コロナ禍でスタートした今シーズンの全日本ロードレースも今週でもう閉幕になり、ちょっと早いけどさみしさも感じています。
相次ぐキャンセルや延期でスケジュールが変更されて今季は5戦、そのうち1戦は台風のために中止され、2020シーズンはたった4戦で、8月の開幕戦から駆け足の開催となりました。最終戦を前に、自分のなかでも今シーズン撮りたかったものを思い残すことのないように、開幕からすこし振り返っておきたいと思います。
自粛期間が明けいきなり真夏のレースになり、身体も気持ちも追いつかない状態で無理やりエンジンをかける感じでスタート。パドックに入るといきなりいつものレースウィークの日常で、昨年末から8か月以上会っていなかったけれど懐かしむほどではなく「やぁ久しぶり!」という笑顔でたくさんの選手や関係者の顔を見ることができてほっとしました。違うのはみんなマスクをしているところ。走行前、マスクを外したタイミングで表情を撮っていますが、全日本のピットではマスク着用がしっかり守られていましたヨ。それに、チームオリジナルのマスクなど目で楽しめるものもありました。
レースですが、それぞれ準備はしていたと思うのですが、焦りなのかまだレース勘を取り戻せていないのか、全体的に転倒も多く、予選決勝とも赤旗も多かったです。
特に大きくインフォメーションされていませんでしたが、今シーズンは、Kawasaki Team GREEN、HRC、ヨシムラが全日本から撤退。ファクトリーはヤマハのみで始まった開幕戦SUGO(8月9〜10日)。フロントローには2強の野左根航汰と中須賀克行の隣に、ヤマハの若手育成チーム、YAMALUBE RACING TEAMの前田恵助が並びました。前田は2017年のST600チャンピオン。昨年はワールドスーパーバイクに参戦していた清成龍一がKeihin Honda Dream SI Racingから参戦。コハラレーシングはJSBに清成と渡辺一馬、今年から始まったST1000に作本輝介と3台を走らせる大所帯に。そこに、スポット参戦のヨシムラ渡辺一樹、ハルクプロの水野涼がグリッドに続きました。
レースは1周目終わって2周目に入った2コーナーでいきなりのアクシデント。トップに立った野左根をパスしかけた中須賀が痛恨の転倒、その後のレース2も欠場となりました。ウェットコンディションのレースは6周目に加賀山就臣、10週目に渡辺一樹、そして前田、渡辺一馬が次々と脱落。野左根は独走優勝、2位には清成が19秒でチェッカーを受け、転倒者続出のなか慎重にレースを運んだ濱原颯道が初表彰台を獲得。
天気が回復した翌日。真夏の暑さの中で開催されたレース2は、オイル処理によるスタートディレイからの再開。清成が抜群のスタートでレースをリードするも2ラップ目で野左根がパス、続いて渡辺一樹にもパスされてしまいますが、ベストタイムで1秒以上劣っていても、どんな状況でもとにかく前に出て引かない清成の走りは、この後も今シーズンのレースの見どころだと思います。レース後半の3台による2位争いを制したのは水野涼、3位に渡辺一樹。
第2戦(9月5〜6日)は岡山を予定していましたが、台風のために中止。全国から集まって来るのでこればかりは仕方のないことです。
第3戦オートポリス(9月20〜21日)はココ特有の「霧」のため金曜日の走行がまるごとなくなり、土曜日のスケジュールが変更され、JSBクラスは予選と決勝が行われました。予選PPは野左根。清成のいいスタートで始まったレース1、清成、水野が前に出るが3周目に入るころには野左根がトップで戻ってくる。追いかける中須賀と野左根はラスト2周で野左根が中須賀の前に出、ラストラップまでトップ争いが注目されましたが、レースはラスト2周で赤旗で中断し、優勝は野左根、中須賀、3位には清成をパスした水野。
オートポリスのレース2は最終ラップにレーシングアクシデントがありましたが、野左根の4勝目。これまでヤマハの2台にはかなり引き離されてのゴールでしたがホンダの清成が0.7秒差でゴール、前田恵助は嬉しいJSB初表彰台となりました! 4位にカワサキからホンダにスイッチした渡辺一馬、5位に桜井Hondaの濱原颯道。
第4戦もてぎ(10月17〜18日)、少ないレース数のなかでも、天気は様々なコンディションをサービスしてくれるようです。レース1は雨、レース2は気持ちいい秋晴れになりました。予選では清成が、なかなか崩せなかったヤマハの牙城に割って入り2番手を獲得。ウェットレースとなったレース1ではオープニングラップで秋吉が水野に接触、水野のマシンが炎上しレースはディレイ。水野はスペアのバイクで再スタートしますがマシントラブルでピットインリタイヤ。秋吉は再スタート後のサイティングでマシンを脇に停めていました。野左根の背後に中須賀がピタリとつけていましたが、後半に野左根と距離が開きかけたところで2度目の赤旗となりレース成立。冷たい雨が降り続き、清成は野左根と中須賀の後ろにつけたが後半ペースが上がらなくなったところで4番手にいた加賀山と岩田悟が前に出ており、赤旗のタイミングで加賀山の表彰台!
レース2では野左根がホールショット、ファステストを連発して後続との距離を広げていき、最終的には11秒以上引き離して圧倒的勝利。2位中須賀、3位の清成は中須賀に迫る走りを見せ、後半に目の離せない激しい2位争いはラストラップにまだ余力があった中須賀が先にチェッカー。4番手水野、激しい意地のぶつかり合いの末、渡辺一馬が5位、濱原6位。レース後のレギュレーション違反で3位の清成が失格になってしまいました。規則上、全日本では装着が許可されていなかったパーツのため、厳正な裁定だったと思います。
ここで野左根が2番手の清成に50ポイント以上の差を付けていますが、最終戦MFJGPは各レースにボーナスポイントが3ポイント加算されるため、チャンピオンの決定は持ち越しです。2位の清成と3位の濱原は4ポイント差、濱原と4位岩田は10ポイント。CBR1000RRRの国内トップ争いもちょっと注目してください。ここまでの野左根の強さを見ているのでハラハラドキドキはしませんが、最終戦鈴鹿(10月31日〜)でどのような形でタイトルを決めるのか、最後まで見ていきたいと思います。
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