RZ人気に反応したホンダはMVX250Fを投入。しかし同日ヤマハからRZ250Rが登場。で、スズキは? の回答がRG250Γであった。クラス最高の45馬力のエンジンにアルミフレーム、そしてワークスレーサーRGΓをイメージしたフルカウル、数々の新機構など満載し、一瞬にしてMVXとRZRを周回遅れにしてしまう強烈なニューモデルであった。最新の高性能高機能をフルカウルでパッケージしたガンマは、レーサーレプリカという新たなジャンルを生み出し、2ストスポーツのみならず、バイクブームをさらに加速させていく大きな力となった。
4ストロークのGSX-Rと共にレーサーレプリカブームの発端となったRG250Γ。「解らなくなったらレーサーを見に行け」との開発逸話が示すように、1982年WGP500チャンピオンマシンRGΓのエッセンスを満載していた。ボア54mm、ストローク54mmの新設計水冷2気筒エンジンは、当時クラス最強の45馬力。タコメーターは3000rpm以下の表示がない刺激的なもので、アルミ角パイプを使用したAL-BOXフレーム、リモートコントロールでスプリング、イニシャル調整可能なRCPLが付いたフルフローターサス、フロントフォークにダブルで装着されたクラス初のANDF(アンチノーズダイブ機構)、対向式ピストンキャリパー、ミシュランタイヤ、エアプレーンタイプのガソリンキャップなどなど、最先端の装備をレーシーなフォルムで包み込み、バイク青年のハートを燃え上がらせた。
発売当時はワークスカラーイメージの青×白のみだったが、夏頃に赤×白の新色が追加された。オプションで設定されたアンダーカウルとシングルシートカウルを装備したSBS仕様も限定発売されたようだが、発売時期等の詳細は不明。
アルミフレームはリブ付角パイプのMR-ALBOXに変更されて、約5パーセントの軽量化。電子制御エアコントロールシステムEACSの採用で低中速性能もアップした。ブレーキは世界初の計10個(フロント対向2ポッド×2、リア2)のピストンを持ったDecaピストンシステムに進化、あわせてカウル形状も小変更された。この仕様にアンダーカウルを標準装備した黄色いハーベーカラーが1000台限定で2月に先行発売され、スタンダードモデルは一ヶ月遅れて3月に発売された。
車体を一回りコンパクトに一新しモデルチェンジ。サブチャンバーを持つ排気デバイスSAECを新たに装備して、馬力の谷間が解消された。フレームも新設計のMR-ALBOXとなり、ステアリングヘッドやスイングアームピボット部分にはアルミキャスティングを採用。ANDFを進化させたポジティブダンピングフォーク、リアはピポッドに偏心カムを使用したE・フルフローターサスなどで足周りも一新された。メーターも3000rpm以下の表示がないタコメーターの表示は継承されたがホワイトベースの新デザインに。オプション設定のアンダーカウルを標準装備したモデルも20000円アップで設定された。5月にはアンダーカウルを標準装備した全日本選手権500クラスで活躍する水谷選手のウォルター・ウルフ仕様も2000台限定、499000円で発売された。
プッシュウインカーキャンセラー、サイドスタンド警告灯などを新たに採用。グラフィックを変更して車体色はホワイト・ブルー、グレイ・レッドに。アンダーカウル標準装備のフルフェアリング仕様も設定された。主要諸元に変更はないが、価格は469000円(フルフェアリング仕様489000円)にアップ。
1986年モデルがベースのウォルター・ウルフバージョンを追加。アンダーカウル、シートカウル、スペシャルキーが標準装備された。主要諸元に変更はなく、車体色はネイビーブルー。6月にシルバーメタリックもラインアップ。価格は共に509000円。
フロントブレーキディスク径275mm、フロントフォーク径38mm、フロントタイヤサイズ110/80-16、リアタイヤ120/80-17にアップし、ホイールも翼断面の中空キャストホイールに変更など足周りの強化を中心にモデルチェンジ。ウォルター・ウルフ仕様も新グラフィックとなり、2万円アップで同時にラインナップされた。
[青春のQ2カタログ その8 HONDA 水冷編-1| その9 SUZUKI 水冷編-1 |その10 YAMAHA 水冷編-2]