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スズキの歴史を築いた挑戦者たちが再び結束!

 スズキのレース関係者が一堂に会する懇親会がこのほど盛大に開かれ、OBを中心に300名を超える関係者が参加した。発起人のひとりである岡本満氏は「仲間たちも高齢となり、今回が最後かも知れない。と話しが出て、いつもの会に、声をかける人を増やした」。今会わなければ、もう会えないかもしれないと企画の経緯を説明。当初は居酒屋での開催を予定していたが、参加希望者が膨らみ、会議室からさらにホテル会場へと規模が拡大したという。

 スズキは1953年に国内レース活動を開始。1960年に世界ロードレース選手権(WGP)へ参戦して以降、世界チャンピオンを輩出するとともに、AMAスーパーバイク、世界耐久選手権、全日本ロードレース選手権、モトクロス世界選手権など、多岐にわたるシリーズで活躍してきた。

 歴史を刻んだライダーたち、技術者、スズキを支えた多くの人が会場を埋めた。

 久保和人氏、小島和久氏、黒沢元治氏、菅谷安智氏、河崎裕之氏、吉村太一氏、吉村不二雄氏、水谷勝氏、渡辺明氏、佐原伸一氏ら発起人が紹介され、小島松久氏の呼びかけで「亡くなった仲間へ」と黙祷が捧げられた。

 スズキ常務取締役 二輪事業本部長の伊勢敬氏は、ケビン・シュワンツ氏に通訳してもらった思い出を語り、「スズキ復活に向け、ご助言をいただきたい」と挨拶。


 続いて、黒沢元治氏、星野一義氏、北野元氏が乾杯の音頭を務めた。星野氏は「中2の時にグリーンメタリックのスズキ車に憧れなければ、東大に行って違う人生だったかも」と語り、北野氏は「駐車場探しに30分。帰ろうかと思った」と苦笑しつつ会場を沸かせた。

 モトクロス世界選手権の名将シルバン・ゲボース氏、日本人初のモトクロス世界チャンピオン・渡辺明氏(1978年)も登壇。佐原伸一氏が通訳としてサポートし、故・横内悦夫氏(元スズキ監督)の書「紺碧の天空を仰いで」がシルバン・ゲボース氏に贈呈された。


 また、水谷 勝、辻本聡らのテーマ曲で知られるミュージシャン・シャーク円道一成氏がステージに登場。妻で女優の奈良富士子氏、水谷氏、辻本氏、飛び入りでカワサキの清原明彦氏も加わり大いに盛り上がった。プロジェクターではスズキの挑戦の歴史を振り返る映像も上映された。


 終盤には、水谷氏が「皆さんに支えられ、良いレース人生を送ることができました」と感謝を述べ、最後に岡本氏が「多くの方の協力で開催できたこと、そしてこれだけの方々に集まっていただけたことに感謝します」と締めくくった。


 スズキは2022年末にMotoGP撤退を発表したが、2024年にカーボンニュートラルチャレンジ枠で鈴鹿8耐へ参戦。今年は全日本ロードレース選手権にもフル参戦し、再び挑戦の歩みを進めている。世界耐久選手権では、ヨシムラがSERTとタッグを組み、王座を獲得している。

 この懇親会は、スズキの歴史を築いた挑戦者たちが再び結束するとともに、ロードレースそしてモトクロスでの未来へ「スズキの物語は終わってはいない」と期待を強くする場となった。

(文・写真:佐藤洋美)

2025/12/11掲載