小型AT限定で乗れるスーパーカブシリーズ
発売中の「月刊オートバイ」2022年8月号で、吉本の芸人さん「銀シャリ」の鰻和弘さんのインタビューをさせてもらいました。鰻さん、以前にもお話を伺ったこともあって、ときーどき連絡をくださるんですが、22年の年明けですかね、LINEをいただいたんです。
「免許取りました! バイク買いました!」って。
実は鰻さん、リトルカブ50のオーナーさん。15年で4万kmも乗り続けてきたヘビーユーザーで、なんと20年近く、クルマの免許どころか原付免許しか持っていない人だったんです。
──お、ついに免許取ったんですね。なに買ったんです?
「それがねー、ハンターカブ買うたんです! YouTube上げたから見といて~」と、巧妙に告知されたんですな(笑)。それで「銀シャリチャンネル【公式】 – YouTube」を見たらなんと、ハンターカブを買ったはいいけど、取った免許は小型免許、それもAT限定!
「ハンターカブ乗りたくて取った免許やからねー。ハンターカブ、小型AT限定で乗れるじゃないですか!」
インタビューの模様、鰻さんのバイクライフ、詳しくは月刊オートバイ8月号をご覧ください。鰻さんがAT限定小型免許を取って、ハンターカブを買うまでの様子がアップされているYouTube、楽しいですよぉ。
鰻さんと必ずしも同じパターンじゃないだろうけれど、2021年に“小型AT限定免許”を取ったユーザーが、過去最高だったんだそうです。小型限定免許は12年連続の増加、前年比22%アップで過去最高を更新、その中でもAT限定は約30%の増加なんだって。つまり、小型限定免許の増加数はほとんどAT免許ってこと! ちなみに小型限定免許の中でのAT限定の割合は約74%なんだそうだ。
これは、もちろん原付ニ種のAT=つまり125ccスクーターに乗るための小型AT限定免許取得者数増加がメインなんだと思う。けれど、この小型AT限定免許って、クラッチ(操作)のない125ccまでのバイク、つまりスーパーカブファミリーにも乗れちゃうんです! だからハンターカブに乗りたくて小型AT限定免許を取った鰻さん、正解なんです。
こちらの動画が見られない方、大きな画面で見たい方はYOU TUBEのWEBサイトで直接ご覧下さい。https://www.youtube.com/channel/UCZmht60DHgMWrQRygE8g7wg |
現在のカブファミリー人気ナンバー1といえば、これはハンターカブで間違いないでしょう。けれど、このハンターカブ、大人気がゆえに生産と輸入が追い付かず、さらに22年11月生産分から適用される「令和2年排出ガス規制」対応のため、22年7月現在、受注停止となっています。つまり、買いたくても買えない、乗りたくても乗れない状況が続いているんです。
さらに、バイク乗りの悪いクセで「街中に増えすぎたら他のバイクに目が行っちゃう」からか、CT125の次、を探している原付二種ファンが少なくない。そんな熱視線の先にいるのが、クロスカブ110です。
2013年デビューのクロスカブ110は、18年にフルモデルチェンジを受け、現行モデルのスタイリングに。さらに22年4月にモデルチェンジを受け、新型ロングストロークエンジンを採用し、前後キャストホイールを装着しました。キャストホイールは法規制によってABSを装着しなければならなかったからで、スーパーカブC125と同デザインのホイールをマットブラック仕上げとして装着しています。
その新型クロスカブ110、走りの印象からガラリと変わっています。新エンジンは現行モンキー125やGROM125と同じ63.1mmストロークで、110ccだけに125cc勢の50mmボアを47.0mmとしています。ミッションは4速から5速になったモンキー&GROMと違って4速のまま。けれど、この新ロングストロークエンジンがスゴくいいんです!
まずは回転フィーリングが滑らかで、振動がなく、回転フリクションがきれいに取られている印象。旧型からギア比も変更され、ややローギアードに振られているため、ローギアでの発進が力強くなりました。
ここから4速ミッションを駆使してスピードを乗せていくと、ミッションのつながりがスムーズで、一般道で4速60km/hで走った時の快適性がすこぶるいいんです! 原付ニ種ということで、一般道では周囲の流れと同じ、最高60km/hで流してOKなので、ホンダはこのスピードに合わせてギア比をセットしたんだと思います。
1速→2速→3速→4速と、回転を上げてシフトアップしていくのは得意じゃないんですが、カブだもの、ぎんぎんにブン回して走るなんて、似合わないから!
その時の車体の安定性も充分で、ハンターカブよりも軽量スリムな車体は、ハンドリングがふらふらしない程度に軽快で、やっぱり60km/hくらいの安定性が気持ちいいんです。
フロントディスクブレーキは効果充分。確実に制動力がアップして、これは安全性がアップしているし、リアのドラムブレーキもコレで不満に思うことはありませんでした。
前後キャストホイール採用は、走りがしっかりしたかな、くらいの印象で、街乗りのスピード域では大きな変化とは感じられませんでした。けれど、キャストホイール採用は、チューブレスタイヤを履けるってこと。不意のパンクで修理がカンタンなチューブレスタイヤ装着は、すべてのカブファンの願いでしたからね。
これで、この取材での実測燃費は、ストップ&ゴーの多い都内で約60km/L、信号の少ない郊外のバイパスで65km/Lといったところ。ガソリン代が200円/Lになったって、カブ乗りのダメージは最小限で済みますね。
今回の試乗は、往復300kmほどのショートツーリング。都内から奥多摩を抜けて山梨を回って帰ってくるとき、調子よく走っていたら、道端にネズミ取り(レーダー式速度取り締まり)発見! 気をつけていなかっただけに、あぁぁぁやっちゃったかぁ……と思って進むと「とまれ」旗を持つ警官も、僕とクロスカブをノーケア! あ、見逃したね? ラッキー!と思ったら、実は60km/hくらいで気持ちよく走っていたから、そもそも捕まるスピードじゃなかったんですね。これも原付ニ種の大きな大きなメリットです。
そしてこの現行クロスカブは、新型エンジン、チューブレスタイヤが履ける前後キャストホイール、フロントディスクブレーキとなって、車両価格は2万円+消費税分のみアップ! 2万円+αのアップに収めるなんて、ホンダってスゴい! クロスカブへの熱視線、ますます強くなりそうです。
(試乗・文:中村浩史)
■エンジン種類:空冷4 ストロークSOHC 単気筒2バルブ ■総排気量:109cm3 ■ボア×ストローク:47.0×63.1mm ■圧縮比:10.0 ■最高出力:5.9kW(8.0PS)/7,500rpm ■最大トルク:8.8N・m(0.90kgf・m)/5,500rpm ■ 全長×全幅×全高:1,935×795×1,100mm ■軸距離:1,230mm ■シート高:784mm ■車両重量:107kg ■燃料タンク容量:4.1L ■変速機形式:常時噛合式4 段リターン ■タイヤ( 前・後):80/90-17M/C・80/90-17M/C ■ブレーキ(前・後):油圧ディスク(ABS)・機械式リーディングトレーリング ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:マットアーマードグリーンメタリック、パールディープマッドグレー、プコブルー ■メーカー希望小売価格(消費税込み):363,000 円
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