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3年振りの日本開催、地元選手が本領発揮の大活躍!

 宮城県村田町のスポーツランドSUGOで、15年振りにモータースポーツの国際大会「アジアロードレース選手権」(ARRC)第3戦が開催された。日本のほか、マレーシアやタイなど10カ国から約100のライダーが出場した。これまでARRCはオートポリスや鈴鹿サーキットで開催されたことがあるが、SUGOは初開催。そしてARRC日本ラウンドは新型コロナウィルスの影響で3年振りとなった。8月13日(土)に公式予選とレース1が行われ、14(日)にレース2が実施された。ASB1000の埜口遥希、SS600の荒川晃大というふたつの才能が強烈な印象となって、アジア大会を彩った。


■ASB1000


 最高峰のASB1000は、これまでは地元の利を生かしてワイルドカードライダーの活躍が顕著だったが、今回はレギュラーライダーの埜口遥希(SDG Motor Sports HARC-PRO Ph.)が強さを示した。

 埜口はポールポジションを獲得。決勝も赤旗やスタートディレイがあったが、3度ともスタートを決めてレースをリード。圧倒的な走りを見せ、一度もトップを譲らず独走でポール・トゥ・フィニッシュ。埜口は前戦マレーシアのレース2に続いて2連勝。ポイントランキングでも暫定トップに踊り出た。

 2位には玉田誠が監督を務めるHonda Asia-Dream Racing with SHOWAのザクワン・ザイディが入り、カスマ・ダニエル・カスマユディン(YAMAHA Racing Team ASEAN)が3位に入った。

 レース2でもポールポジションから好スタートを見せた埜口がホールショットを奪いレースをリードする。だが、カスマ・ダニエル・カスマユディンと一騎打ちのトップ争いとなる。レース中盤にはカスマがトップを奪う。最終ラップ、4コーナー「馬の背コーナー」をカスマが抑える。しかし、最後の勝負所である最終シケイン進入で埜口が前に出てチェッカーフラッグを受けダブルウィンを達成した。

 3位争いは、ザクワン・ザイディを先頭にアピワット・ウォンタナノン(YAMAHA Thailand Racing Team)、伊藤勇輝(YAMAHA Racing Team ASEAN)、ワイルドカードの豊島怜(JDS DOG FIGHT RACING YAMAHA)の4台が接近戦を見せ最終ラップのシケイン進入、ザクワンのインをアピワットが突き、2台が失速し、伊藤が3位でゴールした。

 埜口は、この大会のために6月の全日本SUGO大会ST1000にスポット参戦、國峰啄磨との熾烈なトップ争いを見せ、最後の勝負に周回遅れが絡む不運もあったが2位となり悔しさを抱えていた。「あの時と同じ展開になるのだけは阻止したかった」と渾身の走りで勝利をもぎ取ったのだ。

 このアジア戦は、日本最大のバイクイベント「鈴鹿8時間耐久」の翌週開催だったことで、埜口は鈴鹿8耐参戦を断念している。埜口は「全日本に出させてもらったのも、この大会のため。鈴鹿8耐よりも、この大会に集中してほしいというチームの意向もあった。チームが重要だと考えている大会で、勝てて良かった」と安堵していた。

 埜口はアジアタレントカップ出身で、世界進出を期待されている逸材だ。昨年は全日本ST600チャンピオンを獲得し、今季からARRC参戦している。それも初のトライとなる1000で、開幕戦から表彰台に登る非凡さを発揮。今大会で、ランキングトップに浮上し、残り2戦でシリーズタイトルを狙う。

埜口遥希(SDG Motor Sports HARC-PRO Ph.)
伊藤勇輝(YAMAHA Racing Team ASEAN)
ザクワン・ザイディ(Honda Asia-Dream Racing with SHOWA)


■SS600
 ワイルドカード参戦した荒川晃大(MOTO BUM HONDA)が、ポールポジションからスタートし、トップに立つと、そのまま独走でアジア選手権初優勝を飾った。2位にアンディ・ファリド・イズディハール(ASTRA HONDA Racing Team)が続き、3位に代役参戦した阿部恵斗(ONEXOX TKKR TEAM)が入っている。

 レース2は、荒川がアンディ・ファリド・イズディハール(ASTRA HONDA Racing Team)とトップ争いを展開。シケインの進入でアウトからアンディをパス、さらにインに入るアンディを、アウトから抜くという巧妙さを見せトップに浮上した荒川は、最終ファイナルラップに突入。1コーナーでアンディが、痛恨の転倒。荒川が独走でチェッカーフラッグを受けダブルウィンを飾った。阿部はトラブルリタイヤとなった。

 荒川は「全日本昇格で初めて出た2019年のARRC鈴鹿は、覚えていないくらいひどい結果だったので、3年たち成長した自分を見せたかった」と語った。

 全日本ST600でも期待のライダーとして大きな注目を集める荒川は、独走優勝が勝ちパターンだ。2018年に参戦した地方選では全勝、それも独走で、バトルの経験がないという桁違いの才能を持つ。全日本でもコースレコードを樹立する速さを示すが、百戦錬磨のベテラン勢に阻まれ、混戦になると本来の力を示せていなかった。だが、今回のアジア戦では、競り負けない強さを発揮、成長した姿を示す。現在、全日本ST600ランキング3位、残り3戦で逆転タイトルを狙う。

荒川晃大(MOTO BUM HONDA)
阿部恵斗(ONEXOX TKKR TEAM)


■AP250

 レース1は、ウエットコンディションで行われ、大荒れのレースとなった。田中敬秀(TEAM TEC2&YSS NTR.JP)とアルディ・スティア・マヒンドラ(YAMAHA Racing Indonesia)がハイペースでの戦いを演じる。アルディはトップに立つが転倒し、田中がトップでチェッカー。アジア選手権には年齢制限があり、田中は50歳のギリギリの参戦、最初で最後のアジア選手権AP250で初優勝を達成した。2位に中村龍之介(ENDLESS TEAM SHANTI)が入った。

レース1優勝の田中敬秀(TEAM TEC2&YSS NTR.JP)


 レース2は、井吉亜衣稀(Motul Sniper Manual Tech Racing Team)がトップ争いを繰り広げるが最終ラップのシケインで3台が絡むアクシデントでリタイヤ。中村は4位。田中は接触され転倒リタイヤでダブルウィンとはならなかった。


■TVS レース

 今季から始まったインド製のTVSアパッチのワンメイクレースには、昨年の全日本J-GP3チャンピオンの尾野弘樹が参戦。レース1はポールポジションから優勝。3位に全日本J-GP3の田中風如が入った。レース2は尾野は2位。田中は3位で表彰台に登った。

レース1優勝の尾野弘樹


■UB150
 フル参戦している上江洲葵要(Team One For All)がポールポジションを獲得するが、レース1はトラブルで12位。レース2は8位でチェッカー。


「アジアロードレース選手権」とは?
アジアにおける国際ロードレース選手権として1996年にスタート。2018年までは600ccと250ccのスポーツバイクによるSS600、AP250、アンダーボーンバイクでのUB150が行われてきた。そして2019年から1000ccマシンによるASB1000が新設され、世界へのステップアップをめざすライダーの成長や、アジア全域のモータースポーツのさらなる発展を担う。

レース先進国である日本は、アジアのレースがスタートした当初から、ライダー、メカニックをアジアに送り、アジア各国のスタッフは、驚くほどのスピードで技術を吸収して行った。今では日本人を凌ぐライダー、メカニックが育っている。

(レポート:佐藤洋美)







2022/08/24掲載