スポーツ指向が強いタイの二輪市場で、日本ブランドの250ccスポーツモデルを相手に健闘しているのがGPXのフラッグシップモデル/デーモンGR200R。ライバルたちに比べ排気量は小さめだが、アバンギャルドなボディデザインと低価格で奮起。日本市場においては、過激すぎないポジションとポテンシャルで、スポーツバイク初心者などから注目を集めていたモデルだ。
その人気シリーズがバージョンアップして2022年モデルにラインナップされた。それが「デーモンGR200R 4バルブ」だ。
最大のトピックスは排気量198cc2バルブOHC単気筒エンジンを、新たに4バルブ化したことだ。4バルブ化とともに燃焼室形状を変更するなどして、高回転化とともに高出力を実現している。それにともない17.6PSから19.4PSへと1.8PSの出力アップとともに、その発生回転数も1000回転上昇させた9000回転となるなど、わずか198ccの排気量のエンジンにとって、その変化はとても大きい。
事実、走り出してすぐに、その違いを感じることができた。わずか2PSほどのパワーアップでありながら、どの回転域からでも車体を前に押し出すチカラが強く、エンジンの回転上昇も速い。それによって2バルエンジンを搭載した前モデルと車重は同じながら、アクセル操作に対する車体の反応が良い新しい4バルブの方が、圧倒的に車体が軽く感じるのだ。
その軽さ、そして反応の良さは足周りの変更も影響している。ニューモデルの4バルブは、倒立式のフロントフォークのスプリングや減衰力特性を変更。それによりスポーツ走行時のコントロール性を向上。さらには吸収性も向上させ、乗り心地も良くなっているのだ。
それでいながら、過激なボディデザインとは異なる、フレンドリーなライディングポジションと、扱いやすい中低回転域の出力特性も健在だ。サーキットでしっかりとスポーツ走行を楽しみたいなら、ポジション周りの改良は必須だが、日常の足として使いながら、ときにツーリングやワインディングを楽しみたいなら、スタンダードのままで十分だろう。
とはいえ、GPX Japanは今年9月にモビリティリゾートもてぎで開催される2022もてぎ7時間耐久ロードレース、通称「モテ耐」に、このデーモンGR200R 4バルブをレーシングマシンに仕立てて参戦予定。また本国タイからも3人のライダーが参戦する計画も進行中。本格的なサーキット走行におけるポテンシャルもしっかりとアピールする。
(試乗・文:河野正士)
■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ ■排気量:198cm3 ■ボア×ストローク:65.5×58.8mm ■圧縮比:11.5 ■最高出力:14.3kw/9,000rpm ■最大トルク:17.5N・m/7,500rpm ■全長×全幅×全高:2,020 ×747 ×1,145mm ■ホイールベース:1,350mm ■シート高:815mm ■車両重量:155kg ■燃料タンク容量:11リットル ■変速機形式:リターン式6段変速 ■タイヤ(前・後):100/80 R17・140/70 R17 ■ブレーキ(前・後):油圧シングルディスク・油圧シングルディスク ■懸架方式(前・後):倒立型テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:レッド/ホワイト、イエロー、ブラック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):499,400円
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