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G2連邦・整備管理局依託長官ツボ8のよろず整備帖「いらっしゃいませ、ようこツボ8へ」
第3回 激安ボアアップキットってどうなのよ??

 XLR80Rの本来の排気量は、ボア×ストロークが47.5×45.0mmの79cc。自分のXLRはエンジンレスで譲ってもらったので、代わりにエイプ50のAC16E型エンジンを搭載。よって現状、ボア42.0Φ×ストローク35.6mmの49ccとなってます。
 ちなみにエイプ50のエンジンを積んだ理由は、流通量が多く安価に買える上に、市販のボアアップキットを組めば80ccになるから。ちなみにエイプ50用に売られているボアアップキットは、ピストン径が52.0〜54.0mmというのが一般的で、ボアアップ後の排気量が80cc前後となるのです。
 そんな理由からエイプ50のエンジンを積んだので、ボアアップして80ccの排気量とすべく、前回書いたようにメーカー不明(中華製)のボアアップキットをネットオークションで落札しました。選んだ理由は、5000円+αの激安な価格です(笑)。

 そんな激安ボアアップキットの品質はどうだったか? パッと見た感じやパーツ構成は、国内メーカーの一流品と大差ないように見えます。しかしエンジン部品という精密さを要求されるパーツとして見てみると……?
 自分では精密計測ができないので、知り合いの内燃機加工屋さんにボアアップキットを持ち込んで、シリンダーとピストンを測っていただき検証してみました。計測してみると、ちょっと気になる部分が見えてきました。

 気になる部分というのが、シリンダーとピストンのクリアランス。シリンダー自体は、円柱度、真円度とも問題なく、ピストンも単体で見れば問題なさそうなのですが、シリンダーにピストンを入れると、シリンダー径に対して1/100mmのクリアランスしかないのです。それって少々狭過ぎなのではないでしょうか?
 ちなみにエイプ50の整備書はないのですが、エイプ100のものがあるので、純正のピストンクリアランスがどんなものか見てみると1/100〜5/100mmのようです。純正パーツ同士の組み合わせなら、ギリ基準値内のようですが、恐らく加工精度の低い、材質もそんなにいいものではない激安社外パーツとして考えると、このピストンクリアランスは狭過ぎるような気がします。

 計測してくれた内燃機加工屋さんも「ちょっと狭いから、正攻法でいくならホーニングしてもう少しクリアランスを広げた方がいい」とアドバイスしてくれました。それと共に、「リスクを覚悟なら……」と前置きした上で、「これだけ薄いスリーブなら、バリ取りしっかりやって、ちゃんとした組み付けペーストといいオイル使って組んで、慣らしもしっかりやれば、何とかなっちゃうかもよ?」なんて話も。

 正攻法ではないので、エンジンを掛けてみたらやはりダメだったという可能性も多分にあります。しかしホーニングしてもらうとその分工賃が部品代に上乗せされ、国産一流メーカーのボアアップキットを買ったのと大差なくなってしまうのが面白くない←単にケチなだけ(笑)。どちらにするか? 迷ったりもしたのですが、このままのクリアランスで組むことにしました。組み上がってエンジン掛けた直後に焼き付いた……なんて結果になったら、大笑いしてやって下さい!

ボアアップキットのピストン
購入したボアアップキットのピストン。ピストン径は実測で52.89mm。エイプ100の純正ボアが53Φなので0.1mmほど小径となるがほぼ同サイズに設定しているのは何かの狙いでしょうか? ちなみにピストンクリアランスが0.01mmしかないので、シリンダーにピストンを出し入れしていたら、スカートに写真のような擦り傷が付いてました。

シリンダーにピストンを入れた状態
シリンダーにピストンを入れた状態。ピストンリングを付けていないので、写真下方向にピストンが偏っているのもあり、シリンダーとの隙間は5/10mmぐらいはあるように見えます。しかしピストンの最大径部分となるスカート部とシリンダーのピストンクリアランスは0.01mm。目視では隙間が見えなくなるほど、ピストンクリアランスは狭くなってます。

ピストンのバリ取り
ピストンクリアランスが狭いので、組み付ける前にピストンのバリ取りを行いました。基本的には各エッジ部の角をペーパーで落とします。そんな作業を行っていると巨大なバリを発見(※クリックすると拡大されます)。ホンダ純正パーツだったらお目に掛かれないような立派なバリ。角さえ取ればそのままでも大丈夫そうな形状でしたが……。

巨大なバリ
巨大なバリはこの部分だけだったので、削り落としてやりました。手元には800番のサンドペーパーしかなかったので、棒ヤスリを併用。大まかに棒ヤスリでバリを落としてから、800番のサンドペーパーに当て板を付けて最終仕上げしてます。残しても大きな影響のないバリだけに、ここまでやるメリットは実のところほぼない、自己満足の作業です(笑)。

バリ
バリといえば空冷フィンが酷かったです。機能はともかく見た目的にガッカリな仕上がりとなってました。純正のフィンと比べるまでもなくな状態ですが、比較用に純正シリンダーの同部分も撮影しておいたので、比べてご覧下さい(※クリックしていただくと純正シリンダーの写真に切り替わります)。ちなみにこのバリは外側なので処理してません。

スリーブの厚さ
シリンダーに入るスリーブの厚さは、純正とボアアップキットで全く異なります。撮影の角度が異なってしまいましたが、クリックすると純正シリンダーのスリーブの写真に切り替わり比較できます。ボアアップシリンダーのスリーブぐらい薄いと、エンジンが動いている時には、スリーブもピストンに合わせて変形してしまうようです。

ピストンの形状
ボアアップキットのピストンの形状ですが、縦型エンジンのXLR80Rが現役だった時代のピストン形状を真似て作ったもののようです。というのも現代のエイプのエンジンにはないが、XLR80R純正ピストンにはあった、ピストンリング溝の下部、矢印部にオイル潤滑用の穴と溝が設けられた形状となっているからです。

合い口の幅を計測
ピストンリングもバリ取りをしてから、合い口の幅を計測しました。トップリングは基準値内でしたが、セカンドリングはやや幅が狭かったので、サンドペーパーで合い口を広げるという作業をしてます。そうそう簡単に削れないだろうと調子こいて削っていたら、狙った数値より少し広くなってしまったのは秘密です(笑)。


ツボ8
ツボ8(戸籍上は坪内英樹):主に四輪誌などで活躍中のフリー・ライター。月刊四輪誌「ジェイズ・ティーポ」(現在休刊)在籍時代には510ブルーバードや240Zのレストア&日本一周の企画を大成功させた立役者。二輪免許は小型限定しか持っていないという筋金入りのG2(原付二種)フリーク。趣味はスクリューマウントのスーパータクマ―レンズを装着したEOS20Dでの写真撮影。

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2020/03/12掲載