現在も続く原付二種人気で、スクーター市場には各社とも強力なコンテンダーを送り込んで激戦を繰り広げているが、同じ原付二種でもスポーツモデルとなるとちょっと寂しい状況に。2013年6月に「GROM」が登場して、やっとこのクラスのスポーツモデルにも独自のファン層が戻りつつある、というのが現状だろうか。その代わりというか、地道に孤塁を守ってきたホンダの「エイプ100」は残念ながら2016年の夏をもって生産終了となってしまった。
カワサキのこのクラスのモデルとしては、2002年11月、昔懐かしい「KSR」の車名を冠した「KSR110」が4サイクルエンジン搭載車として復活販売されている。このKSR110もその後紆余曲折を経ており、国内モデルとしては間もなく廃版になり、以降はタイモデルを輸入という形での販売が行われていたのはご存知の通り。このタイで生産されていたKSR110をベースに、4速リターン式ミッションを採用し、マニュアルクラッチと組み合わせたモデルが「KSR110 PRO」で、セルスターターの採用(キック式併用)、アルミのキャストホール、トラス構造のスタビライザー付きリアスイングアーム、前後ぺタルブレーキディスクなどが装備されていた。そして、このKSR110 PROをベースにスーパーネイキッド仕様として2016年4月から販売開始されたのが「Z125 PRO」だった。
ただ、単なるボディスタイルの違いというだけではなく、エンジンは同じ空冷単気筒SOHC2バルブながら、ボアを53mから56㎜へとアップし(ストロークは50.6mmと変わらず)、排気量を111cm3から124cm3へと拡大。パワーも最高出力6.2kW(8.4PS)/8,500rpmから7.1kW(9.7PS)/8,000rpm、最大トルクは8.1N-m(0.83kgf・m)/6,500rpmから9.6N・m(0.98kgf・m)/6,000rpmへとそれぞれ強化しての発売だった。
「Z」シリーズのイメージを取り入れてリデザインされた車体周りでは、鋭い眼光を連想させるヘッドライトとZの文字をモチーフにしたLEDテールライトの採用をはじめ、アナログタコメーターとギヤポジションインジケータなどを装備する多機能デジタル液晶ディスプレイ、Zシリーズ独特の先鋭的な形状のシュラウドとアンダーカウル、スポーティなイメージを強調するペタル前後ディスクブレーキ(径は前200㎜、後184㎜と変わらず)、マス集中化に寄与するコンパクトなアンダーエンジンマフラーなどを採用。足回りでは、機敏なハンドリングと快適性に貢献するインナーチューブ径φ30mm倒立フロントフォーク、プリロードアジャスター付きオフセットレイダウンシングルリアショックを装備していた。
2016年11月には、このZ125 PROベースに、スーパーバイク世界選手権で戦うKTRマシンと同イメージのカラーリングが施されたモデルが限定500台で発売されている。2017年1月には、カラー&グラフィックの変更で2017モデルへと発展した。それまでのキャンディライムグリーン(GRN)とメタリックグラファイトグレー(GRY)の2色の設定から、メタリックカレッジグレー(GY1)1色の設定となっている。カラーバリエーションが減った分は、キャンディプラズマブルー×メタリックスパークブラック(BU1)のカラーをまとったSpesial Editionの登場でカバーする形に。
2018年4月にもカラー&グラフィックの変更により2018年モデルに発展。「メタリックスパークブラック×パールミスティックグレー」(BK1)と、「キャンディパーシモンレッド×メタリックカーボングレー」(RD2)の2色の設定となっていた。
今回の2019年モデルも、カラー&グラフィックの変更のみだが、それでも125スポーツモデルの一角を支えてくれているのは心強い。
★KAWASAKI ニュースリリースより (2018年12月21日)
Z125 PRO 発売のご案内
- モデル情報
- 車名(通称名) Z125 PRO
- マーケットコード BR125HKF/BR125HKFA
- 型式 2BJ-BR125H
- 発売予定日 2019年1月15日
- 型式指定・認定番号 II-1830
- メーカー希望小売価格 345,600円(本体価格320,000円、消費税25,600円)
- 353,160円(本体価格327,000円、消費税26,160円)
- カラー(カラーコード)エボニー(BK1) キャンディライムグリーン(GN1)
- ※当モデルは二輪車リサイクル対象車両です。価格には二輪車リサイクル費用が含まれます。
- ※価格には保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う諸費用は含まれません。
- ※当モデルは川崎重工業株式会社の海外工場Kawasaki Motors Enterprise(Thailand)Co.,Ltd(KMT)で日本向けに生産された車両です。
- ※当モデルにABSは搭載されておりません。
- 【Z125 PRO】
スーパーネイキッドZシリーズの中で最も軽くコンパクトな車体を持つZ125 PRO。倒立フォークやオフセットレイダウンリヤサスペンション、そして前後のペタルブレーキディスクなどパフォーマンスを重視した本格装備に加え、高回転域までスムーズに吹け上がる空冷4ストローク単気筒エンジンは機敏な走りと優れた燃費性能を実現。また、Zの名前に相応しいアグレッシブなデザインはシャープでスポーティな走りを連想させます。さらに、ギヤポジションインジケーターや大容量7.4Lフューエルタンク、タンデム走行に適した段付きシート等高い利便性と快適性を確保。街乗りやツーリング等幅広い分野で走る悦びを提供します。
- ■2017年モデルからの変更点
- ・カラー&グラフィックの変更
★主要諸元
車名型式 | 2BJ-BR125H(BR125HKF/BR125HKFA) | |
---|---|---|
Z125 PRO | ||
発売日 | 2019年1月15日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.700×0.750×1.005 | |
軸距(m) | 1.175 | |
最低地上高(m) | 0.155 | |
シート高(m) | 0.780 | |
車両重量(kg) | 102 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 50.0(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | |
54.2(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.1 | |
エンジン型式 | – | |
空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ||
総排気量(cm3) | 124 | |
内径×行程(mm) | 56.0×50.6 | |
圧縮比 | 9.8 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 7.1[9.7]/8,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 9.6[0.98]/6,000 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | バッテリ&コイル(トランジスタ点火) | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ式 | |
潤滑油容量(L) | 1.0 | |
燃料タンク容量(L) | 7.4 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式4段リターン | |
変速比 | 1速 | 3.000 |
2速 | 1.937 | |
3速 | 1.350 | |
4速 | 1.086 | |
減速比1次/2次 | 3.409/2.142 | |
キャスター(度) | 26° | |
トレール(mm) | 69 | |
タイヤサイズ | 前 | 100/90-12 49J |
後 | 120/70-12 51L | |
ブレーキ形式 | 前 | φ200mm油圧式シングルディスク |
後 | φ184mm油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | φ30mmテレスコピック式 |
後 | スイングアーム | |
フレーム形式 | バックボーン |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。