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MBHCC D-2 幻立喰・ソ 第109回「幻立喰・ソ博物館」

第109回「幻立喰・ソ博物館」

 よく使う駅でも、いつも通る道から一本はずれていたり、反対側の出口だったりすると意外と行かないものです。そんなところにある立喰・ソ、たまには行ってみるかと前まで来ればいつのまにやら幻立喰・ソになっていた。情報化時代ですから、SNSでもやっていれば知ることも出来たでしょう。それが今や常識なのですが、未だにフェイスブックもツイッターも未体験。それどころか「メールじゃめんどくさいから」とほぼ強制参加でなんとか使っているLINEも、イマイチよくわかっていない状態です。「ラインモバイル〜♪」の本田翼ちゃんがかわいいことは、よくわかるのですが……。

 2018年JR東日本で(ということはほぼ日本で)乗降客数が5位の品川駅と7位の新橋駅という、いつでも人が湧いてくる駅前にありながら、いつのまにか幻立喰・ソになってしまった新橋の超有名店ポンヌッフと、品川の躍進著しい港南口の梅もとが幻立喰・ソになっていました。

 かつてはあちこちにあった明治9年!創業の梅もとも、最近は減る一方。これで八重洲店(東京駅の八重洲地下街)、新宿西口店(小田急エース内)、中野店(サンモール商店街)、溝の口店(東急溝の口駅構内)、多摩川店(東急多摩川駅構内)、船橋店(京成船橋駅近く)の6店舗だけになってしまいました。ポンヌッフ跡はかめや銀座口店となって11月に新装開店しましたが、ポンヌッフはもう帰ってきません。ポンヌッフについて、わたしごときが書くのははばかるので、思い出倉庫でしばらくお休みしていただきましょう。

ポンヌッフ
梅もと
新橋駅のガード下の名店ポンヌッフ(左)。トッピング無料のクーポン券もいただいてよくお世話になりました。(2005年2月撮影)品川駅といえばふじ(チェーン店ではない)が私のホームで、(右)梅もとはそれほど行ってませんでした。写真もこんなのしか撮ってないていたらくぶり。現在はラーメン屋になってました。(2011年1月撮影)

 前回の東京オリンピックのあたりから爆発的に増加した立喰・ソが、ごたごたごたごた続きの2020年東京オリンピックを前にばたばたと消えていく。日本の経済成長を反映しているようななんとも切なく悲しく不安な現象です。厚生労働省が2014年に調査した資料によれば、日本全国のそば、うどん店(立喰・ソも含む)は31869カ所で、2001年比で約9.2パーセント減。平成26年の調査ですからちょっと前の資料ですが、実感として景気が回復しているとは思えないので、今はもっと悪化しているのではないかと思われます。さらに恐ろしい数字もあります。立ち食いそば店に限るとなんと全店の75パーセントで客数が減少しており、半数は5パーセント以上売り上げが減少しているとか。客数、売り上げ共に増加はなんとゼロ。経営者の高齢化、後継者の不足、施設の老朽化はクローズアップされていましたが、客足も売り上げも減少しているとなると、個人経営店の行き着く先は……そんな未来が来ないことを切に願い、精一杯食べることを誓う今日この頃です。

 暗い話はこれくらいにして現実逃避です。宝くじも馬券も当たらないのに、なぜか「鉄道博物館の貸切イベント」にまた当選しました。平日でしたが当日「ぽんぽん痛いのでお休みでちゅ」と会社に電話をして、ちょっとだけ痛む良心をがまんして行ってきました。さすが貸し切り、土日の混雑がうそみたいにスッカスカ。今年7月リニューアルオープンしてから初訪問でした。大きなお友達に悪評高い水玉模様になってしまった103系ATCにお口あんぐりしつつも、非公開だったナハネフ22内部に入れるようになったし、新館の歴史ステーションもよかったです。

それより一瞬で良心の痛みがすっ飛んでいったのは、なんと駅ソが出来たこと。といっても、本物の立喰・ソではなく、立喰・ソを模したモニターによる、駅ソの豆知識を学ぶモジュールですが。
 鉄道文化ギャラリーという小部屋に新設された『鉄道にちなんだ文化、映画、音楽、絵画作品から、駅弁、駅そばといった「食」に至るまで、5つの切り口で鉄道が創り出した豊かな文化を丸ごと楽しんでいただけます。』(公式リリースより)というコーナーで、そのひとつ「食の表現エリア」に件のモジュールが設置されたのです。残念ながらが写真撮影禁止(本とか映画とか版権がめんどくさそうな展示物があるからだと思います。駅そばモジュールがちょっとしょぼいからではないはずです)なので写真はありませんが(ちなみに鉄道博物館内で撮影した写真は、個人使用以外は使っちゃいけないそうですから、どっちにしても掲載すると怒られるみたいです。だから今回は写真なしです)。

 たぶんとNREが協力しているはずですが、オレンジ色の憎たらしいやつでおなじみ「あじ○い茶屋」や、絶賛拡大中の「い○り庵きらく」といった近代的スタイルではなく、吹きさらしのカウンタースタンドに青いそばうどんののれん、木製(をイメージした)のお品書き(かけ、月見、きつね、わかめ、たぬき、コロッケ、天ぷら、かしわ、いなり)がぶらさがる昭和的駅ソイメージ。カウンターには食品サンプル(かけそば×2、かけうどん×2)が置いてあります。豆知識をよく読んでから見れば「ああ、なるほどそういうことなのね」と納得できるでしょう(できるかどうかは、個人差があります)。
 タッチパネルに触れると『駅そばはなぜ立ち食いが当たり前なのか』『列車内ですする「駅そばのテイクアウト」』『女性ウケするメニューも続々登場』『カウンターの高さや下のスペースにも工夫あり』『駅構内で“旅情を味わう”ものだった』『ところ変われば“薬味のネギ”も変わる』『「そば」と「うどん」先にくるのはどっち?』『消えた寸胴鍋、調理器も進化を続ける』『席数とどんぶりの数はちょうどいい黄金率』『「駅そば」はいつから?始まりには諸説あり』『駅そばの支払いは食券機が主流』『北海道の駅そば風景 身も心も温まる旅の味』『シンプルな「かけ」にこそ東西の違いが表れる』『待ち時間1分は「お待たせして申し訳ない」の世界』『注文受けたら待たせない“早ワザ”を競う』『信州の駅そばは「かけそば」専門だった』『時短第一!めんはゆでやすい太さが選ばれる』『小道具にも技あり、専用のトングも!』『「きつね」と「けつね」、「たぬき」と「たのき」』『街のそば屋と駅そば「かけそば1杯」の価格比較』『そば・うどんの奥にバラエティ豊かな「具」の世界』など(鉄道文化ギャラリー内は撮影禁止だったので必死こいてメモしました。が、間違っている可能性大)の豆知識が読めます。おもしろそうでしょ(中には「ん?」というのもありましたが、「これ、ちょっとおかし〜いぃぃですよね!」などと高い声を出し叫んではいけません。何事も諸説ありってことです)。
 
 鉄道文化ギャラリーは、駅弁パッケージや鉄道に関連した絵画、映画、本、音楽が展示されています。こっちがメインで見た目だけで充分楽しめます。それに対して駅ソモジュールは、見た目も地味で、そもそも興味の対象外ということか、小一時間モニターを凝視しメモしていましたが、みなさんちらっと見るだけ。邪魔にならないように、ちょっと離れていましたが、モニターを見つめぶつぶついいながらメモっている関わってはいけない危険人物に見えたのでしょうか。だから近寄ってこなかったのかもしれません。吠えたり噛んだりしないのに。駅ソモジュールの写真撮影を解禁してくれれば、こんなご迷惑になることもなく、さらに鬼気として、じゃなくて嬉々として記念撮影する善男善女や、利発そうなおぼっちゃま、おじょうちゃますら目に浮かびます。

 立喰・ソの、いや日本の未来を託したキッズ達に、駅ソに興味を持ってもらえる発端になるように、駅ソ店員のキッズ用衣装や、テボ、どんぶりなどの小物も用意していただければ僥倖と存じます。さらに引退したベテラン指導員による模擬実演も期待したいところです。そんな面倒なことをしなくても、本物の駅ソをどーんと作って、ついでに各地に眠っているであろう立喰・ソグッズも一同に収集展示して幻立喰・ソ博物館にしてしまえば……せめて訪れるキッズ達のうち100000人に1人でいいから立喰・ソに興味を持ってもらえることをEF55にお願いしておきました。


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2019/11/07掲載