2024 MiniGPジャパンシリーズ第5戦
埼玉県・MotoUP桶川スポーツランド
FIM MiniGPジャパンシリーズ第5戦(最終戦)が埼玉県MotoUP桶川スポーツランドで開催された。タイトル決定戦となり、第4戦を終えポイントリーダーは#08知識隼和、ランキング2位の#04国立和玖の争いとなる。ポイント(P)差は8P、桶川は#08知識のホームコースであり、ダブルウィンでチャンピオン獲得を目指した。
9月開催だったが、最高気温35度、路面温度は57度という真夏を思わせる蒸し暑い気候となった。予選から#08知識と#04国立が接戦を見せ、レース1決勝のグリッドを決める予選1回目では、#08知識が41秒848でポールポジション(PP)を獲得。#04国立は41秒924で2番手。ふたりが41秒台。3番手に#07吉原寅之介が42秒242となる。
レース2決勝のグリッドを決める予選2回目では、#08知識が41秒969を記録しダブルポール。#04国立は42秒012で2番手。3番手には#07吉原が42秒400で続く。
レース1決勝、#04国立がホールショットを奪い、2番手に#08知識、3番手に#07吉原と続く。オープニングラップは#08知識が制し、#04国立が続きふたりのバトルとなったが、#08知識が#04国立を突き放して優勝を飾る。#04国立は悔しい2位。3番手走行の#07吉原は最終ラップに痛恨の転倒。4番手争いを制した#09真木來人が3位となり初表彰台を獲得した。
レース2でスタートダッシュを決めたのは#07吉原でオープニングラップを制する。これに#04国立、#08知識、#03田中楓人、#10市川速人が続く。2周目には#04国立がトップに出て2番手以下を引き離す。スタートで出遅れた#08知識は3周目に2番手浮上し、トップの#04国立を追い、トップ争いに持ち込む。#08知識は#04国立を捉えて優勝のチェッカーを受けた。#04国立は2位。3位に#07吉原が入った。
ダブルウィンを飾った#08知識が初の栄冠に輝き、ランキング2位に#04国立、ランキング3位は#07吉原となった。上位2名がファイナルレースの出場権を得てバレンシアへ向かう。
ウイニングランでは、サプライズでチャンピオンTシャツが用意されており、知識ファミリーがコース上で知識にTシャツを着せた。アドバイザーの長島哲太も駆けつけ祝福した。
#08知識は「レース1はうまく勝つことができたのですが、レース2は、少し緊張もあり序盤出遅れてしまいました。落ち着いて走ることを心掛けて、レース2も勝つことができたのでよかったです。ホームコースで勝ってシリーズチャンピオンを決めることができたのですごくうれしいです。この勢いでワールドシリーズも勝ちにいきたいです」と喜びを語った。
#04国立は「レース1ではスタートは決まったのですが、3コーナーで突っ込み過ぎてしまうミスもあり、2レースとも離されてしまい悔しかったです。今季は第4戦でダブルウィンして、第3戦の筑波も両レースでトップでチェッカーを受けたけど、雨のレースで黄旗を見逃しペナルティで降格してしまうなどシーズンを通して納得いく結果ではなかった。でも、気持ちを切り換えてワールドシリーズで勝てるように準備していきます」と前を向いた。
初表彰台を獲得した#09真木は「レース1は、スタートがうまく決まったこともあり良い流れでゴールできました。初表彰台なのでうれしかった。来シーズンは毎戦表彰台に上がってシリーズチャンピオンを狙いたいです。ワールドシリーズに行きたいです」と笑顔だった。
#07吉原は「最終戦なので転倒してもいいから優勝を目指したいと思っていました。レース1では転んでしまいました。両レースともトップ争いについていくことができず悔しいです。自分の技術が、まだまだ足りないと思うので、もっと速く強くなって来年こそ勝ちたいです」と決意していた。
最終戦が終わりアドバイザーの長島が語った。
「知識、国立がレースリードし、そこに吉原が入り、シーズン中盤から追いついてきたライダーがいて、トップのふたりに引っ張られるようにみんなが成長出来たと思います。各々、練習やトレーニングといった努力をしていると思います。その努力は報われることがないことの方が多いのですが、正しい努力は報われるのだなということも感じています。
アドバイスを聞きに来てくれる選手はリザルトを上げることが出来ていると思います。それでも、この先、もっと残酷な結果が待っています。努力がまだまだ足りないと感じる場面があります。それを、バレンシアに行くふたりは感じて、もっと努力しなければと思うのだと思います。
それでも、ここを卒業したチャンピオンはロードレースで活躍して、みんなのお手本になってくれています。知識もMiniGP参戦1年目の時は優勝は遠かったと思いますが、頑張った結果が、今年のチャンピオン獲得です。そこに届くことは不可能ではなく、日々、何が必要かと考えて努力を続けることが、このMiniGPジャパンの価値に繋がると思います。世界で日本人が活躍する日に向って頑張って行きたいと思います」
主催者の中込正典氏はMiniGP World Finalに向け、次のように語った。
「幼少期からスポーツに関わることは素晴らしいことだと思います。この経験は決して無駄ではなく、人生を切り開く力になると思います。自分も中学、高校とレースに真剣に取り組んでいた時期があり、レースでの夢はかないませんでしたが、レースが与えてくれたものは大きいと感じています。なので、諦めずに頑張ってほしいと思います。
MiniGPジャパンで、バレンシアのファイナルに参戦して1年目は3位、2年目は2位を獲得することが出来ました。今年は1位を目指したい。ここから、これまでとは違う方法で育成プログラムを実施してそこに届くようにサポートしたいと考えています」
表彰式後は恒例となったイタリアのスパークリングウィ―ターの水かけ合戦が行われ笑顔が弾けた。
(文・写真:佐藤洋美)
■FIM MiniGP について
『FIM MiniGP World Series』は、マシンや競技・技術規則など、レギュレーションを統一することで、世界中のヤングライダーに平等なプラットフォームを提供し、『MotoGP』昇進に向けた、スキルアップとチャンスを与えることを目的としています。エントリー可能の年齢は、満10歳から満14歳まで、使用するミニバイクは「Ohvale GP-0 160」、タイヤは『Pirelli(ピレリ)』社、潤滑油は『Motul(モチュール)社』を使用する。
初年度となる、2021年は「アルペ・アドリア、北米、フランス、アイルランド、イタリア、マレーシア、オランダ、ポルトガル、スペイン、イギリス」で開催。2022年は、2021年開催された国に加え、新たに「オーストラリア、オーストリア、インドネシア、カタール、日本」で開催された。