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“未来のMotoGPライダー”を本気で育成、MiniGPが日本で開幕!

 日本初上陸となる「FIM MiniGPジャパンシリーズ第1戦が、茨城県・筑波サーキット コース1000で開幕した。2021年にFIM(国際モーターサイクリズム連盟)とMotoGPを主催するDORNAスポーツが新設したミニGP(エントリー年齢は10歳から14歳)は、ミニバイクのオバーレ、タイヤはピレリ、オイルはモチュールを使用。ヘルメットはアライ、ツナギはRSタイチとサポート体制があり、競技・技術規則を統一し、モトGP昇進に向けたスキルアップとチャンスを与えることを目的とした育成プログラムだ(https://mr-bike.jp/mb/archives/27830参照)。

 昨年は「アルペ・アドリア、北米、フランス、アイルランド、イタリア、マレーシア、オランダ、ポルトガル、スペイン、イギリス」で開催。今季は新たに「オーストラリア、オーストリア、インドネシア、カタール、日本」が加わった。年間チャンピオンには『MiniGP World Final』に参加する権利が与えられ、勝者には次のステップとなる選考会、または直接の世界戦への参戦が提供される。

 日本シリーズでは、運営のP-UP World代表取締役・中込正典社長から「渡航費に充ててもらえたら」とチャンピオン100万円、ランキング2位50万円、同3位30万円の賞金が出ることも発表された。


 イタリア車のオバーレのセッティングは藤井謙太(2011年の全日本J-GP3チャンピオンでMoto3の経験もある)が担当。藤井は「乗りやすいバイクになるように、オフの間はずっとテストをしていた」と準備。競技運営長には全日本ライダーだった鎌田悟、アドバイザーにはホンダのモトGP開発ライダーであり全日本チームオーナー、GP解説者もこなす長島哲太、そして昨年の全日本J-GP3チャンピオンで、GP経験豊富な尾野弘樹。メカニックは全日本チームで活躍するスタッフが担当。親達はタイヤウォーマーの装着と着脱を手伝うくらいで、基本的にはスタッフに任せて見守る。


 長島は「世界に行ったら、自分の好みのバイクに乗れることは少ないと思った方がいい。与えられたもので、どこまで行くかが大事。セッティングに拘るより、バイクに慣れて速く走らせることに集中しよう」とアドバイス。メカニックにより微妙なサスペンション調整が許されるのみで、与えられたバイクで戦う。走行毎に長島と尾野が各ライダーの元を訪れ、それぞれのライダーに会ったアドバイスを行う。


 開幕前にテスト走行があり、ライダーたちは2度目の走行で本番を迎えた。午前中は雨が残り、気温も低く、ウェット路面の走行が続いたが、午後には天気が回復、晴れ間がのぞき、予選・決勝はドライコンディションで争われた。2回行われた公式予選は、1回目がレース1、2回目がレース2のグリッドとなり、#15松山遥希がどちらもトップタイムを記録した。

 レース1は、予選2番手グリッドの#4国立和玖が好スタートをきり首位に立つと、#2池上聖竜、#12濱地柊音、#15松山、#7齋藤太陽のトップ争いとなるが、#15松山がポジションアップし首位に立った。15周目に転倒車が出て赤旗中断となり、そのままレース成立となり松山が優勝、2位に国立、3位は池上となった。

松山遥希
国立和玖
池上聖竜
齋藤太陽


 レース2も国立がホールショットを奪い、松山、池上が続く。すぐに松山が仕掛けトップに立ち、国立が追う。それを齋藤、池上が追いトップグループを形成。松山は積極的にレースをリードし、国立と一騎打ち。3番手争いは池上、齋藤との争いとなる。レース終盤、前に出た松山が勝ち、ダブルウインを飾った。国立連続2位。3位争いは齋藤が制し、池上が4位となった。


 イタリア車を使用しているということでジャンルイジ・ベネディティ駐日イタリア大使が訪れ挨拶し、表彰式ではプレゼンターを務めた。またMFJ(日本モータサイクル協会)の鈴木哲会長を始め、多くのレース関係者も訪れた。

 運営の中込社長は自ら走り回り大会運営に関わり、長島は転倒マシンの回収もこなす奮闘ぶりで、ライダーの走りを見続けた。競技役員もそうそうたるメンバーでF1、MotoGP、タレントカップの責任者としても知られる元ホンダの中本修平氏が競技審査委員長、全日本ロードでも競技委員などを務める小澤源男氏がテクニカルアドバイザー、ロードレース世界選手権にオリジナルシャーシで挑んだNTSの生田目將弘氏が競技審査委員を務めるなど、多くのスタッフが関わり、本気で未来のMotoGPライダーを育てようとしていることが伝わる大会だった。

 長島は「現役ライダーのアドバイスだから説得力があると思う。だから、今の自分がやる価値があると思った。自分の経験をしっかり伝えて、成長してもらいたいと思う。ワールドスタンダードを学び、世界での競争力をつけてほしい」と語った。

 次戦はマシンがシャッフルされ、優勝ライダーは最下位となったマシンを駆る。それは、全てのライダーに適応される。第2戦は5月15日ツインリンクもてぎ北ショートコースで開催される。

(レポート:佐藤洋美)







2022/04/20掲載