カワサキ Z650 車両解説
2017年の春は、インターモト2016で発表されて話題を集めたカワサキのニューモデル群の国内発売でにぎわったが、その中でもNinja 650 ABS/Z650 ABSは、フルモデルチェンジされた最新モデルのデビューイヤーと国内投入の時期が重なり特に注目を集めることとなった。
近年のカワサキのミドルクラススポーツのラインアップといえは、海外市場向けに2006年モデルとして開発されたER-6nとNinja 650R(ER-6f)により、幅広く多くのユーザー層をカバーし、その海外モデルをベースに国内向けとして排気量ダウン、2010年8月にフルカウルバージョンのNinja 400RとノンカウルのER-4nが上げられる。
発売3年目にはフルモデルチェンジが行われて2014年モデルが登場。ただ国内向けの400版では、新型となったのはカウルスポーツ版のNinja 400のみで(またNinja 250同様、このモデルチェンジで車名から“R”の文字が外された)、ノンカウルバージョンのER-4nは継続販売とされていた。
デザインはそれまでのNinja 650R/ER-6nのコンセプトを忠実に引き継いでおり、Ninja 650Rでは大型の二眼ヘッドライトを装備するフロントカウルからテールにかけての“Ninja一族”のアグレッシブなイメージも守りながら、右サイドにオフセットされたモノサスレイアウトもアクセントとして引き継ぐなど、旧モデルからの個性的なデザインDNAを継承、発展させたモデルだった。
2017年5月に国内発売が開始されたNinja 650 ABS/Z650 ABSでは、旧モデルから引き継がれたのは、ダイレクトなフィーリングと力強い加速感が特徴の総排気量649㏄の水冷4ストロークパラレルツインくらいなものといえ、完全新設計となったトレリスフレームと組み合わされていた。右サイドにオフセット配置されていたリアサスも、新型ではホリゾンタルバックリンクタイプが採用され、スイングアームもツインパイプ構成をイメージした特徴的なものから、より一般的なデザインに変更されている。
新型Z650の開発キーワードは、『本物を知るライダーのためのミドルクラス軽量スーパーネイキッド』。まぎれもないZ一族の一員として「五感を刺激する乗り味やダイレクトなコントロール性といった『凄み』パフォーマンスと、先鋭的な車体形状やダイナミックなクラウチングフォルムによる『凄み』デザインを兼ね備えている」。新時代の“ZAPPER”としての地位を確立できたのだろうか。
2017年8月には、カラー&グラフィックの変更のみで2018年モデルが登場、2019年2月もカラー&グラフィックの変更のみで2019年モデルとしている。
今回のモデルチェンジで一番の注目はEURO5規制を見据えたよりクリーンな排出ガスへの対応だろう。触媒容量を増加させ、吸排気系の改良も行われている。またもう一つの注目点であるスタイリングでは、よりコンパクトなヘッドライトカウルを採用するなどより存在感のアップが図られている。この他、ハンドリング性能の向上を期してダンロップの最新タイヤ“SPORTMAX Roadsport 2”の導入、タンデムライダーの快適性向上を狙った形状変更、およびウレタン厚のアップ、新型4.3インチTFTカラー液晶スクリーン採用し、スマートフォン接続機能も追加されたインストゥルメントパネルなど装備の進化も行われている。
★カワサキ ニュースリリースより (2019年12月20日)
Z650 新発売のご案内
- モデル情報
- 車名(通称名) Z650
- マーケットコード ER650KLF
- 型式 2BL-ER650H
- 発売予定日 2019年2月1日
- 型式指定・認定番号 18550
- メーカー希望小売価格 847,000円(本体価格770,000円、消費税77,000円)
- カラー(カラーコード) メタリックスパークブラック(BK2)
- ※当モデルは二輪車リサイクル対象車両です。価格には二輪車リサイクル費用が含まれます。
- ※価格には保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う諸費用は含まれません。
- ※当モデルは川崎重工業株式会社の海外工場Kawasaki Motors Enterprise(Thailand) Co.,Ltd(KMT)で日本向けに生産された車両です。
- ※当モデルはETC2.0車載器キット標準装備車です。
- ※当モデルはABS装着車です。
- ※消費税率10%に基づく価格を表示しております。
- 【Z650】
新型Z650は従来からのスリムでコンパクトなパッケージを継承し、軽量なシャーシに、低中回転域で力強いトルクを生み出す649cm3パラレルツインエンジンを搭載。スーパーネイキッドZシリーズが持つ「Sugomi」パフォーマンスと「Sugomi」デザインを具現化し、バランスのとれたパフォーマンスを発揮します。エンジンの改良により、中回転域におけるトルクの向上、排出ガスのさらなる清浄化を達成。車体面では、よりシャープなスタイリング、そして新採用のLEDヘッドライトや4.3インチTFTカラー液晶スクリーンを備えるインストゥルメントパネルが、新型Z650の存在感を高めています。また、ハンドリングの軽快さを高める最新のタイヤを採用し、取り回しの良さを向上。軽快なハンドリングと優れたスロットルレスポンスを持ち合わせ高いスポーツ性能を発揮する新型Z650は、多様なシーンで奥深い走りを提供します。
- ■主な特長(前モデルからの変更点)
- ・ヘッドライトカウルとラジエータシュラウドのデザイン変更により、存在感を高めた「Sugomi」デザイン
- ・多彩な情報の表示とコクピットに先進性と高級感を与えるフルデジタルTFTカラー液晶スクリーン
- ・「RIDEOLOGY THE APP」と連携しモーターサイクルライフを豊かにするスマートフォン接続機能
- ・シャープでコンパクトなデザインのLEDヘッドライト
- ・EURO5排出ガス規制を考慮し吸排気系に改良を施すことで実現した、よりクリーンな排出ガス
- ・エアクリーナーボックスとスロットルボディを繋ぐダクトの形状変更による、中回転域におけるトルク向上更
- ・より軽快なハンドリングをもたらすダンロップ社の最新モデル、SPORTMAX Roadsport 2
- ・タンデムシート形状変更による、タンデムライダーの快適性向上
- ■アクセサリー
- ・ラージメーターカバー
- ・LEDウインカー
- ・メーター耐傷フィルム
- ・ハイシート(+30mm)
- ・オイルフィラーキャップ(シルバー、ゴールド、ブラック
- ・シングルシートカバー
- ・パニアケース(ソフト)
- ・トップケース
- ・タンクバッグ
- ・スマートバッグ
- ・ホイールリムテープ
- ・ラジエタースクリーン
- ・フレームスライダー
- ・タンクパッド
- ・ニーパッド
主要諸元
車名型式 | 2BL-ER650H | |
---|---|---|
Z650 | ||
発売日 | 2020年2月1日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.055×0.765×1.065 | |
軸距(m) | 1.410 | |
最低地上高(m) | 0.130 | |
シート高(m) | 0.790 | |
車両重量(kg) | 189 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 32.1(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | |
23.6(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | – | |
エンジン型式 | – | |
水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 649 | |
内径×行程(mm) | 83.0×60.0 | |
圧縮比 | 10.8 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 50[68]/8,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 63[6.4]/6,700 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置 | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | バッテリ&コイル(トランジスタ点火) | |
潤滑油方式 | セミ・ドライサンプ | |
潤滑油容量(L) | 2.3 | |
燃料タンク容量(L) | 15 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.437 |
2速 | 1.714 | |
3速 | 1.333 | |
4速 | 1.111 | |
5速 | 0.965 | |
6速 | 0.851 | |
減速比1次/2次 | 2.095/3.066 | |
キャスター(度) | 24.0° | |
トレール(mm) | 100 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 160/60ZR17M/C 69W | |
ブレーキ形式 | 前 | φ300mm油圧式ダブルディスク |
後 | φ220mm油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式(インナーチューブ径41mm) |
後 | スイングアーム式(ホリゾンタルバックリンク) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。