全日本ロードレース選手権の最終戦が行われている三重県の鈴鹿サーキットで記者会見が行われ、2023年からJSB1000クラスがカーボンニュートラル・フューエルを導入することが発表された。
2024年からMotoGPやSBKで40%非化石由来原料の燃料の導入が決定されている。四輪の最高峰F1でも2022年から10%、2026年から100%の非化石由来の燃料を使用する。スーパーGTはすでに、2023年よりハルターマン・カーレス社のカーボンニュートラル・フューエルを使用することを4月のスーパーGT開幕戦・岡山で発表している。
全日本ロードではJSB1000、ST1000、ST600、J-GP3が開催されているが、2023年からJSB1000でカーボンニュートラル・フューエルが使用されることが決定した。
燃料のサプライヤーはスーパーGT同様、ハルターマン・カーレス・ジャパン社だ。イギリスとドイツの合併会社で、150年以上の実績がある。原料は第2世代バイオマスと呼ばれる木材のチップや植物の端切れで、これを燃料に変更することで86トンのCO2がオフセットできる。
国内4メーカー(カワサキ、スズキ、ホンダ、ヤマハ)がすでにベンチテストを行い、エンジンに改造を施す必要がなく、セッティングレベルで使用可能であることが確認された。テストでは、エンジンの出力は約1%のダウン、燃費も最大5パーセント悪くなったことを受け、これまでの周回数を減らすなどで対処する。
価格は国内外の車両メーカーやタイヤメーカーなどが分担してコストを負担。また、ハルターマン・カーレス・ジャパン社がオフィシャルサプライヤーとして協賛するため、エントラント側は特別価格で購入できるが、これまでの倍のコスト増となる。
最終戦で発表され、来季から採用という急展開に、チームから戸惑う声も聞こえるが、カーボンニュートラルへの対応が急務であり、エンジンを使用するレースが生き残る道でもあるだろう。4メーカーの代表者たちは、この決定を歓迎していた。現状は、JSB1000への対応のみの発表だが、他クラスへの波及も検討する。
(レポート:佐藤洋美)