Facebookページ
Twitter
Youtube

ニュース

第3戦迎え、成長著しい世界GPを夢見る各選手

 日本初上陸「FIM MiniGP」、そのジャパンシリーズ第3戦がモビリティリゾートもてぎ北コースショートコースで開催された。ロードレース世界選手権(WGP)へと繋がるシリーズはマシンもタイヤもワンメークで争われ、10歳から14歳までのライダーを対象に各国で開催されている。国内チャンピオンは、ワールドファイナルへの参戦権利を得て、その活躍次第でWGP参戦の可能性が広がる。




 第3戦にはスポット参戦を含む16名がエントリー。各10分の予選が行われ、レース1予選はレコードを更新して43秒995を記録した⑮松山遥希(12)がポールポジションを獲得、2番手に②池上聖竜(13)⑧知識隼和(10)でフロントローに並んだ。決勝スタートから⑮松山、⑨中谷健心(14)、⑧知識、②池上が2周目にはトップに躍り出て集団を引っ張る。

 このトップ集団に追いついたのは④国立和玖と➆斎藤太陽(13)。⑨中谷が前に出るが、10周目には②池上が首位を奪い後続を突き放しにかかる。②池上、⑨中谷、⑮松山、⑧知識、④国立、➆斎藤のオーダーで最終ラップに突入、最後の勝負所である第2ヘアピンで⑮松山は勝負を賭けるが、インを閉めた②池上をパスすることはできずに転倒、⑨中谷、⑧知識も巻き込まれて転倒してしまう。②池上が念願の優勝を飾り、2位に④国立、3位は➆斎藤となった。




 レース2のコースイン直前に明るい空から大粒の雨が落ち、スタートディレイ、全車レインタイヤに交換。4周減算の8周となるが、今度は雨が止み、真夏を思わせる高温だったこともあり、急激に路面が乾き、急遽スリックタイヤに交換。ウォークアップを1周増やして2周に増やされた。レース2PPも⑮松山、2番手②池上、3番手に④国立が綺麗にスタートを切る。

 ホールショットは④国立、だが、すぐに②池上がトップを奪う。3周目には⑧知識が転倒しリタイヤとなる。②池上はファーステストラップを叩き出して逃げ始める。2番手争いは④国立、⑨中谷、➆斎藤、そこに⑮松山、松山は終盤に前の2台を交わして2番手浮上する。②池上は独走してダブルウィンを飾った。2番手争いを⑮松山が制して、3番手に④国立が入った。4位に⑨中谷、5位に➆斎藤となった。

 表彰式に号泣する松山が遅れて表彰式に現れ、表彰式が始まった。タオルで何度も顔を拭く松山、表彰台の真ん中で「笑って」と促されて松山がようやく笑顔を見せた。ひょうひょうとする国立。国立は第2戦両レースを転倒で終えており、やっと、辿り着いた表彰台に安堵していた。「支えてくれたスタッフ、そしてお父さんに感謝」と語り、温かな拍手を浴びた。



 池上は、ダントツのチャンピオン候補で、注目の的としてシリーズをスタート。だが、この2戦、勝てなかった。速さも強さもありながら、新シリーズに苦戦していた。周りの期待を背負い、焦りも見えるライディングで、本来の力を出せずにいた。松山は、ここまで4連勝。「連勝は嬉しいけど、勝ち続けなければならないのは、ちょっとプレッシャーがある」と語っていた。

 松山の勝たなければならない思いは、レース1の最終ラップの第2ヘアピンの勝負に繋がった。インをきっちり抑える池上の空いてないインをこじ開けるように飛び込み転倒してしまうのだ。アドバイザーの藤井謙汰は「2位でも良かったのに、シリーズチャンピオンを考えたら2位でいいでしょう。でも、2位でいいと思う年齢でも、戦いでもないのかもしれない。あくまでも優勝を目指したガッツを褒めるべきか悩むところ」と語った。渡辺一馬は「俺ならアウトから行ってクロスを狙うかな。でも、ライバルを知っていることが必要だから、難しい判断」と語った。長島哲太は「レース2の池上は良いが、レース1の第2ヘアピンはイン閉めすぎ、あんなに閉めるライダーを見たことがない」と言った。インを閉めすぎた池上は、絶対に勝たなければという闘志を示したのだろう。開幕戦から9キロも減量している。頭は坊主にして挑んで来た。池上は「松山選手と自分の違いを考えて、軽量化もして、ブレーキングのかけ方を考えて来た。勝てなくてもやもやしていたから、勝ててすっきりした。ここからしっかり巻き返したい」と語った。松山は「今回のレースは、予選までの流れは良かったけど、路面温度の変化もあり、序盤にペースを上げられなかったのが反省です。2レース目は、一時、6番手まで落ちて、そこから追い上げられたのは良かったのですが、離されてしまったのが悔しくて…。次は負けないように努力してきます」と語った。



 全てのスケジュールを終え、正式リザルトが出来るまでの時間、長島とライダーたちは、コースをランニングした。子供たちに向け「筋トレは必要ないけど、自分を鍛えることを、今から習慣にしてほしい。それは、GPライダーにとってあまり前のことだから」とエールを送り、残った親子で記念撮影、そこには、笑顔の池上と松山もいた。

(レポート・写真:佐藤洋美)

第2戦ダイジェストムービー
https://youtu.be/LvtWkF5QWNA

2022/06/24掲載