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試乗・解説

130ps、270kgじゃちょっと……って人に 僕たちのジーエス、ここにあります! BMW G310GS
日本のバイク免許「普通二輪」でも乗れるBMWこと
2017年デビューの「G」シリーズ。
小さいな、扱いやすいな、安いな、だけじゃない
新しいBMWの顔がここにあります。
■試乗・文:中村浩史 ■撮影:島村栄二 ■協力:BMW Motorrad Japan https://www.bmw-motorrad.jp/ja/home.html ■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html、クシタニ https://www.kushitani.co.jp/ 




310ccとはいえGSはGSである

 BMWといえばドイツ車、BMWといえばフラットツイン、BMWといえばビッグバイクに、アドベンチャーの王様──そんなイメージ。総じて、まぁ高級車、ってイメージは強いと思う。
 もちろん、BMWもそこはもっとカジュアルに振りたい。うちのバイクは高級車、高価格車ばっかりじゃないよ、という狙いもあってFシリーズを発表したのが1994年。Fシリーズはそれからずっとラインアップされていて、今でもロードスポーツF900R/XR(115万6000~124万1000円)、アドベンチャーのF750GS(143万3000円)、F850GS/GSアドベンチャー(163万8000~209万5000円)が発売中だ。
 そして2017年に発表された新しいラインがGシリーズ。310ccのロードスポーツG310Rと、アドベンチャーといえるG310GS――あのBMWが、ついに日本の普通二輪免許ライダーも乗れる310ccモデルも作っちゃった!って話題になったモデルだ。
 

 
 Gシリーズの先頭バッターはロードスポーツG310R。外国車の普通免許モデルという珍しいクラスに、KTMのDUKEシリーズとともに存在感を示したモデルだった。水冷単気筒の312ccエンジンを搭載、トレリスフレームに倒立フォーク、ABS付きブレーキにはバイブレ(ブレンボのセカンドラインですね)製4ピストンキャリパーをラジアルマウントするなど、スモールバイクといえども上級モデルなみの装備を持つバイクだった。
 そのバリエーションモデルがG310GS。GSとはもちろん、ゲレンデ・シュトラッセ=オフロードの意味で、スモールバイクであるGクラスのGS、という位置づけで、今の日本でいう「ミドル・アドベンチャー」だ。
 ライバルはホンダ400X、KTMの390アドベンチャーといったところで、250ccにまで目を移すとスズキVストローム250やカワサキVERSYS250X-TOURERがある。普通二輪免許で乗れる、貴重なアドベンチャーだ。
 その310GS、兄弟モデルの310Rに比べ、車格はやや大きめ。これはオフロードも守備範囲とすべく、フロント19インチホイールを採用したからで、310Rが250ccクラス、310GSが400ccクラスのサイズと考えれば想像しやすい。車重やホイールベース、排気量も考えると、KTM390アドベンチャーにかなり近いポジションだ。
 

 
 乗り始めると、すぐに気づくのは乗り心地のソフトさ。それでいて動きがもっさりしていないのは、G310シリーズ独特のエンジンマウントによるものだ。というのもG310は、通常のエンジンと逆、つまりマフラーがシリンダー背面から出ているレイアウトで、つまり前方吸気+後方排気。かつて80年代終盤にあった、2ストロークモデルTZR250が前方吸気+後方排気でしたね。
 後方排気とすることで、エキパイがフロントホイール側に出なくなり、それだけエンジンを前に搭載できる。これがフロント荷重につながって旋回性能を生み、前方にエンジンを搭載することでスイングアームを長く取ることができ、乗り心地が柔らかく、トラクション性能に優れたハンドリングとすることができる。これが、G310の代表的なキャラクターなのだ。
 

 
 エンジンの回り方は、水冷DOHCシングルだけあって、ドコドコ感など皆無で、軽快に回り込む印象。同じ水冷DOHCシングルの390DUKEはもっと軽くシャープに回る感じで、310GSの方がトルクフルに感じる。
 アイドリングすぐ上からトルクがある特性で、発進から加速がしやすい印象。このフィーリングは、現行モデルでスロットルbyワイヤとされているからか、先代のG310よりもスロットルレスポンスが鋭い。
 トルクがさらに盛り上がってくるのは4000rpmあたりで、6500rpmあたりからもう一段盛り上がってくる。このあたりの回転域ではレスポンスがさらにダイレクトで、アクセルを開けた瞬間のツキがいい。310ccというより400ccくらいのトルクを味わうことができる。
 

 
 街中を軽快に走れるのはもちろん、ハンドリングも安定感をたっぷりとった、フロントタイヤの接地感がしっかりある動き。ヒラヒラ走れるというより、どっしり、いやどっしりというよりもしっかり――このあたりも250cc以上400cc未満という印象だ。
 高速道路に乗り込んでみると、G310のよさ、さらにGSのよさがよくわかる。G310Rよりも10kgほど重い車重、フロント19インチホイールがきれいにメリットとなってあらわれていて、直進安定性がしっかりしたクルージングが味わえるのだ。ストリートランのスピード域とはまるっきりテイストが違い、さらにどっしり走るようになる。これは400ccよりもっと大きい、たとえば650ccクラスの安定性だと言っていい。
 トップ6速でのクルージングは80km/hで4800rpm、100km/hで6000rpm、120km/hが7200rpmといったところで、この7000rpmオーバーの120km/hクルージングがすごく快適だった。やはり、ナリは小さくとも、GSはGSなのだ。
 

 
 さらにGSならではのキャラクターとしては、リラックスしたポジションによるアイポイントの高さと、軽く整風するウィンドプロテクションが快適で、特に雨降りや冷えた路面の時のツーリングなどでも威力を発揮すると思う。フロント19インチのロードホールディング、アイポイントの高いライディングポジションで、少々のコンディションの悪いルート、どんなに走行条件が悪くても、平気で走り続けられるところだろう。オンロードを軸にオフロードに踏み入って行けたり、オフロードをベースにツーリングルートを決めていくことができる。
 これがアドベンチャー、これがGSだ。大型免許がなくとも、扱いやすい、手に負えない大きさではないアドベンチャーがここにある。
(試乗・文:中村浩史)

 

ライダーの身長は178cm(写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます)。

 

 

エンジンは国産モデルでほぼ例を見ない前方吸気+後方排気。シリンダーは一般的な「前傾」ではなく「後傾」していて、マスを車体中央に集中させている。最高出力は320ccのヤマハMT-03が並列2気筒42psなのに対し、34ps。車重はほぼ同じだが、軽快に回るヤマハと、単気筒ながら回転に重厚感があるBMWという感じ。

 

Φ41mmの倒立フォークに組み合わされるのは、Φ300mmのシングルディスクにバイブレ製4ピストンキャリパーをラジアルマウント。タイヤはメッツラー製ツアランス19インチラジアルで、サスストロークは18cm。
写真のリアサス奥に見えるのがエキパイ。後方排気のため、シリンダー後方からエキパイが始まり、短い距離でサイレンサーにつながっている。リアブレーキはΦ240mmローター+シングルピストンキャリパー。

 

スイングアームはアルミダイキャスト製のセミトレリスタイプ。ホイールはアルミキャスト製17インチで、車体姿勢は前上がり後ろ下がりな印象。ホイールベース中のスイングアーム割合がかなり長い構成になっている。
プリロード調整式のリアサスストロークもフロントと同じく18cm。写真はリアブレーキ側からのショットだが、リアサススプリングの前にエキパイが見えるだろう。ここに持ってくることで、車体中央にマスが集まっている。

 

アドベンチャーイメージも強い、複雑な面構成、パーツの組み合わせのフロントマスク。小ぶりなスクリーンだが効果は高く、上体の起きたポジションでも防風効果を感じられる。ライト&ウィンカーはLEDを採用。
複雑な面構成のパネルを組み合わせたタンクは、インナータンクと樹脂カバーの組み合わせで、タンク容量は11.5L。今回の取材では、一般道6割、高速道路4割ほどの割合で、実測燃費は約26km/L。

 

前後に長い、前後の段差があるシートは座り心地もよかった。キー式の開閉で外れるシート下にはETC車載器が標準装備される。ヘルメットホルダーはなし、頑丈なアルミキャスト製のキャリアが標準装備される。

 

ギアポジション表示つきのモノクロ液晶を使用したデジタルメーター。タコメーターはバーグラフ式で、オド&ツイントリップ、油温、残ガス走行可能距離、平均&瞬間燃費、平均速度などを表示する。

 

●BMW G310GS 主要諸元
■エンジン種類:水冷4 ストロークDOHC 単気筒4バルブ ■総排気量:312cm3 ■ボア×ストローク:80.0×62.1mm ■圧縮比:10.9 ■最高出力:25kW(34PS)/9,250rpm ■最大トルク:28N・m/7,250rpm ■ 全長×全幅×全高:2,190×880×1,250mm ■軸距離:1,420mm ■シート高:835mm ■車両重量:175kg ■燃料タンク容量:11.5L ■変速機形式:常時噛合式6 段リターン ■タイヤ( 前・後):110/80 R19・150/70 R17 ■ブレーキ(前・後):油圧ディスク(ABS)・油圧ディスク(ABS) ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:コスミック・ブラック3、カイヤナイト・ブルー・メタリック、ポーラホワイト、ポーラホワイト×レーシング・ブルー・メタリック、コスミック・ブラック2、カラタマ・ダーク・ゴールド・メタリック ■メーカー希望小売価格(消費税込み):774,000 円~

 



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2022/11/14掲載