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試乗・解説

SUZUKI KATANA いま、カタナが新車で買えるという感謝
2019年モデルとして発売された「水冷カタナ」ことKATANAも
デビュー4年目を迎えてマイナーチェンジ。
ベースとなっているGSX-S1000のアップデートに合わせて
電子制御アイテムを満載してのお色直しとなった。
■試乗・文:中村浩史 ■撮影:富樫秀明 ■協力:SUZUKI https://www1.suzuki.co.jp/motor/ ■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html、クシタニ https://www.kushitani.co.jp/




鳴り物入りの大物のその後

 2018年10月のドイツ・インターモトで姿を現わしたKATANA。あの、80年代の名車、GSX1100Sカタナを思わせるスタイリングで、150psという現代のパフォーマンスを発揮するロードスターの登場は、世界中のカタナファンたちを歓喜させてくれた──わけじゃなかった。
「あれはカタナじゃないよ」から始まって、カタナの名前にそぐわない、空冷カタナと一緒にしてくれるな、もっと専用設計のディテールが欲しかった等々、賛否両論でいえば「否」の意見も少なくなかったように思う。
 ただし、KATANAを否定的に捉えるのは、オーナーをはじめとした「空冷カタナ」が大好きなファンたち。期待しただけに、がっかりしたんだろうけれど「コレジャナイ」感は確かにあった。年齢は、カタナのリアルタイムを知っている40歳代後半、50歳以上のバイク乗りたち。
 

 
 けれど、問題は新しいファンだ。これから先のバイク界を背負ってくれる若いファンたちは、この水冷KATANAを歓迎していた。カタナが好き、スタイリングがカッコいい、けれど空冷カタナは、彼らに簡単に買えるバイクではなくなってしまっていたのだ。

 カタナといえば81年デビュー、94年に日本国内販売が開始され、ファイナルエディションが2000年。もう、軽く20~30年以上が経過しているクラシックバイクだ。もちろん、名車ゆえに現存数は多いけれど、きちんと走るカタナを買おうとするなら、200万円ならお買い得、300~400万円は当たり前、手に入れたって純正補修パーツすら満足に手に入らないことも多い、乗り続けることが困難なモデルになってしまっているのだ。
 だからこその水冷KATANA。ABS付きの150psを発揮する水冷4気筒エンジン、アルミフレームでトラクションコントロール付き。空冷カタナを思えば、160万円出せば、これから20年30年乗っていくことができるのだ。
 

 

何にも似ていない、現代のバイク

 その水冷KATANAは、GSX-S1000をべースとしながら、やはり乗り味が独特なストリートバイクだった。150psを発揮する水冷4気筒エンジンは、中回転でのトルクが印象的なパワー特性で、発進トルクを出すために、スロットルプーリーの形状を楕円形としたり、極低回転での回転ドロップを防ぐローrpmアシストやスリッパークラッチも装備している。
 扱いやすいエンジンを搭載している車体は、短く小さいボディで、コンパクトでくるくる回るスポーツバイクとしている。ベースとなったGSX-S1000との違いはライディングポジションで、アップハンドルのおかげでアイポイントも高いし、フロントに荷重をかけすぎない分、軽く自然なハンドリングを味わうことができる。
 つまり、小さく扱いやすい、軽く自然なハンドリングのビッグバイク――それが水冷KATANAなのだ。
 もちろん、空冷カタナを思わせるスタイリングは、何にも似ていない。これは、カタナが外してはならない絶対条件だから。
 

 
 2022年モデルの水冷KATANAは、ベースモデルのGSX-S1000のアップデートに合わせて、新規排出ガス規制に対応し、TbW(=スロットルバイワイヤ)を採用し、電子制御のアイテムを充実させた。シフトUP&DWN両方向のクイックシフト、トラクションコントロールは3段階設定から5段階に増え、ドライブモードセレクタを追加。初代の水冷KATANAに「ぜひ欲しい」と切望されていたメカではないが、最新モデルとして標準装備されていて当然、なメカを追加しているのだ。
 

 
 走ったフィーリングは、強い中速トルクがさらに強化された印象。あれれ、こんなパワーアップした?? と思うほど力強く、スロットルの開け閉めにすごく敏感。無造作に開けると、ドンとトルクがやってくる強さなのだ。
 だからこそ、パワーモードセレクトがA/B/Cと3段階に選べるのはありがたかった。ピックアップがシャープなフィーリングが楽しい時間帯もあるけれど、長時間乗った後に穏やかに走りたい時は「B」モードにすればいいからだ。先代の水冷KATANAよりも、明らかにスロットルコントロールがダイレクトになっている。
 ただでさえ小さくコンパクトなボディだと思っていた水冷KATANAは、力強いエンジン特性があって、もっと小さく、軽く感じられるようになった。もちろん、これだけの変更でバイクのキャラクター自体が変わってしまうことはないが、先代よりももっとストリートをキビキビ走れる――そんな側面がより際立っていると思う。
 

 

けれどKATANAは何になりたいのだろうか

 ただし、僕は正直いうと、やはりKATANAの素性をつかみかねている。
 走りはキビキビとストリートを駆け、ロングランだって快適にこなすことができる。けれど、1000ccのバイクだというのに12Lしかないタンク容量はツーリングバイクになり得ないし、ショートシートはタンデムがしづらいし、荷物も積みにくい。ワインディングを走るにはGSX-R1000Rの方が気持ちいいに決まっているし、ツーリングに出るならVストローム1050がいい。
 実は、僕はGSX1100Sカタナのオーナーだ。もう20年の付き合いで、僕はカタナをツーリングバイクとしても使ってはいるけれど、ひょいと街乗りをして「お、カタナだ」って見られるのも大好き(笑)。
 自分のバイクを「愛車」と呼べること。自分のバイクに誇りを持って、この先20年を乗っていこうと思っていること。それってバイク乗りとして幸せなことだ。そんな人に、水冷KATANAを勧めたい。
(試乗・文:中村浩史)
 

 

GSX-S1000をベースとする水冷4気筒エンジン。マイナーチェンジでスリッパークラッチを装備し、TbW、切り替え式パワーモードを採用。トラクションコントロールは3段階から5段階へ、シフトアップ&ダウンともクラッチレバーを使わずにシフトワーク出来るクイックシフトを採用した。現代のスポーツバイクの必要装備だ。

 

マイナーチェンジでΦ43mm倒立フォークのアウターチューブがゴールドに。ブレーキはΦ310mmのフローティングローターにブレンボ製モノブロックキャリパーをラジアルマウント。ブレーキパフォーマンスに不満なし。

 

KATANAの特徴のひとつである、スイングアームマウント式リアフェンダー&ナンバープレート。マフラーはGSX-S1000ともども入念にサウンドチューニングされ、太くて低いイイ音を目指した。

 

GSX-S1000と基本構成を同一とするアルミツインスパーフレーム。KATANAの乗り味、ハンドリングのキャラクターは、このフレームで決まっていると言っていい。事情が許せば、150km/h巡行も苦ではないバイクだ。
タンク、サイドカバー、フロントカウルのつながりは、カタナのデザインを上手く昇華させていると思う。けれどタンク容量12Lはいかにも少ない。今回の実測燃費は17.5~19km/L。航続200kmでガソリン残量の心配をしなきゃならないのは、ビッグバイクとしてちょっと不満だ。

 

前後にやや段差のあるシートはライディングポジションが固定されがち。身長178cmの僕は、もう少し後ろに座りたい感じだった。シート下はバッテリーアクセスできるが、余剰スペースはほとんどない。

 

シート裏にはスパナ1本とアーレンキーが収納され、ドローコード用のフラップも内蔵されている。フラップを内蔵しているのはいいアイディアだが、シート幅や短さからくる面積の小ささから、積載能力は高くない。ヘルメットホルダーはシート下フックにDリングをかけ、シートと共締めするタイプ。

 

カタナのデザインをうまく昇華したKATANAのヘッドライトカウルからサイドカウル、サイドカバーにかけてのデザイン。ライト下はLEDポジションランプで、ウィンカーは別体なのもちょっと惜しいところ。

 

ギアポジション表示付きのフルデジタルメーター。ライディングモードやシフトアシスト項目が追加され、スピード表示の下にはオド&ツイントリップや平均&瞬間燃費、残ガス走行距離計などを表示する。
GSX-S1000と大きく違うライディングポジション。上半身は起き、下半身はコンパクトなポジションがKATANA流。左ハンドルスイッチに、各種制御や設定のボタンがあり、右ハンドルスイッチはハザードとセルボタンのみ。セルボタンはワンプッシュだけでエンジン始動まで自動で回り続けるイージースタートが便利だ。

 

リアサスはなかなかセッティングが難しい。プリロード調整機構付きで、低速ではちょっとハネ気味で、高速域ではよく動くタイプ。もっとしっとり、乗り心地いい動きをめざしたい。写真のスプリングを覆っているフラップはリアサスに汚れはねがないようにするための細かい配慮だ。
ウィンカーもナンバープレートも装着しないテールランプもKATANAの、KATANAらしいところ。ただし、リアフェンダーの本来の目的である「ドロはね防止」はあまり期待できません。

 

●KATANA 主要諸元
■エンジン型式:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■排気量:999cm3 ■ボア×ストローク:73.4×59.0mm ■最高出力:110kW(150PS)/11,000rpm ■最大トルク:105N・m(10.7kgf・m)/9,250rpm ■全長×全幅×全高:2,130×820×1,100mm ■ホイールベース:1,460mm ■シート高:825mm ■装備重量:215kg ■燃料タンク容量:12L ■変速機:6段リターン ■タイヤ:前・120/70ZR17 M/C(58W)、後・190/50ZR17 M/C(73W) ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS) ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):\1,606,000

 



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2022/09/09掲載