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名車図鑑



青春の2Q(2ストローク・Quarter)カタログ その7 ヤマハ水冷編-1


 1970年代後半、ホンダのロードパルやヤマハのパッソルに端を発したファミリーバイクが大ブームとなったこともあり、国内二輪車市場は急速に拡大、1970年は110万台規模だったものが1979年には190万台規模にまで達していた。スポーツモデルは、免許制度の改正という名の改悪によって400ccまでの中型クラスが主役となったこともあり、それまで中間排気量扱いであった250クラスは、車検もなく維持費も安いこともあり「クォーター」と呼ばれてじわじわと人気が上昇していった。
 1970年代後半といえば、国内では二輪に対する環境規制はほぼ皆無も同然であったが、北米を中心に排出ガス規制が徐々に強化されはじめた頃であり、250の中心勢力であった2ストロークスポーツの将来は、けして明るいばかりではなかった。そんな状況下で、2ストメーカーとして名を馳せたヤマハは、「最後の2ストスポーツを作る」という意気込みでRZを製作し大ヒットを飛ばした。それはまさに、2ストが最強にきらめいた最後の時代の幕開けでもあった。
高性能時代の扉を開けたRZ

 1980年に発売を開始したRZ250は、空冷エンジンのライバル車を一瞬のうちに時代遅れにした革新的なスポーツモデルであったが、それはまたパンドラの箱を開けた瞬間でもあった。バイクブームはさらに加熱し、当然ライバルメーカーも高性能モデルを投入したことでRZの天下は長くは続かなかったのだ。対抗するためRZはRZ250Rに進化するも、さらに上回るライバルが出現するという、バイク史上最も激烈な2スト戦国時代を迎える。レーサーレプリカに主役が移ったことによりRZは第一線を退くが、高性能競争のラインを外れたことにより、ノンカウルスポーツとしてその血統はしぶとく残り続けた。

1980年8月 YAMAHA RZ250(4L3)

「公道版TZが発売される」という噂どおり、1979年の東京モーターショーで初お披露目されたRZ250は大きな注目を浴びた。新設計の水冷2気筒ピストンリードバルブエンジンは、市販レーサーTZ250 をベースに開発されたもので、従来のRD250を上回る当時クラス最強の35馬力。オフロードモデル用として誕生し、ロードレーサーにも採用されたリアのモノクロスサスペンションは、市販ロードモデルでは初採用。スピード感あふれるスポーティなデザインと相まって、発売前から予約が殺到、発売後もバックオーダーが増加し続けるという大人気となり、2ストローク250の新時代に火を付けた。

RZ250 ニューヤマハブラック
RZ250 ニューヤマハブラック

RZ250 ニューパールホワイト
RZ250 ニューパールホワイト

●エンジン:水冷2ストローク2気筒ピストンリードバルブ ●総排気量(内径×行程):247cc (54×54mm) ●最高出力:35ps/8500rpm ●最大トルク:3.0kg-m/8000rpm ●全長×全幅×全高:2080×740×1085mm ●軸距離:1355mm ●乾燥重量:139kg ●タイヤ前・後:3.00-18・3.50-18 ●車体色:ニューパールホワイト、ニューヤマハブラック ●発売当時価格:354000円

1982年2月 YAMAHA RZ250(4L3)

タンクラインとカラーリングを変更。前年3月にはボアアップ版のRZ350が登場、その加速性能から「ナナハンキラー」と呼ばれた。

RZ250 ニューヤマハブラック
RZ250 ニューヤマハブラック

RZ250 ホワイト
RZ250 ニューパールホワイト

1982年7月 YAMAHA RZ250 YSP

YSP店限定で発売されたチャピィレッドのスペシャルカラーモデル。ミニカウルとアンダーカウルはオプションで設定された。価格はスタンダードモデルと同じ354000円。

RZ250 RZ250 YSP
RZ250 YSP チャピィレッド





1983年2月 YAMAHA RZ250R(29L)

ホンダMVX250Fの発売と同日、RZはミニカウルを装着したRZ250Rにフルモデルチェンジ。新たに排気デバイスのYPVSを追加装備し、中低速域と高速域の排気タイミングラグを克服、中低速域を犠牲にすることなくクラス最強43馬力を達成した。フロントはセミエアサス、リアのモノサスは軽量コンパクトなニューリンク式モノサスにバージョンアップし、ブレーキもフロントダブル、リアシングルのトリプルディスクなど大幅に強化された。

RZ250R ホワイト
RZ250R ホワイト

RZ250R ニューヤマハブラック
RZ250R ニューヤマハブラック

●エンジン:水冷2ストローク2気筒ピストンリードバルブ ●総排気量(内径×行程):247cc (54×54mm) ●最高出力:43ps/9500rpm ●最大トルク:3.4kg-m/8500rpm ●全長×全幅×全高:2095×710×1170mm ●軸距離:1385mm ●乾燥重量:145kg ●タイヤ前・後:90/90-18・110/80-18 ●車体色:ホワイト、ニューヤマハブラック ●発売当時価格:399000円

1983年4月 YAMAHA RZ250R YSP

前後ホイールをゴールド、ボディにストロボライン風グラフィックを追加した特別仕様をYSP店限定で発売。車体色はホワイト。

YAMAHA RZ250R YSP
RZ250R YSP ホワイト
1984年3月 YAMAHA RZ250RR(51L)

ハーフカウルを装備してRRにモデルチェンジ。強制開閉VMキャブやサイレンサー別体式のニュータイプマフラーなど吸排気系の改良で最高出力は45馬力にアップ。アルミスタビライザー、アルミセパレートハンドル、プッシュウインカーキャンセラーなども新たに装備。ミニカウルのRZ250Rは改良を受けず旧モデルが併売された。

RZ250RR ホワイト×チャピィレッド
RZ250RR ホワイト×チャピィレッド

RZ250RR ホワイト×フレンチブルー
RZ250RR ホワイト×フレンチブルー

●エンジン:水冷2ストローク2気筒ピストンリードバルブ ●総排気量(内径×行程):247cc (54×54mm) ●最高出力:45ps/9500rpm ●最大トルク:3.5kg-m/9000rpm ●全長×全幅×全高:2095×670×1190mm ●軸距離:1385mm ●乾燥重量:147kg ●タイヤ前・後:90/90-18・110/80-18 ●車体色:ホワイト×チャピィレッド、ホワイト×フレンチブルー ●発売当時価格:439000円

1984年5月 YAMAHA RZ250RR YSP

アンダーカウル、シングルシートカウル、ミシュランタイヤを標準装備し、専用のストロボライン風グラフィックとしたYSP仕様をYSP店限定で発売。車体色はシルキーホワイト×フレンチブルー。価格はスタンダードモデルより19000円アップの458000円。

YAMAHA RZ250RR YSP
RZ250RR YSP ホワイト

1984年8月 YAMAHA RZ250R(1AR)

フルカウルのレーサーレプリカが市場の中心となる中で、時代の流れに逆行するかのようなRZ250RRベースのノンカウルバージョンを追加。もちろん当時はまだネイキッドというブームも言葉もない時代であり、やはりヤマハは先見の明があるということだろうか。基本的にはRRと同等装備で、ハンドルやシート形状を変更。タンクのRZRの文字からかRZR250と表記されることもあるが正式な名称ではない。フルカウルのRZ250RRは変更なく併売された。

YAMAHA RZ250R
RZ250R ホワイト

●エンジン:水冷2ストローク2気筒ピストンリードバルブ ●総排気量(内径×行程):247cc (54×54mm) ●最高出力:45ps/9500rpm ●最大トルク:3.5kg-m/9000rpm ●全長×全幅×全高:2095×690×1070mm ●軸距離:1385mm ●乾燥重量:143kg ●タイヤ前・後:90/90-18・110/80-18 ●車体色:ホワイト ●発売当時価格:399000円

1985年4月 YAMAHA RZ250R

RZ250Rは登場から8ヶ月でグラフィックを変更。あまり好評でなかったRZRの文字はゴールドのYAMAHAロゴに。新たにブルーも追加されて2色ラインアップに。車体色はホワイト×チャピィレッド、ホワイト×クールブルー。

RZ250R ホワイト×チャピィレッド
RZ250R ホワイト×チャピィレッド

RZ250R ホワイト×クールブルー
RZ250R ホワイト×クールブルー

1986年7月 YAMAHA RZ250R(1XG)

フレームなど各部の軽量化やニューデザインのホイールでモデルチェンジ。タンクキャップは流行のエアプレーンタイプになり、ハンドルの位置やメーターデザインなども変更された。

RZ250R ホワイト
RZ250R ホワイト

RZ250R ファラウェーブルー
RZ250R ファラウェーブルー

●エンジン:水冷2ストローク2気筒ピストンリードバルブ ●総排気量(内径×行程):247cc (54×54mm) ●最高出力:45ps/9500rpm ●最大トルク:3.5kg-m/9000rpm ●全長×全幅×全高:2095×690×1070mm ●軸距離:1385mm ●乾燥重量:143kg ●タイヤ前・後:90/90-18・110/80-18 ●車体色:ホワイト、ファラウェーブルー ●発売当時価格:399000円

1987年7月YAMAHA RZ250R

ヤマハニューブラックが追加され、RZ〜RZR史上初のレギュラーモデルが3色のラインアップとなった。

YAMAHA RZ250R
RZ250R ヤマハニューブラック
1988年7月 YAMAHA RZ250R(29L)

軽快なハンドリングと操縦性を追求して車体をコンパクト化。前後17インチとなったホイールも中空キャストニューデザインに。イニシャルアジャスター付きフロントフォーク、φ282mm フロントディスクブレーキ、アルミ鍛造ハンドルなど装備も一新。ホワイトが先行発売され、ニューヤマハブラックは9月上旬に追加された。型式名も初代と同じ29Lが与えられたこのモデルは90年代半ば頃まで発売され、RZの最後を締めくくった。

RZ250R ホワイト
RZ250R ホワイト

RZ250R ニューヤマハブラック
RZ250R ニューヤマハブラック

●エンジン:水冷2ストローク2気筒ピストンリードバルブ ●総排気量(内径×行程):247cc (54×54mm) ●最高出力:45ps/9500rpm ●最大トルク:3.5kg-m/9000rpm ●全長×全幅×全高:2070×665×1065mm ●軸距離:1385mm ●乾燥重量:136kg ●タイヤ前・後:100/80-17・120/80-17 ●車体色:ホワイト、ニューヤマハブラック ●発売当時価格:384000円


[青春のQ2カタログその6 Kawasaki 空冷編-2| その7 YAMAHA 水冷編-1|その8 HONDA編-1]





2019/12/16掲載