KAWASAKI Z1000 車両解説
Z1に始まるカワサキのビッグバイクの伝統は、’90年代に入ってジャンルごとに細分化、先鋭化していったが、それも行きつくところまで行った感があり、現在は原点回帰の動きが強まってきている。そんな時代のビッグバイクの代表が「21世紀のZ」Z1000/Ninja 1000シリーズだ。
「21世紀のZ」は、2002年のインターモトで印象的なスタイルをもってデビューを飾ったZ1000に始まるといっていいだろう。当時のカワサキビッグマシンは、フラッグシップにZX-12Rが君臨し、レーサーレプリカたるNinja ZX-9R、ネオレトロネイキッドのZEPHYR1100と、それぞれのジャンルを突き詰めたかの感があった。そんな中で、突然デビューしたのが、スーパースポーツ系のエンジンをベースとしながらも、あくまでもストリートユースにこだわった新世代のビッグマシン、Z1000だった。翌年、2003年モデルとして市販開始されたこの「初代」は、その後、2006年まで毎年カラーリングを変更してイヤーモデルとして発売された。
そして2006年、インターモトでフルモデルチェンジされたZ1000が発表される。エンジンはそれまでのZ1000の発展型で、水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブから最高出力は若干アップの92kW、最大トルクも98.7N・mに向上し、完全新設計のフレームに搭載された。初代Z1000で強烈な印象を放った独自デザインのマフラーは、現在のスポーツモデルのデザインに通ずる左右2本ずつを合体するタイプのややおとなしい形状に変更されていた。この2代目は、2009年モデルまで続き、2010年にZ1000の3代目(D型)へとモデルチェンジ、さらに2014年のフェイスリフトを経て現在にいたる、というのが早足で見た「21世紀のZ」Z1000シリーズのヒストリーだ。
肝心なことは、これらの「21世紀のZ」も全て輸出モデルとしてのみ販売され、国内のライダーは“逆輸入車”としてしか乗れなかった。そして2017年の春、初めてNinja 1000 ABS、Z1000 ABSが国内発売モデルとして提供されるようになったのだ。
エンジンは、Ninja 1000と共通の、最高出力104kW(141PS)/10,000rpm、最大トルクは111N・m(11.3kgf・m)/7,300rpmを発生する直列4気筒DOHC4バルブ、総排気量1,043㏄ショートストロークエンジン。このエンジンをシャープな旋回性能と安定感のあるハンドリングを実現した高剛性のアルミニウム製ツインチューブフレームに搭載する。基本構成はマイナーチェンジを受けた海外向けの2014年モデルの発展型といえ、パワーデリバリーの更なる熟成や、リフレクターレスタイプのLEDヘッドランプが採用された新しいフロントフェイスをはじめとするスタイリングの一新を図ったモデルといっていいだろう。
足周りでは、フロントに理想的なライディングを可能にするSSF-BP(セパレートファンクションフォーク-ビックピストン)と、伸側減衰力、プリロード調整機構付きのホリゾンタルバックリンクリアサスペンションを採用。ブレーキは、フロントにラジアルマウント対向4ピストンモノブロックキャリパーにφ300mmペタルディスク、リアにはφ250mmペタルディスクを装備している。
2017年9月にこのZ1000、Ninja 1000がともに2018年モデルへと発展した。といっても変わったのはカラー&グラフィックが中心で、唯一、LEDウインカーの採用がメカニズム面での変更だった。
2018年12月に、2019年モデルとして登場したZ1000も「メタリックフラットスパークブラック×メタリックマットグラファイトグレー」(BK1)へのカラー&グラフィックの変更のみで、メカニズム&諸元等に変わり無し。
そして3年ぶりのモデルチェンジへと続くのだが、今回もカラー&グラフィックの変更のみで2022年モデルとして発売される。カラーは、「メタリックマットカーボングレー×エメラルドブレイズドグリーン」(GY1)の1色。
★カワサキ ニュースリリースより (2021年12月17日)
Z1000 発売のご案内
- ●モデル情報
- 車名(通称名) Z1000
- マーケットコード ZR1000HNFNN
- 型式 2BL-ZXT00W
- 型式指定・認定番号 18551
- ●発売予定日
- ●メーカー希望小売価格
- 1,188,000円
(本体価格1,080,000円、消費税108,000円) - ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれません
- ※当モデルは二輪車リサイクル対象車両です。価格には二輪車リサイクル費用が含まれます。
- ※消費税率10%に基づく価格を表示しております。
- 販売店:カワサキ プラザ
- ●カラー(カラーコード)
- メタリックマットカーボングレー×エメラルドブレイズドグリーン(GY1)
2022年1月14日
【Z1000】
圧倒的な迫力を持つ「Sugomi」スタイリングと、スロットルを開けるほどに心が高鳴る「Sugomi」パフォーマンスを兼ね備えるZ1000。1,043㎝3水冷4ストローク並列4気筒エンジンが放つパワーは、強力な加速と胸をすくようなエキゾーストノートを創出します。サスペンションはフロントにSFF‐BP(セパレートファンクションフォーク-ビッグピストン)、リヤにホリゾンタルバックリンクリヤサスペンションを採用することで、高い路面追従性能を獲得。また、人間工学に基づいたライディングポジションは、アグレッシブなイメージに貢献するとともに、高いコントロール性を実現。スロットルを開けた瞬間から感じる力強いトルクとキレのあるハンドリングによりスーパーネイキッドと呼ぶに相応しい優れた走行性能を誇っています。
- ■主な変更点
- ・カラー&グラフィックの変更
主要諸元
車名型式 | 2BL-ZXT00W | |
---|---|---|
Z1000 | ||
発売日 | 2022年1月14日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.050×0.790×1.055 | |
軸距(m) | 1.440 | |
最低地上高(m) | 0.125 | |
シート高(m) | 0.815 | |
車両重量(kg) | 220 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 23.0(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | |
17.5(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 3.2 | |
エンジン型式 | – | |
水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 1,043 | |
内径×行程(mm) | 77.0×56.0 | |
圧縮比 | 11.8 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 104[141]/10,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 111[11.3]/7,300 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフスターター | |
点火方式 | バッテリー&コイル(トランジスタ点火) | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ式 | |
潤滑油容量(L) | 4.0 | |
燃料タンク容量(L) | 17 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.600 |
2速 | 1.950 | |
3速 | 1.600 | |
4速 | 1.388 | |
5速 | 1.238 | |
6速 | 1.107 | |
減速比1次/2次 | 1.627/2.733 | |
キャスター(度) | 24.5° | |
トレール(mm) | 101 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 190/50ZR17M/C 73W | |
ブレーキ形式 | 前 | φ310mm油圧式デュアルディスク |
後 | φ250mm油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | 倒立テレスコピック式(インナーチューブ径41㎜) |
後 | スイングアーム式(ホリゾンタルバックリンク) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。