YAMAHA XSR125 ABS 車両解説
“アジャイルな走行性能に、シャープで躍動感あるMTスタイル”、これが11月10日に発売を開始したMTシリーズの末弟、MT125 ABSに捧げられたキャッチフレーズだった。開発コンセプトもズバリ「The most AGILE youngest MT」。
MT-25 ABSよりさらに小さな“鼓動”を楽しむべく開発された水冷4ストロークSOHC・4バルブのVVA(可変バルブ)搭載124cm3エンジンを搭載。欧州で生まれ育った兄弟車であるYZF-R125とは一味違うアップライトな乗車姿勢で俊敏な走りを楽しんでもらえる新型原付二種スポーツの登場とされていた。
今回のXSR125の発売でヤマハの原付二種スポーツは、YZF-R125と合わせて強力なラインアップ体制が確立されたといえるだろう。XSRらしさを継承したデザイン、そして優れた加速性能を持つ新型VVA(可変バルブ)搭載124cm3エンジン、軽さと剛性のバランスを図ったデルタボックス型フレームの採用など原付二種クラスとはいえ十分な満足感を与えてくれる一台の登場だ。
★ヤマハ ニュースリリースより (2023年11月9日)
“Neo Retro”スタイルの「XSR125 ABS」新発売
~“XSRシリーズ”のスピリットを原付二種クラスに展開~
ヤマハ発動機株式会社は、レトロな外観とパフォーマンスを調和させたXSRシリーズの新製品「XSR125 ABS」を12月8日に発売します。
「XSR125 ABS」は、“Arouse One’s Freedom(自由を呼び覚ませ)”をコンセプトに開発しました。XSRシリーズのアイデンティティである“不変性を感じるスタイル”と“最新コンポーネント”の融合による“Neo Retro※”を継承。自分の意思でさまざまなところに自由に行ける、124cm3エンジンならではの軽快さや扱いやすさを織り込みました。
カラーは、ガレージビルドを感じさせオーセンティックなスタイルを楽しむ“シルバー”、走行スタイルの自由さを表現した遊び心のある“ライトブルー”、車体の造形の凄みを強調し、多彩なファッションに似合うシンプルな“ブラック”、スポーツマインドを刺激し、ヤマハスポーツヘリテージを想起させる“オレンジ”の4色です。
※「スーパースポーツ」「ネイキッド」といった従来のカテゴリーを超え、レトロな外観やその背景の物語性を秘めながらも、先進技術に基づくエキサイティングな走りを楽しめるモデルのカテゴリー
- 名称
- XSR125 ABS
- カラー
- ・ホワイトメタリックB(シルバー)
- ・ダルブルーソリッドB(ライトブルー)
- ・ブラックメタリック12(ブラック)
- ・ビビッドイエローイッシュレッドメタリック3(オレンジ)
- 発売日
- 2023年12月8日
- メーカー希望小売価格
- 506,000円(本体価格460,000円/消費税46,000円)
- ※メーカー希望小売価格(リサイクル費用含む)には、保険料、税金(除く消費税)、登録などに伴う諸費用は含まれていません。
- 販売計画
- 3000台(年間、国内)
- ■製造事業者:PT.Yamaha Indonesia Motor Manufacturing. ■製造国:インドネシア ■輸入事業者:ヤマハ発動機株式会社
- 【企画の背景】
- ※当社調べ
- 【XSR125の主な特徴】
- 1)XSRらしさの継承
- 「最新パフォーマンスと不変的価値のコントラスト」「タイムレス・レーシング・スピリット」「上質さを際立たせる素材表現」「個性を反映できるカスタムの楽しさ」といったXSRらしさを受け継ぎました。
以下のパーツにその特徴がよく反映されています。
◎ “先進×レトロ”を調和する「丸形LCDメーター」。タコメーター・スピードメーター・ギアポジション・燃料計といった必要な情報は大きく表示されます。
◎ “面”構成にこだわり、高性能なレーシングマシンにも通じるニーグリップしやすい「燃料タンク」
◎ オーセンティックな雰囲気を演出するとともにライディングポジションの自由度が高い「タックロールシート」
◎ シンプルで無駄のない灯火器類
◎ 素材を活かした処理と軽量加工を施した質感ある「ヘッドランプステー」と「モールサイドカバー」
◎ ボディと連動したデザインの「マフラープロテクター」
◎ 特徴的トレッドパターンの「前後タイヤ」 - 2)軽快な走行を支えるVVA(可変バルブ)搭載124cm3エンジン
- ライダーの気分によってさまざまなシーンが楽しめる加速性能、加速感を実現するため124cm3の水冷SOHC・4バルブ・FIの新エンジンを搭載しました。低速向けと中高速向けのカム(吸気側)が7,000~7,400r/minで切り替わるVVAにより、全域で優れたトルク特性を発揮、良好な加速性能と加速感を得られます。
またアシスト&スリッパークラッチ※を採用。加減速時にストレスのないシフト操作を実現し、快適な走行性をサポートします。
なおラジエターは、水温に応じて冷却水の循環経路をきり変える“バイパス式サーモスタット”方式とし、暖機時間が短く燃費性に貢献します。
※「A&S」「アシスト&スリッパー」は株式会社エフ・シー・シーの登録商標 - 3) さまざまな走行シーンに呼応する剛性バランスに優れた軽量スリムな車体
- 軽さと強度剛性のバランスを図ったデルタボックス型フレームを採用しました。左右ピボットの軸間を 209mmとワイドにし、強化部材を織り込むことで、優れた走行性を支えています。
またフロントサスペンションには、インナーチューブ径37mm、ストローク130mmのショック吸収性能と良好なフロント接地感、そして剛性に優れた倒立式を採用。加えて、裏面のリブ形状をチューニングしアーム長とのバランスを図った軽量アルミ製リアアーム、ワイドなリアタイヤ(140/70-17)などとの組み合わせで、軽快で扱いやすいハンドリングを実現しています。 - 4) 自由な走行スタイルを可能にするコンパクトなライディングポジション
- 137kgの車重、810mmのシート高、アップハンドル、ニーグリップ部分が絞られた燃料タンク、ホールド性に優れるシート、スリムな車体などによりコンパクトなライディングポジションを実現。取り回し、乗降性のよさに繋がり、さまざまなシーンを楽しめる自由な走行スタイルを可能にしています。
2010年代半ば、従来の「スーパースポーツ」「ネイキッド」「レトロ」というクラス分けを超え、「レトロ」と「スポーツ」が調和する“NeoRetro”への関心が欧州市場を中心に高まりました。“NeoRetro”とは、オーセンティックでレトロな外観や、その背景の物語性をもちながらも、最新技術に裏付けられたエキサイティングな走りを提供するカテゴリーです。
このカテゴリーへ向けた先駆モデルが、2016年と2017年に国内市場に導入した「XSR900」であり「XSR700」です。モデル名の「XS」は、当社初の4ストローク車「XS-1」(1970年)に始まるロードモデルの歴史を示し、「R」は創立以来継続しているレース活動を表現しています。つまり「XSR」はヤマハスポーツモデルの歴史と、先進技術の融合を意味しています。
ここ近年は各社から変速ギア付きスポーツ車の投入があり、新しいライフスタイルの広がりも手伝って、国内の原付二種の変速ギア付モデルの出荷台数は2019年以降増加傾向にあります※。なかでも20代を中心とするお客さまが増えています。
そこで“NeoRetro”のスピリットを継承しながら、バイクライフを始めやすいモデルとして具現化したのが、今回発売の「XSR125」です。本モデルの導入を通じ、“XSRシリーズ”のラインアップを充実するとともに、先にリリースした「YZF-R15/R125」「MT-125」と合わせ、お客さまにとっての選択肢を広げます。
主要諸元
車名型式 | 8BJ-RE46J | |
---|---|---|
XSR125 ABS | ||
発売日 | 2023年12月8日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.030×0.810×1.075 | |
軸距(m) | 1.325 | |
最低地上高(m) | 0.170 | |
シート高(m) | 0.810 | |
車両重量(kg) | 137 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 60.3(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | |
49.4(WMTCモード値 クラス3、サブクラス2-2 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | – | |
エンジン型式 | – | |
水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 124 | |
内径×行程(mm) | 52.0×58.7 | |
圧縮比 | 11.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 11kW[15PS]/10,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 12[1.2]/8,000 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | T.C.I.(トランジスタ式) | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ | |
潤滑油容量(L) | 1.05 | |
燃料タンク容量(L) | 10 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.833 |
2速 | 1.875 | |
3速 | 1.363 | |
4速 | 1.142 | |
5速 | 0.956 | |
6速 | 0.840 | |
変速比 | 3.041/3.714 | |
キャスター(度) | 25°30′ | |
トレール(mm) | 88 | |
タイヤサイズ | 前 | 100/70-17M/C 54S |
後 | 140/70-17M/C 66S | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム(リンク式) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※1 燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※2 定地燃費値は、車速一定で走行した実測の燃料消費率です。
※3 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。