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KAWASAKI Ninja H2 SX SE 車両解説
川崎重工ガスタービン・機械カンパニー、航空宇宙カンパニー、そして川崎重工グループ全体を横断する技術開発本部が総力をあげて開発した“究極のロードスポーツ”Ninja H2。2013年の東京モーターショーで、スーパーチャージャー付エンジンの単体モデルが展示され、翌2014年の11月4日、カワサキはスーパーチャージド・エンジンを搭載した市販マシンを「Ninja H2」として正式に発表、発売した。
ちなみに公道仕様マシンが「Ninja H2」で、もう1つのサーキット仕様が「Ninja H2R」としてラインナップされた。国内市場では、2015年7月にサーキット仕様の「H2R」のみを国内でも発売するとアナウンスされ、また、メーカー希望小売価格も実に540万円という超ド級プライスでの導入となった。
2015年11月には、2016年モデルが発売されたが、国内向けは依然サーキット仕様のH2Rのみで、2015年11月1日から2016年2月15日までが受注期間とされ、受注後約2~3ヶ月で納車されるスケジュールだった。また本体価格で30万円の値上も行われている。2016年11月発売の2017年モデルも、国内向けへはサーキット仕様のみで、2016年11月15日から2017年1月15日までの受注期間を設定、受注後2~3ヵ月で納車と前年と同様のシステムとなっていた。
2018年3月には、スーパーチャージドマシンの普及、H2のシリーズ化を推し進めようというカワサキから戦略的なニューモデル、Ninja H2 SXシリーズが登場。主にサーキット走行を楽しむコアなスポーツユーザーや、超ド級マシンを所有することに喜びを感じるオーナーといった、従来のH2のユーザー層とはまた異なったカワサキファンがターゲットで、日常的に公道での走りを楽しみ、ツーリング等にもちょくちょく出掛ける、というユーザー層に向けたスーパーチャージドマシンの提案、といっていいだろう。
価格も、300万円台クラスのNinja H2に対して、基本モデルといえるNinja H2 SXでメーカー希望小売価格1,998,000円とギリギリ200万円を切り、アップグレードモデルのこちらNinja H2 SX SEでも240万円を切るプライスに抑えていることから、多くのライダーにスーパーチャージドスポーツに乗ってもらいたいというカワサキの思いが伝わってくるプライス設定だった。
基本となるNinja H2とNinja H2 SXとの違いは、2人乗り+パニアケースの取り付けなどに対応したニューフレーム(特にリアフレーム部分は一新されている)の採用と、低中速回転域でH2をしのぐパワーを発揮する一方で、優れた燃費性能と日常での使い勝手が向上された“バランス型”スーパーチャージドエンジンの搭載だった。
そしてさらに同時発売されたのがアップグレードモデル、Ninja H2 SX SEで、フルカラーTFT液晶メーターパネルやLEDコーナリングライト、灯火類はヘッドライトからナンバー灯にいたるまですべてにLEDを採用。アップグレードモデルに相応しい機能を備え、Ninja H2 SXシリーズの一員として、ツアラーモデルに求められる多くの条件を満足させてくれるモデルだった。
2019年2月には、このNinja H2 SX SEの2019年モデルを発売するにあたって、細かな傷を自己修復するという特殊コーティング塗装の“ハイリーデュラブルペイント”が採用されて大きな注目を集めている。2019年10月、その“ハイリーデュラブルペイント”の採用等は変わらずにカラー&グラフィックの変更のみが行われて2020年モデルとしている。
現在のSEのポジションとしては、Ninja H2 SXの装備に加え、スカイフックテクノロジーを搭載したKECS(カワサキ・エレクトロニックコントロールサスペンション)、ブレンボ社製「Stylema」フロントブレーキキャリパーを装備したスペシャルモデルとなっている。
2022年3月のH2 SXシリーズのモデルチェンジでは、国産の二輪車メーカーとして、またスポーツツアラーとして、初めてボッシュ社のアドバンスト・ライダー・アシスタンス・システム(ARAS)を搭載。快適性と利便性を向上させることにより、ライダーが走りをより楽しむことができるようになったという。
また、エンジンおよび車体の制御システムを一新。トルクデマンド機能付きFI-ECU、6軸計測可能なIMU、コンパクトで高い演算能力を誇る加圧ポンプ付きABSを新たに採用。これらの連携により、エンジンとブレーキを協調制御し、よりスムーズな走行と、各種のライダーサポート機能を実現している。
この時に搭載されたARASは、車体前後に設置されたミリ波レーダーセンサーにより、接近する車両を検知。次の3つの新機能を提供し、ライダーに安心感とより高い快適性をもたらすと説明されていた。
1)ACC(アダプティブクルーズコントロール)
2)BSD(ブラインドスポットディティクション/死角検知)
3)FCW(フォワードコリジョンワーニング/前方衝突警告)
さらに、VHA(ビークルホールドアシスト)やESS(エマージェンシーストップシグナル)といった新機能も、カワサキ車として初搭載した。
インストゥルメントパネルには、新たに大きく見やすい6.5インチのフルカラーTFT液晶スクリーンを採用。従来からのスマートフォン連携に加え、新しいインフォテイメントアプリ「Kawasaki SPIN」により、電話、音楽、ナビゲーションなどのサードパーティ製アプリケーションをTFT液晶スクリーンに表示、操作することが可能となっている。
そのほか、エンジン各部の変更により、排出ガスのクリーン化や燃費の向上、中速域のトルクアップを実現。
スタイリング面では、ARASのレーダーセンサーを統合した新型アッパーカウルで外観を一新しつつ、排熱対策やシートデザインの修正などにより快適性を向上させている。さらに、スマートキーのKIPASSやタイヤプレッシャーモニタリングシステム(TPMS)などの利便性の高い機能も追加。ハイパフォーマンススポーツツアラーにふさわしいツーリング性能を獲得したという。
今回のマイナーチェンジではオートハイビーム(AHB)機能が搭載された。
★カワサキモータースジャパン ニュースリリースより (2023年3月8日)
Ninja H2 SX SE 発売のご案内
- 車名(通称名) Ninja H2 SX SE
- 型式 8BL-ZXT02P
- 型式指定・認定番号 20351
- メーカー希望小売価格
- 3,058,000円(本体価格2,780,000円、消費税278,000円)※カワサキケア含む
- カラー(カラーコード)
- エメラルドブレイズドグリーン×メタリックディアブロブラック(GN2)
- 発売予定日 2023年4月8日
- ※当モデルは二輪車リサイクル対象車両です。価格には二輪車リサイクル費用が含まれます。
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- ※当モデルはABS装着車です。
- ※当モデルはETC2.0標準装備車です。
- ※メーカー希望小売価格は参考価格です。
- ※当モデルは「カワサキケアモデル」です。
マーケットコード ZX1002PPFNN
【Ninja H2 SX SE】
パワーと燃費性能の両立を目指して開発されたバランス型スーパーチャージドエンジンを搭載するNinja H2 SX SE。Ninja H2 SXの装備に加えKECS(カワサキエレクトロニックコントロールサスペンション)を搭載し、路面やライディング状況に合わせ瞬時に減衰力を最適化します。また、ショーワのスカイフック式EERA(電子制御ライドアジャスト)テクノロジーにより、タイヤの接地感を高め、コーナリング時に優れた安定性を実現します。
- ■主な変更点
- ・AHB(オートハイビーム)の採用
- ■カワサキケアモデルとは
- 安心・安全なモーターサイクルライフをサポートするため、1ヶ月目点検に加え、3年間の定期点検とオイル交換(オイルフィルター含む)を無償でお受けいただけるモデルです。
主要諸元
車名型式 | ZX1002PPFNN | |
---|---|---|
Ninja H2 SX SE | ||
発売日 | 2023年4月8日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.175×0.790×1.260 | |
軸距(m) | 1.480 | |
最低地上高(m) | 0.130 | |
シート高(m) | 0.820 | |
車両重量(kg) | 267 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 28.4(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | |
18.4(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 3.2- | |
エンジン型式 | – | |
水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 998 | |
内径×行程(mm) | 76.0×55.0 | |
圧縮比 | 11.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 147[200]/11,000(ラムエア加圧時:154[210]/11,000rpm) | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 137[14.0]/8,500 | |
燃料供給装置形式 |
フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフスターター | |
点火方式 | バッテリ&コイル(デジタル) | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ式 | |
潤滑油容量(L) | 4.7 | |
燃料タンク容量(L) | 19 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 3.076 |
2速 | 2.428 | |
3速 | 2.045 | |
4速 | 1.727 | |
5速 | 1.523 | |
6速 | 1.347 | |
減速比1次/2次 | 1.480/2.444 | |
キャスター(度) | 24.7 | |
トレール(mm) | 103 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70 ZR17M/C 58W |
後 | 190/55 ZR17MC 75W | |
ブレーキ形式 | 前 | φ320mm油圧式デュアルディスク |
後 | φ250mm油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | φ43mm倒立テレスコピック式 |
後 | スイングアーム(ニューユニトラック) | |
フレーム形式 | トレリス |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。