2025年10月12日、静岡県スズキ浜松工場を会場に『GSX-S/R Meeting 2025』が開催された。GSX-Rシリーズ40周年特別イベントとして開催されることが1年前から告知されていたこともあって、1800台越え、2000名越えの新旧GSXファンが全国から集結、GSX-S/Rシリーズをめぐり一層パワーアップしたスペシャルコンテンツを楽しんだ。
- ■2025年10月12日 静岡県浜松市 スズキ株式会社浜松工場内特設会場
- ■主催:株式会社スズキ二輪
- ■文・写真:高橋絵里
GSX-S/Rミーティングはスズキ主催のバイクミーティングの中でも昨年初開催された新しいイベントで、長年待ちわびていたファンは新旧のGSX乗りであり年齢層も幅広い。さらに第2回目の今年は『GSX-R 40周年』を掲げて、会場は朝から祝賀お祭りムードに包まれた。浜松工場ならではの広大な敷地に、製造ライン工場見学もできる特別感は昨年のサプライズで、今年ももちろん実施された。
歴代モデルから最新未発表車まで、跨り可能なニューモデルとマシン展示の多さが目立った。それに隣接してGSX-R1000Rのエンジンを始め機械展示も充実した。開場からオープニング前のひととき、まずはそれらをじっくり見てまわって、出展ブースを順に訪ねながらGSX一色の雰囲気に浸る。気がつけば駐輪場エリアはバイクでびっしり埋め尽くされていた。あちこちで再会の笑顔があふれる。いよいよ今年も始まるという期待感高揚感に誰もがワクワクを抑えられない。
トークショーや抽選会、工場見学など事前発表のコンテンツだけでも充分魅力的なこのミーティングに、予期せぬサプライズが起きたのはオープニング後まもなく、来場者全員がプロムナードに集まり集合記念撮影をおこなった直後のことだった。どこからともなく運ばれ登場した1台のマシンに会場は釘付けになり、ざわめく。
それは2022年のMotoGPマシン、GSX-RRだ。これは眼福とばかりにもっとよく見ようとギャラリーの輪がじわじわ近づくと、「近づかないでください、マシンから離れてください」とアナウンスが流れ、なんとGSX-RRのエンジンがかけられた。鼓膜を打つ轟音、ファンには懐かしいあの音。そして津田拓也選手が跨り、アクセルワイドオープン。思わず息を止めてしまうような、とんでもない音を聞いていながらまるで時が止まったかのような迫力だった。動態保存している1台だがエンジンをかけての公開はこの日が最後とのことで、唯一無二のサウンドを誰もが耳に焼き付けた。
来場の皆さん誰もが「絶対聞きます」「毎回楽しみ」と言うのがトークショーで、さらに今年はコンテンツ的には2部構成ながら実際は『ヨシムラSERT Motulトークショー』『チームスズキCNチャレンジトークショー』『GSX-R 40周年記念トークショー』の豪華3本立てで、それぞれ開発陣とライダーのリアルエピソードをたっぷり聞かせてくれた。レース現場での信じられないような死闘とその舞台裏、開発現場での苦悩ややりがいといった凄まじいまでのノンフィクションは、聞く者の心に突き刺さる話ばかりだ。
トークショー後にその余韻を噛みしめながら、そうやって闘ったバイク、そうやって出来上がったバイクが展示されたブースが見られるのもまた楽しい。夢のようなGSX-S/R尽くしの時間はあっという間に過ぎ、全員で来年の再会を約束した。
