YAMAHA MT-09 ABS/MT-09 SP ABS 車両解説
新世代の“MT”シリーズ、MT-09は、水冷3気筒、846cc、DOHC4バルブF.I.エンジンを搭載して2014年4月に発売が開始された。「ネイキッドとスーパーモタードの異種交配造形による個性的なデザイン」を持つと紹介された車体に、MotoGPマシン“YZR-M1”のヒューマンフレンドリーなハイテク技術、クロスプレーン・コンセプトにも基づいて開発されたエンジンを搭載していた。開発コンセプトは“Synchronized Performance Bike”。「日常の速度域で乗り手の意志とシンクロする“意のままに操れる悦び”を提唱する」マシンのデビューだった。
フレームはアルミダイキャスト製ダイヤモンドタイプフレームで、外側締結リアアームなどとともに、最新テクノロジーを導入することで市街地での楽しい走りを狙いとした方向で開発されていた。YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)およびD-MODE、マスの集中に貢献する一体成型のエキゾーストパイプ&サイレンサー、アルミテーパーハンドル、ラジアルマウント式フロントブレーキキャリパー、アルミ鍛造ブレーキ&シフトペダルなどなど。そして極めつけは装備重量188kgがMT-09の性格のすべてを物語っていると言えるだろう。
2015年3月には、ABS標準装備モデル、MT-09 ABSにレースブルーとマットシルバーを調和させたニューカラーが設定されている。マットシルバーの車体をベースに、ホイールとフォークアウターチューブにレースブルーを採用してアクセントととし、車体には、RB(レースブルー)シリーズとしてヤマハのレーシングスピリットを象徴する“RB”ロゴも追加されていた。
2016年3月には、初のマイナーチェンジとして、ABSを採用するMT-09 ABSにトラクションコントロール(TCS)が新たに採用された。2モード+オフから選択が可能で、点火時期と燃料噴射量、そしてスロットル開度を統合制御するタイプのトラクションコントロールだった。
2017年2月には、初のモデルチェンジが行われたが、スタリングよりも主に中身、メカニズムのアップグレードが実質的な変更点だった。開発コンセプトは“Multi performance Neo readster”。A&S(アシスト&スリッパー)クラッチの採用を始め、滑らかなシフトアップを可能とするQSS(クイック・シフト・システム)、圧側減衰調整機能を追加したフロントサスペンションを採用。また、スタイリング面でも、フローティング風懸架のLED4灯ヘッドランプを採用したフロントフェイスデザイン、“塊感”“力感”を強調したサイドビュー、そしてショートテールを実現したアルミ鍛造製ステーによる片持ちのリアフェンダーなどMTシリーズの個性をより強調するスタイリングが取り入れられていた。
2018年3月に発売された2018年モデルでは、MT-09シリーズのカラーリングの変更と共に、新世代MTシリーズの旗艦であるMT-10と同様、アップグレード版の「SP」仕様を誕生させた。スタンダードなMT-09をベースに、スーパースポーツモデル並みの減衰力を発生するスペシャル仕様のKYB製フロントサスペンションを装備、フロントとリアのバランスを取りながら、バネレート、減衰力を最適化したOHLINS製フルアジャスタブルリアサスペンションの装備、そして質感を感じるダブルステッチ入りのシートの採用、引き締まった印象を与えるブラックバックのデジタルメーターの採用、塗分け塗装などにより、上位モデルのMT-10 SP ABSとリレーションすることで上級仕様としての存在感を強調したカラーリングを採用した。
2019年4月には、MT-09 ABS本体に新色が追加され、継続色の2色と合わせ3色のラインナップに、アップグレード版のMT-09 SP ABSは継続販売とされていたが、今回もMT-09 ABS本体にYZF-R1を彷彿とさせるヤマハレーシングブルーをベースにマットグレーと組み合わせた新色を追加している。マットライトグレーとマットダークグレー、およびMT-09 SP ABSのブラックは継続販売だ。
★YAMAHA ニュースリリースより (2020年2月6日)
スーパースポーツモデルとのリレーションを図り、スポーティなイメージを強化
「MT-09 ABS」の新色を発売
ヤマハ発動機株式会社は、“クロスプレーン・コンセプト”※1に基づき開発した水冷・4ストローク・DOHC・直列3気筒・4バルブ・845cm3エンジンを搭載するスポーツバイク「MT-09 ABS」のカラーリングを変更し、2020年モデルとして2月25日より発売します。
新色の“ブルー”は、当社スーパースポーツのフラッグシップモデル「YZF-R1」の2020年モデルとのリレーションを高めるため、ヤマハレーシングブルーをベースにマットグレーを組み合わせ、ダイナミックかつスポーティなカラーリングとしました。なお、“マットライトグレー”と“マットダークグレー”、および上級仕様「MT-09 SP ABS」※2の“ブラック”は継続して販売します。
「MT-09 ABS」は“Synchronized Performance Bike”をコンセプトに、日常の速度域で乗り手の意思とシンクロし、意のままに操れる悦びを提唱し開発しました。ネイキッドとスーパーモタードの“異種混合”スタイルと優れた走行性を兼ね備えています。
※1. クロスプレーン・コンセプトは、慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す設計思想。
※2. 「MT-09 SP ABS」は、「MT-09 ABS」をベースに、オーリンズ製リアサスペンションやダブルステッチ入りシート、ネガポジ反転のデジタルメーター、塗り分け塗装を採用し、性能と品質感を向上させたモデル。
- <名称>
- 「MT-09 SP ABS」
- <カラー>
- ・ブラックメタリックX(ブラック)
- <発売日>
- 継続販売
- <メーカー希望小売価格>
- 1,133,000円 (本体価格 1,030,000円/消費税103,000円)
- <名称>
- 「MT-09 ABS」
- <カラーリング>
- ・ディープパープリッシュブルーメタリックC(ブルー/新色)
- <発売日>
- 2月25日
- <カラーリング>
- ・マットライトグレーメタリック 4(マットライトグレー)
- ・マットダークグレーメタリック6(マットダークグレー)
- <発売日>
- 継続販売
- <メーカー希望小売価格>
- 1,023,000円 (本体価格 930,000円/消費税93,000円)
-
※メーカー希望小売価格(リサイクル費用含む)には、保険料、税金(除く消費税)、登録などに伴う諸費用は含まれません。
- <販売計画>
- 700台(シリーズ合計/年間、国内)