どうやらみんな、勘違いをしていたのかもしれない。
レブル登場が2017年4月、登場した時には「あれ? 今ごろアメリカン?」とか「CBR250Rのエンジン転用モデルかぁ」とかなんとかいう風に見ていたんだけれど、ホンダの狙いが別のところにあるのに後々気づくのだった。
レブルの構成は、北米向けに500cc/300ccを開発し、日本仕様に250ccを追加。新作の車体に、MC41=CBR250Rの水冷単気筒エンジンを搭載。スタイリングはやはりアメリカン=クルーザーっぽい成り立ちだけれど、ホンダはなにも「新しい250ccカスタム(=アメリカンモデルのことをホンダはこう呼ぶんです)」を開発したわけではなかったのだ。
レブルは、人気の出方も独特だった。販売ランキングに顔を出したのは発売翌月の17年5月で、初登場9位。そのあと10位近辺を行ったり来たりで、10月に初めてトップを奪取! 実に、発売して半年が経ってからのランキングトップ。
それからは17年12月にCBR250RRに、18年3月にマジェスティSに、4月と10~11月にPCX150に、9月にフォルツァにトップの座を一時的に渡すものの、スクーター以外には負け知らず。そうして18~19年の2年連続ベストセラーとなったのだった。
久しぶりにアメリカン人気が!――でも、それは間違い。理由は、乗ればハッキリわかるものだった。
アメリカンといえば、ホンダで言えばシャドウのように、寝かされたキャスター角をもつロングフォークに、前輪が大きく後輪が小さいサイズでVツインエンジンを搭載し、低いシートにまたがってドドドドド、があるあるパターン。
けれどレブルは、そうであり、そうでなし。キャスター角で言えば、レブルが28度なのに対し、同じ250ccだとCBR250RR=24度30分、CB250R=24度44分。つまり、キャスターを立てられているんですね。すでに絶版モデルのシャドウ400=34度、400X=27度30分、CB400SuperFour=25度5分となっている。
キャスター角はアメリカンの作法ほど寝かされていなくてシートは低い、けれどもホイール径は前後同じで、アメリカンのセオリーであるVツインエンジンではなく、単気筒エンジン。
エンジン特性には、アメリカン的なものを感じられない。低回転トルク型のVツインエンジンをドドドド、とあまり高回転まで回さずにクルージングするのがアメリカンあるあるだけれど、レブルの水冷単気筒は良く伸びる! しかも、現代エンジンらしくフリクションなく、スムーズにころころと回り、いざスロットルを開けると、高回転域までスタタタタッと歯切れよく加速していく。ベースとなったMC41=CBR250Rと共通のはずなのに、より軽く、フリクションなく、低回転域からフラットにトルクが出てくる。レスポンスも正確で、すごく気持ちのいいエンジンだ。
ハンドリングもアメリカンっぽさはなし。寝かされすぎないキャスターと前後同径ファットタイヤを履いていることで、ゆっくりとステアリングが切れるイメージ。安定感がたっぷりあって、いたずらにクイックじゃない。すごく安心感のあるハンドリングです。
寝かされたキャスターのロングフォークと言えば、直進性が強くて、曲がるときにはハンドルを切るイメージ。低速でハンドルを切って曲がっていくと、ある程度までバイクが寝るといきなりカクン、とハンドルが切れる――そんなイメージ。それが、レブルにはまったく感じられないのだ。
レブルは街乗りが気持ちいい! エンジンは強力すぎない、元気がいいイメージ。スロットルに忠実でパンチがあってスムーズ。アメリカンというと、まっすぐな道をドドドドド、ってゆっくりクルージングしていくイメージがあるけれど、街乗りが楽しい、っていう時点で、これはもうアメリカンではないのかもしれない。
そして高速道路に駆け上がってみると、ぴたりと安定感がすごくて、100km/hくらいのクルージングが平和で快適なのだ。80~100km/hくらいのスピードで、タコメーターはないけれど、公表されたギア比から察するに、5000~6000回転くらい。エンジンがうなっている感じもなく、静かにクルージングできる。このあたりのスピード域が、レブルがいちばん気持ちのいい走りなのかもしれない。
やはりレブルはアメリカンじゃない。単に、シート高が素晴らしく低くて、安心感のあるハンドリング、パンチある元気なエンジンを積むロードスポーツなのだ。スタイリングはたしかにアメリカンっぽいけれど、ストリートバイクであり、現代のトラッカー的立ち位置がしっくりくる。今、アメリカではこういうバイクのことを「ボバー」って呼ぶのね。
レブルとは「反逆者」って意味の言葉だ。けれどこの「反逆者」とは、なにも体制に反逆するとか、流行に逆らうとかいう意味ではなく、パッと見「あ、新しいアメリカンか」なんて思う私みたいな人たちの予想を裏切る、という意味での「反逆」なのかもしれない。
<オワリ>
■全長×全幅×全高:2,205×820×1,090、ホイールベース:1,490mm、最低地上高:150mm、シート高:690mm、最小回転半径:2.8m、装備重量:170kg、燃料消費率:46.5km/L(60㎞/h定地走行テスト値、2名乗車時)、34.1km/L(WMTCモード値、クラス2-2〈3-2〉、1名乗車時)■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ、総排気量:249cm3、最高出力:19kw(26PS)/9,500rpm、最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/7,750rpm、燃料タンク容量:11L、変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:ダイヤモンド、ブレーキ(前×後):油圧式ディスク × 油圧式ディスク、タイヤ(前×後):130/90-16M/C 67H × 150/80-16M/C 71H
■メーカー希望小売価格:Rebel 250 599,500円(税込み) Rebel 250 S Edition 638,000円(税込み)
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