■GSX-S1000GT
報道機関向けに公開された開発陣のモデル解説動画で、チーフエンジニアの安井信博氏は、「GSX-S1000GTは上質なツーリング体験を提供するために新開発したグランドツアラーであり、2015年に発売したGSX-S1000Fの進化形ではない」と明言した。
GSX-S1000というネイキッドスポーツモデルと基本コンポーネンツを共有することは、これまでラインナップしてきたGSX-S1000Fと同じ。しかし、ベースとなるGSX-S1000そのものがモデルチェンジを受け、パフォーマンスが向上するとともに、先進の電子制御技術を搭載したことで、幅広いキャラクターを造り上げることが可能となった。そのことで新型GSX-S1000の高い動力性能をより扱いやすくチューニングし、トレンドデザインと空力性能を融合させ、グランドツアラーに求められる長距離走行の快適性も兼ね備えたGSX-S1000GTのコンセプトが可能になったのだという。そしてGSX-S1000GTは、「スズキの二輪車が目指す楽しさ、使いやすさ、驚きを具現化したモデル」であるという。
最大の特徴は、車体デザインと装備にあるだろう。スーパースポーツ由来の、軽快な車体のポテンシャルをスポイルしないよう、空気抵抗の少ないコンパクトなカウルをデザイン。防風効果を高めるため、解析と風洞実験によるカウルの形状検討を繰り返したという。ヘッドライト周りから車体後方に向かう、小さなウイングやいくつものキャラクターライン、さらにはミラーの形状にいたるまで、走行風圧をコントロールして快適性とスポーツ性の融合が図られている。
またGSX-S1000とは異なるシートレールは、このGSX-S1000GTのために新設計したもの。サイドケースの装着、タンデムでの長距離走行時でも、スポーツ性能や高速走行時の直進安定性を損なうことなく、ライダーおよびパッセンジャーの快適性を向上。さらにはシート下にその特徴的なトラス構造を部分的に露出させることで、デザイン的なアクセントになっている。
純正アクセサリーとしてラインナップされているサイドケースは、車体開発と同時に、デザインおよび設計が行われた専用アイテムだ。フルフェイスヘルメットを収納できる大容量を確保しながら、シャープな車体デザインとのシンクロ率も高く、またコンパクトにデザインされている。
前後サスペンションのセッティングをGSX-S1000GT専用とするのはもちろん、ダンロップSPORTMAX Roadsport2ラジアルタイヤの内部構造も専用設計とし、スポーツツーリングモデルとしての完成度を高めている。
そしてメーターディスプレイは6.5インチのフルカラーTFTデジタルディスプレイを採用。それにスズキの二輪車としては初となる、スマートフォン連携用のアプリ「SUZUKI my SPIN/スズキ・マイ・スピン」と連携が可能。電話の発信や着信、地図の表示、音楽再生などが可能になり、ライダーおよびパッセンジャーが利用するインカムとの連携もできる。またSUZUKI my SPINのシステムに登録されたサードパーティー製アプリをスマートフォンにインストールすることで、その使用用途をさらに広げることもできる。
ボディカラーは、トリトンブルーメタリック、リフレクティブブルーメタリック、グラススパークルブラックの3色がラインナップ。価格は159万5000円である。
■KATANA
ベースモデルである、スポーツネイキッドモデルのGSX-S1000がモデルチェンジを受けたことにともない、「KATANA」も新しくなった。
変更点は、電子制御スロットルシステムの採用や、吸排気系の変更だ。これにより欧州でのユーロ5規制、および平成32年(令和2年)国内排出ガス規制をクリア。同時に、最高出力も向上させている。
また電子制御スロットルシステムの採用により、電子制御システム/スズキ・インテリジェント・ライド・システム(S.I.R.S.)を新たに搭載することが可能になった。S.I.R.S.は電子制御スロットルシステム、出力特性を3つのモードから選択できるスズキドライブモードセレクター(SDMS)、選択幅を広げ5 段から選択可となったスズキトラクションコントロールシステム、クラッチレバーを操作しなくてもシフトアップ/ダウンができる双方向クイックシフトシステム、発進時や低回転走行時にエンジン回転の落ち込みを制御するローRPMアシスト、ワンプッシュで始動が可能なスズキイージースタートシステムで構成されている。
このシステムによって走行条件や路面状況、ライダーの経験やスキルに合わせた最適な設定を提供し、ライダーが求めるニーズに合わせたパフォーマンスを実現している。
ボディカラーは定番のシルバーと、新色のマットブルー。シルバーは21年モデルから、SUZUKIロゴ色やフロントフォークアウターチューブ色、ホイール色を変更。また昨年開催されたEICMAで発表されたグレーのボディカラーはラインナップされていない。
■GSX-S1000GT 詳細解説
■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:998cm3 ■ボア×ストローク:73.4×59.0mm ■圧縮比:12.2 ■最高出力:110kW(150PS)/11,000rpm ■最大トルク:105N・m(10.7kgf・m)/9,250rpm ■全長×全幅×全高:2,140×825×1,215mm ■軸距離:1,460mm ■シート高:810mm ■装備重量:226kg ■燃料タンク容量:19L ■変速機: 6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70ZR17M/C・190/50ZR17M/C ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS) ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,595,000円
■KATANA 詳細解説
■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■排気量:998cm3 ■ボア×ストローク:73.4×59.0mm ■最高出力:110kW(150PS)/11,000rpm ■最大トルク:105N・m(10.7kgf・m)/9,250rpm ■全長×全幅×全高:2,130×820×1,100mm ■ホイールベース:1,460mm ■シート高:825mm ■装備重量:215kg ■燃料タンク容量:12L ■変速機:6段リターン ■タイヤ:前・120/70ZR17 M/C(58W)、後・190/50ZR17 M/C(73W) ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS) ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,606,000円
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