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エンタメ

Vol.93 「盛夏 己の後ろに続く路を忘れるべからず」

夏が来た

仁科峠

相棒のベティ2号と北海道へ降りたった遠い夏
北海道を走る事が
バイク乗りの証であるような
北の大地ブームの真っ只中だった
 
まだ中免しか持っていなかった当時のマシンは黒いブロスⅡ(400cc)
相棒のマシンは黒いZEPHYR400
お揃いの革ジャンの背中に
お揃いのベティを掲げて
自画自賛で盛り上がる
あたしら、めちゃめちゃカッケー!!
 
早朝、フェリーから降り立った苫小牧の朝靄のなか
右に行くか?!
左に行くか?!
歓喜の雄叫びをあげて走り出した
目的などない旅
読めない地名さえも
愉しくてしかたない
 
途中で腹をくだし
広大なトウモロコシ畑に踏み入って
肥料を巻き散らしたし(もうとっくに時効ですよ♪)
美女2人をナンパしてきた(笑)九州の殿方と後半は一緒に走ったっけ
ゲラゲラと嗤いながら
一直線の長い長い道を
日が暮れるまで走った遠い夏の記憶

北海道

それから
蒼薔薇を手に入れ
早朝の奥多摩に通い
今やTaste of TsukubaのTOPライダー 
小泉司氏をはじめとする強者軍団に出逢い
走り出したら止まらない御殿場の師匠に引きずり回され
伊豆のF仲間と峠三昧の日々を過ごし
一人だけど
一人じゃなかった
蒼薔薇と共に見た世界に魅せられて
ま、今もね
まだ夢の途中みたいなもんね
色褪せた大量の写真は
最後に棺桶に敷き詰めてもらうとしよう(笑)
夏の太陽に手をかざして天を仰いだ
あの時のあたしは今も心の中に!

蒼薔薇

蒼薔薇

蒼薔薇

しかし
夏が来るたびこの尋常ではない暑さ…
バイクも人もイカレちまうね
空冷の旧車にはこの暑さはマズイ
かな~り、マズイ…

達磨山

お山に向かう途中の市街地走るだけで
アイドリングがどんどん上がっていく…
あたしの心拍数もどんどん上がっていく~~
蒼薔薇が言うの…
「朝駆け夕駆けしか動けません!」


 
 

6月某日
16馬力の
cb223s
これでもか! とアクセルブチ切りで
非力な単気筒を唸らせ西へ向かう
むむ…
振動で右手がむず痒い

曇天の早朝
纏わりつく空気
この先は吉か凶か
魔物を祓う如く
革ジャンに吹きかけた
EGOISTの香りが結界となり
時間が風と共にあたしの両脇から流れていく
1分前のあたしは
1秒前のあたしも
この道の上を駆っている

アスファルトに映る影武者をチラと見る
こっちとあっちの境はこの影の接点だ
あたしの
感性はまだ衰えてはいないな
どんなバイクでも
転がせればサイコー

この世に生を受けたときから
すべての命は
ゴールに向かう旅がはじまる
ただ
その道のりは平等ではないだけ

あの頃
今の自分が想像できたか
未だにこの世界から足を洗わずにいることを(笑)

命拾いした事故
同じ時間を過ごした仲間の鬼籍
家庭を持ちDNAを残す選択を放棄
出逢いと別れを懲りずに繰り返して
何故バイクからは離れなかったのか
自分でもよくわからないよ
多分、前世でそう決めてきたんだろう(笑)
人生50年と舞って散った信長より生きてるLUCKY!
薄汚れた革ジャンは女の意地が詰まってんのよ!
朽ち果てていくのは必然が故 抗うべからず!
シミもシワも全て愛おしいと言ってね♪

京都市上京区日暮通櫛笥町714

志半ばにして
天上に駆けあがった清い御霊の
意志を継ぐものにより
全国のライダーの為!?に
ここ
『ライダーハウス ボーダー』
は存在する
旅人のお世話? をしながら
もう4年もここに住んでるのが
ボーダーの守り人として有名な一平ちゃんである
漢の夢を引き継ぎライダーハウスに住んでるなんてこの殿方ぐらいであろう(笑)

京都のど真ん中、二条城まで歩いて10分
表通りの喧騒が嘘のような
静かな住宅街
ホントにここは都なのか? と思うほど
なんだか親戚の家に来たような佇まい
よって居心地の良さに旅人は何泊もするらしい

北海道の実家から自転車で日本一周の旅を始め
沖縄に渡り
また北に北上するという若者が連泊していた
 
近日久しぶりに会う彼女とのデート資金と
自分の旅の資金を稼ぎに
ボーダーから
昼も夜も日雇いバイトに通っていた
今どきこのような若者がいることにあたしは感激しちゃったよー
若者偉いっつ!!!

冷蔵庫も使えるし
洗濯もOK
近くにはコンビニ・飲食店・銭湯多数あり!
そしてお値段は格安~♪
雑魚寝仕様で
寝袋持参は1400円
布団使用でも1700円
チャリンコ貸出500円

京都南インターで
岡山の大神氏と合流しここに来たのだが
大神氏とも
もう20年来の付き合い
こうして一緒に走るのも久しぶりのこと

ピネライスを食すも良し

銭湯に興じるもよし

住宅街に鎮座する昭和エロティシズムの餌食になるもよし

いにしえのロマンに浸る
ノスタルジックな夕焼け
鴨川の土手のカップルは彼方まで続き
うちら3人といえば
鷺の餌場観察に興じること30分
ああ、なんと愉快な京都!

更けゆく夜
今宵はおぼろ月夜が覗いてる
百鬼夜行の魑魅魍魎も覗いてる
ライダーハウスボーダー
西と東から都に上洛した仲間と
昭和談義に華が咲く
 
そうだ
京都へ行こう(笑)

2022 盛夏 Betty

259000円
249000円


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2022/08/01掲載