機能付き前後サス、ダンロップライディーンタイヤなどを追加装備して、ラジエターの大型化などが行なわれたスポーツプロダクション仕様を1000台限定で発売。
初代TZR250のパラツインエンジンを、高張力鋼管製中空丸パイプによるニューワイドトラスフレームに搭載した新世代2ストネイキッドスポーツ。スイングアームは丸パイプ製で、楕円形状のトラスリアアームと呼ばれる構造。いわばRZ250の1990年代バージョンともいえる内容で、車名はR1-Zと書いて「アールワン・ズィー」と読む。 デビュー記念として予約者にはオリジナルスエットパーカーとゴールドのリザベーションカード(予約カード)がプレゼントされた。 9月に新色のビビアンレッドカクテル1が追加され3色のラインアップに。
ダウンチューブにクロスチューブを追加してフレーム剛性をアップ。さらにフレームには電着+静電塗装を施して見た目がブラックとなり、スパルタンなイメージが強くなった。ブレーキはTZRと同型の不等ピッチローター、パッドも材質が変更された。フロントサスペンションのセッティングを変更された。左集中ハンドルスイッチ、ハザードランプ、ヘッドライト常時点灯など各部が改良された。主要諸元、価格共に変更はない。
最終型は新たにラジアルタイヤを装着すると共に、エンジンのマウント方式を見直して振動を低減。ハンドルクラウン、ヘッドライトリム、メーターパネルがシルバーとなりミラーの外観も変更。新馬力自主規制に合わせて最高出力は40馬力にダウンした。
[青春のQ2カタログ その9 SUZUKI 水冷編-1| その10 YAMAHA 水冷編-2 |その11 HONDA 水冷編-2 水冷編]