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第7回 社外の部品を組み合わせるなら慣らし運転が必須!?

 メーカー不明のボアアップキットを組み付けた80ccエンジンが、無事に始動したことを前回レポートいたしました。昨今の新車のエンジンなら、高負荷を掛けたりするような走り方をしなければ、特に慣らし運転なぞ要らないなんて話もありますが、社外のボアアップキット、さらに言えばメーカー不明ともなれば、今でも慣らし運転はやった方がいいはずです。というわけで今回は自分がやった慣らし運転について書いてみたいと思います。

 エンジンについていろいろ教えていただいている、いうなれば師匠のような方がおりまして、その方から「このボアアップキットはクリアランスが狭い部分があるから、慣らし中はマメにオイル交換した方がいいぞ。特に1回目は100kmぐらいで交換してやれよ」というアドバイスをエンジンを組む前にいただいておりました。

 ちなみに100kmでオイル交換すべき理由は、慣らし運転は距離が伸びれば伸びるほど馴染んでくる→逆に言えば距離が短い時は馴染んでいないので摺動部の摩耗が多い→摩耗が多いということは金属粉がたくさん出る→鉄粉がたくさん出る時期にこそオイル交換すべき、というものでした。

 言われてみればそのとおりで、金属粉をたっぷり含んだオイルをいつまでも交換せずにいたら、エンジンにとっていいわけがありません。特に今回はピストンクリアランスが少ないわけですから、まともな部品を使って組んだエンジンよりもさらに多い金属粉がピストンとシリンダーの両方から発生すると思われます。そんなワケで今回の慣らし運転は、オイル交換をより重視して行っています。

 ちなみに今回は500kmの慣らし運転をおこないました。その500kmの中で、3回オイル交換をしまして、その内訳は以下の通りとなります。アイドリング1時間しただけ、走行距離0kmでまず1回目。次に約100km走って2回目。最後に500km走った後に3回目のオイル交換をしています。ちなみに師匠に慣らし運転終了後、この内訳を話したところ、「空冷でアイドリングを1時間もさせるのはそもそも良くないし、アイドリングと走行時では負荷の掛かり方が違うから1回目は無駄だったな」とのこと。クルマのエンジンだと、水冷で温度管理が安定しているからなのか、組み上がったエンジンを走行させる前に半日ぐらいアイドリングさせて初期アタリを付けるなんてことをするので、XLRもアイドリングでの慣らしをやってみたのですが、結果的にはあまりよろしくなかったようです(汗)。

 そんな無駄もありましたが、その後の2回はやっておいて良かったと実感させられることとなります。というのもオイルを抜いた直後は、金属粉がほとんど目立たず、異常を感じることもなかったのです。しかし抜いたオイルを廃棄するまでの間、白い樹脂ボトルに入れて放置していたのですが、廃油を捨てると底に多量の細かな金属粉が沈殿していたのです! こんなに多量の異物(金属粉)混ざったオイルで、例えば慣らし運転時のオイル交換タイミングとしてかなり一般的な距離となる1000kmまでオイル無交換のままだったら、エンジンにとっていいことあるわけがありません。「早めにオイル交換せよ」という師匠のアドバイスは、本当に的確なものでした。

 慣らし運転といえば、オイル交換の時期と共に、その運転方法にもやる方それぞれのこだわりがあると思います。自分の場合は、とにかくエンジンに負荷を掛けずエンジンが回りたいように回すことを心掛けます。高いギアで回転を抑えて慣らし運転をする方もいますが、無理に高いギアを使って走らせるとエンジンには結構な負荷が掛かるので、慣らし運転として本末転倒となってしまうと自分は思うんですよね〜。そんなわけで、エンジンが回りやすい回転数でスーっと走らせてやるのが、自分なりのならし運転となります。だから「3000回転以下で100km走ったら1000回転ずつ回転を上げていく」といった、几帳面な回転括りの慣らし運転を神経質にやられている方からすればかなり大雑把な慣らし運転かもしれません。

 一応、回転制限は設定してましたが、よく言われる慣らし運転の回転数と比べるとかなり高めです。これは所詮80ccエンジンですから、交通の流れに乗って走るには、そこそこ回転を上げる必要があるからです。具体的には6000回転ぐらいから始めまして、100km距離を増すごとに7000回転ぐらい、8000回転ぐらい……というように目安の回転数を上げていきました。とはいえ必ずその回転まで引っ張って変速するという回転制限ではなく、6000回転ぐらいを制限にしている時なら、そこまで回すのは2速か3速ぐらいまで。それ以上のギアなら6000回転も回さずとも交通の流れに乗れるので、負荷が掛からない、エンジンが回りやすい回転で巡航させてやりました。ちなみにその調子で走行距離が400kmを越えると回転制限は10000回転ぐらいとなりますが、慣らし運転用に50カムを組んでいたので、そこまで回りませんでした(笑)。

 そんな方法での慣らし運転を終えたエンジンは、前述の通り50カムを組んでいるので、ノーマルの50ccのまま100カムを組んでいた時のように、高回転が気持ちいいといった特性ではなく、低回転から回転が頭打ちになる9000回転弱までの全域で、ひとまわりトルクが太くなって扱いやすいエンジンとなってます。とはいえ幹線道路で周囲を走る他車と比較すると、50ccに100カム + 100キャブを組み合わせスプロケをショートにしたのと同じぐらいの速さ。速くなったかと聞かれたら、「まぁ、そこそこ……」としかお答えできないような感じではありますが、トルクフルになったかと聞かれれば「超なってくれました!」と自信を持ってお答えできます。





バルブスプリングコンプレッサー
大雑把ですが回転制限を設けた慣らし運転をしたのでタコメーターを装着してます。とはいえバッテリーレスのXLR80Rの場合、わざわざ常設のタコメーターを設置するのはいろいろ面倒なので、自分は簡易装着しやすい追浜精工業のタコ&アワーメーターを使っています。
バルブをヘッドから抜き取る
慣らし運転を始めた当初のファイナルギアは、エンジンに負荷を掛けないようにショートな設定にしてます。具体的にはドリブンスプロケットが34T(ノーマル)、ドライブ側が手持ちの中では最もショートになる12T。300kmを越えてからはドライブ側を14Tとしロング側に変更しています。

ワイヤーブラシを使って除去
500kmの慣らし運転中、オイル交換はアイドリング1時間しただけで1回、100km走行後に1回、500km走行後に1回の計3度行いました。使用オイルは、ホンダ純正のG1などがいいと思いますが、4ℓ缶で1000円という激安オイル(バイク用ではない)となります。
バルブの擦り合わせ
慣らし運転500km走破後に抜いたオイルがこれ。ちなみにオイルの元色は一般的な飴色となります。抜いたオイルは、写真のように金属粉が混入している感は特にはなく、この時点では「覚悟していた割に大して金属粉も出なかったなぁ〜」という感想だったのですが……。

光明丹
抜いたオイルを廃棄するまでの間、白い樹脂ボトルに入れて放置していたのですが、廃油を捨てた時に底を見てビックリ! ボトルの底には金属粉がかなり沈殿していたのです。金属粉の色が銀ではないのであまり目立たなかっただけで、実は大量に金属粉が出ていたようです。
擦り合わせ
慣らし運転とは関係ありませんが、圧縮圧力もボアアップ前後で計測しています。写真はボアップ後で10.6kg/cm2。ボアアップ前は8.7kg/cm2。計器の精度確認をしていないので規定値云々はともかく、圧縮比が高まっている分、しっかり圧縮圧力も高くなっていました。

穴の位置がズレ
100km走行後には、ヘッドボルト(正確にはカムシャフトフォルダナット)の締め付けトルクチェックを行いました。規定トルクがある部分なので、規定トルクで締まっていれば、それ以上締め付けるのはNGです。特に緩みはなく、規定値の2.0kgf・mで締まってました。
オイル通路を修正
排気量が1.6倍になったのだから、ジェット類の変更が必要と思うかもしれませんが、50エンジンに100カム、100キャブを付けた時のセット(MJ→#85、SJ→#38、NJ→3/5)のまま。それで乗り味も問題なく、プラグの焼けもご覧の通りちょうどいい感じです。

穴の位置がズレ
慣らし運転の最終行程は、SRV250に乗る友達と長距離ツーリングへ。国道411号の山奥でXLR80R改50改80に乗ってもらったのですが、感想を聞くと「前より速くなった?……んじゃない?」という微妙なもの(涙)。速くなったと感じるのはオーナーだけのようです。
修正後
ツボ8(戸籍上は坪内英樹):主に四輪誌などで活躍中のフリー・ライター。月刊四輪誌「ジェイズ・ティーポ」(現在休刊)在籍時代には510ブルーバードや240Zのレストア&日本一周の企画を大成功させた立役者。二輪免許は小型限定しか持っていないという筋金入りのG2(原付二種)フリーク。趣味はスクリューマウントのスーパータクマ―レンズを装着したEOS20Dでの写真撮影。


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2020/08/27掲載