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エンタメ

MBHCC D-2 幻立喰・ソ 第108回「なので室蘭」

 第102回を覚えていますか? さらにその回のシメの一文なんて、誰も(含む私)覚えて…いるわけないので、再録します。

「室蘭のそば清はこの目で確認するまで私の中では営業しているのです」

 どうです、泣かせるじゃないですか。あまりにもとってつけた感丸出しの稚拙すぎて。
 みなさん私を口先三寸のお調子者と思っていないでしょうか。しかし、やるときはやるのです。と、このセリフをよく聞きますが、「やるときはやる」の裏を返せば、「やらないときはやらない」のですから、偉そうに宣言するほどのことではないのです。
「ほんとあんたは、救いようのない幻立喰・ソ馬鹿だね」と、ブレンディ片手に優しい目をした原田知世ちゃんに送り出してもらいたいのですが、宝くじで10億当てるより困難です。ブレンディ(無糖)を一口飲んで北海道へ向かいました。

 せっかく北海道まで行くのなら、イクノディクタスはどうしているのかなと検索したら……今年2月にお亡くなりになりました。1987年生まれですから32歳! 馬の寿命は20歳くらいですから長寿です。さすが鉄の女と呼ばれた名牝です。合掌。せめて1年前に思い出していたらと、初っぱなから後悔スタートです。イクノは逝ってしまいましたが、行くのなら行っていない未訪問店も行ってやろうとイクイクイケイケに予定を詰め込みました。

 飛行機なら前後のアクセスを含めて4時間もあれば充分ですが、大人の18きっぷことおなじみ大休パスですから、東京を朝8時の新幹線で出発して2回乗り換え釧路到着は22時ちょい前。14時間乗りっぱなしといいますか呑みっぱなしは堪えます、いや、こたえられません。 

イクノ
イクノディクタス? 競馬好き以外の方にはさっぱりです。生涯成績51戦9勝、重賞勝ちはG3が2勝。戦績だけ見れば一級馬というわけではないのですが、現役時代は故障知らずで走り続け、鉄の女の愛称で呼ばれました。M体質の私はこういう牝馬にころっとやられるのです。現役引退年のG1安田記念と宝塚記念で2着に入り、大穴を開けて歴代賞金女王になったり、最優秀5歳以上牝馬を受賞したり、宝塚記念で1着のメジロマックイーンはイクノディクタスに恋をしていたんじゃないかとか話題にもなりました。引退後も「イクノ姉さん」と多くの人に愛され、北海道で余生を送っていました。写真は引退レースとなった1993年富士ステークス(8着)のもちろんハズレ馬券です。

 
 翌朝お目当ての釧路駅立喰・ソに行けば、営業時間変更のおしらせが……8時20分発の特急に乗らないと予定が延びきったソのようにぐちゃぐちゃになるので開店まで待てません。14時間かけてやってきて、前泊してこのていたらく。まあ、私にしたらいつものことですが。きっと原田知世ちゃんは「馬鹿立喰・ソ!」と厳しくののしってくることを妄想しつつ、次の目的地に向かいました。

釧路
釧路
釧路駅の端っこに2017年の年末頃?突然誕生した立喰・ソ。とはいえ、純粋な立喰・ソではなく釧路駅の駅弁屋さんの兼業です。開店当時は7時半から17時まで営業していたのですが、9時から15時に短縮されていました。(2019年9月撮影)

 釧路から特急を乗り継いで4時間半、やっぱり北海道は広いなあと実感しつつ、昼過ぎに東室蘭駅前の未訪問ソを無事にクリア。次はお隣の鷲別ですが、次の列車まで1時間待ち。待つよりは歩いた方が早いんじゃない? 健康にもいいし北海道だし、なんて余計なことしてしまうのです。しかも9月の北海道とは思えない炎天下。てくてく歩いていると当然のように列車が追い越していきました。地下鉄の一駅と違います。北海道の一駅をなめてはいけません。知世ちゃんがひえひえのブレンディを差し出す幻想を見つつ鷲別の未訪問にたどり着いたときはへろへろ。初訪問店なのになんの思慮もなくカレーそばを注文してしまいました。

ふじ吉
東室蘭駅は西口側に繁華街があるので東口は出たことがありませんでした。だから駅の目の前にありながらまったく気がつきませんでした。ふじ吉は、ポテトフライとかザンギとかがあって、いかにも部活帰りの学生がたむろしそうないい感じの地元密着店です。(2019年9月撮影)
さくら
かつて機関区のあった鷲別駅からちょっと歩いた市場の場外にあるさくら。室蘭がカレーラーメンを売り出し中というポスターを見て、無意識のうちにカレーそばを注文してしまいました。おいしかったのですが、やはり普通のそばも食べにいかないと。(2019年9月撮影)

 鷲別ではおとなしく1時間ほど列車を待って室蘭へ。そば清はやはり幻立喰・ソになっていました。壁にお湯をかけてしみこんだダシを吸おうかと思いましたが、幸いお湯を持参していなかったので、他人様の建造物を無断でちゅーちゅー吸う罪に問われることはありませんでした。
 ちょっと歩いて松そばへ。結構なお客さんで賑わっていてなによりです。はきはきと気持ちいい女将さんにソを注文して、壁を見れば松そばとそば清を取材した2018年3月の北海道新聞記事が貼ってありました。記事によればそば清の開店は1967年。半世紀続いた名店がこの記事のわずか2ヶ月後に幻立喰・ソになろうとは……恐そうだった大将の破顔のステキな写真も掲載されています。松そばに行って、うまいソをすすりながら一読していただければと思います。
 その晩は室蘭のやきとり屋さんで痛飲し、今は亡きそば清に思いを馳せました。

そば清
やっぱりそば清は幻立喰・ソになっていました。閉店のお知らせの貼り紙は色あせることなく残っていました。(2019年9月撮影)
松そば
松そばの紅しょうが天は関東風でも関西風でもない松そばオリジナルスタイル。室蘭やきとり、カレーラーメンに続くご当地名物!?(2019年9月撮影)
室蘭
室蘭
鳥が食べられないチキンではないチキン野郎な私でも、胸を張ってひとりで入れるのが室蘭やきとり。鳥嫌いのみなさま、念願のひとりやきとり屋さんデビューできますが、豚肉もダメな方はあきらめてください。ちなみに、室蘭やきとりと言えど、もちろん本物の鳥しかない焼き鳥屋さんもあるようなので油断召されぬように。(2019年9月撮影)

 
 と、話はここで終わりません。人生初焼き鳥(正確には焼きとり屋さん)を堪能してから1週間後、南の地で油断大敵の大失態をやらかしました(次号に続くかも、いや、続かないか)。


●幻立喰NEWS2019
しあわせを喰えずにしわよせを喰う

10月1日から消費税が10パーセントになりました。立喰・ソも必然的に対応を迫られるわけです。大チェーンならば一括対応でしょうが、個人経営立喰・ソは儲からないのに余計な負担ばかり。キャッシュレスならポイント還元とかもほぼ関係なさそうです。「もう、めんどくさいからやーめた」とならないか心配です。9月30日はまるでイベントのごとくカウントダウンなんてやっている浮かれポンチニュースを見るにつけ、心底心配になりました。とたまにはまともなことも書いておきます。我らが一由のお知らせです。本体やおにぎり、いなりは据え置き。さらに、たぬきは値下げなんて泣けてきます。元々が安いんですから、堂々と適正価格にしてください。安部さん、弱者はこんなに努力してるんですよと書いても、もちろん読んでいるわけないですが。

一由

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2019/10/10掲載