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エンタメ

第127回 「噛んでも怒られない金メダル(←ただの便乗タイトル)」

 賛否両論ありましたが、8月の話題はやはりオリンピック。会話のつかみは、ついつい口の出る「暑いですね」に続き、「オリンピック見ていますか?」が多かったように思います。テレビ自体あまり見ないので「ニュースで見るくらいです」と答えると、私がオリンピック反対派だと認識したようでへんな空気になります。申し訳ないと思いつつ、「すみませんスポーツに興味がないんです」という話をすると安心したように「そんなこと言わず一度見て下さい、絶対感動します。元気をもらえますから」と力説する方もいらっしゃいます。ただ、「あのシーン泣けたよね」と言われても、ルールもよくわかっていないから、泣けるポイントがわからないんです。ほんとすいません。「斜に構えてスカしてんじゃねーよ!」といわれるかもしれませんが、無知なのですから格好いいどころか、格好悪い話です。
 ならば、ソバリンピックがあったらどうだ! といわれれば、それは興味津々です。スケボーに乗ってソをすすったり、バトンの代わりにソの入ったどんぶりでリレーしたり。「それは何が面白いのか?」と激怒される様子がありありと目に浮かびます。私も面白いのかどうか確信はありません。要するにソの要素が加わるだけで急激に興味が増すということだけです。ソバリンピックはともかく、数ある競技の中にひとつでもソの要素を加えていただければ、きっとわくわくしたことでしょう。早食いや大食いは当たり前すぎるので、熱々のどんぶりを重量挙げのように何秒持ち上げていられるか……現実的じゃありませんが、ソの要素を加えた競技がオリンピック競技になること自体現実的じゃないですから。と、ここで驚愕の事実をお知らせします。なんとすでにソバリンピックは開催されていたようです。バーチャルですが、興味のある方は検索してみてください。

 オリンピック期間中、街に出ていた選手や関係者もいたようですが、立喰・ソを食べた選手はいたのでしょうか。1万人以上の選手が来日したのですから、1人くらい立喰・ソに興味津々の選手がいたかもしれません。立喰・ソ好きに悪い人はいない(と思いたい)ので、昨年から一由に行くことをものすごく楽しみにしていたのに、ぐっとぐっとぐーっとがまんして、エア太蕎麦、エアゲソをはみながら、おつゆの代わりに涙を吞んで。そんな立喰・ソ選手には、ジャンボゲソで出来た金メダルを差し上げたいと思います。コロナ禍が終息して来日することがあれば、昨年惜しまれながら幻立喰・ソになってしまった名店跡にご案内します。もちろん日本語解説のみです。

一由
世界の立喰・ソアスリートにとって表彰台のてんぺんともいえる(感想には個人差があります)一由にも、もちろんご案内します。(2020年11月撮影)
ジャンボゲソ
立喰・ソの金メダルといえば(感想には個人差があります)、ジャンボゲソより大きなハイパージャンボゲソ(GWの限定メニュー)。これなら某市長がかじっても大丈夫。他人様のものでなければ。(2021年4月撮影)

 前回東京オリンピックが開催された1964年頃、立喰・ソの開店ラッシュがあったことは、JCに罵倒されて立喰・ソに目覚めた師匠(←多少誇張があります。詳細は最新のコラム で)が研究調査(名著「ちょっとそばでも」やWEBで連載中の文春オンラインを参照)した甲斐もあって定説です。
 今回のオリンピックが開催されるはずだった2020年は、先に記したように、私の知る限りではありますが70店以上の名店が幻立喰・ソになってしまいました。2021年も上永谷そば、金亀、中野屋、みよし、三松(新橋)、そばっ子などが、「ええええええ!」と驚く、寝耳に大水で幻立喰・ソになってしまいました。オリンピックで花が咲き、オリンピックで消えていく。オリンピックと重なったことはただの偶然かもしれませんが、後世の立喰・ソ研究家のみなさんにとって東京オリンピックは、大きなLEGACYになることでしょう(大きなレガシィて何? アウトバックのことか?? ただそれっぽいこと言ってみたかっただけです)。

上永谷そば
珍しい部類にあたる横浜市営地下鉄の駅ソだった上永谷そば。2021年1月31日閉店。(2021年1月撮影)
みよし
みよしは看板を新調したので安心していたのに。やさしいおかあさんおつかれさまでした。2021年4月30日閉店。(2021年4月撮影)

三松
新橋名物、ニュー新橋ビルにあった名店三松。その昔は日本橋出雲という看板があったような。2021年5月19日閉店。(2010年1月撮影)
そばっ子
2018年駅前再開発で駅前に移転したそばっ子。今年再開発完了で戻ると思っていたのに……2021年7月15日閉店。(2019年2月撮影)

 しかし、2021年は泉岳寺の三松は青砥(京成本線)に移転したり、都そばや板倉が幻立喰・ソになってから不毛地帯になっていた矢口渡(東急多摩川線)にはまるび。浅草橋(JR総武線)には清水や。みなと横浜とは反対側の花咲そば(JR根岸線桜木町)。快速が止まらない小さな駅の大口(JR横浜線)は、東口にたかだがあるのにもかかわらず、西口にベイそばが。柴又(京成金町線)の新角も三松になって復活。馬喰町(JR総武線)には復活したびっくりうどんりばいばるなど、苦しい状況下でも誕生した新幻立喰・ソと復活立喰・ソの姿は、立喰・ソの未来につながる一筋の光明、ほんとうにありがたいことです。
 不要不急かどうかは本人が判断する政府の公式見解のようなので、お近くに行くことがあれば頑張っていらっしゃるすべての立喰・ソで、ぜひご賞味ください。 

まるび
都、板倉が幻立喰・ソになって不毛地帯だった矢口渡に出来たまるび。環八沿いで比較的駐車しやすいです。2021年2月16日開店。(2021年3月撮影)
清水や
浅草橋というか秋葉原といいますか、川一やのむらなど名店の近くに爆誕!?の清水や(No.001)。目指せNo.100!。2021年2月22日開店。(2021年7月撮影)

花咲そば
JR桜木町駅の西側にある花咲町の入口あたりに誕生した花咲そば。本来ならば吞んだ帰りのシメで大繁盛!2021年3月29日開店。(2021年7月撮影)
ベイそば
ベイスターズ推しのスポーツ?立喰・ソ。ファンにはたまらないでしょう。片倉町(横浜市営地下鉄)にもあります。2021年6月7日開店。(2021年7月撮影)。

三松
かつて新角のあったところよりも駅よりに移転した柴又の三松。寅さんも喜んでいることでしょう。2021年6月26日開店。(2021年7月撮影)
びっくりうどん
カレーうどんが名物だったびっくりうどんは、浅草橋(駅じゃなくて本物の橋のほう)の近くで復活。2021年7月1日開店。(2021年7月撮影)

 今回は(今回も)、なんのひねりもないただの報告でしたが。誰に強制されることなく、自分が好きで書いているんですから、もっともっと頑張らないといけません。わかっちゃいるんですよ。日々黙々と研鑽に励むようなオリンピックに出場されるアスリートのみなさんと決定的に違うところです(当たり前というか比較する方が間違いですが)。オリンピックやスポーツに興味はなくとも、アスリートがどんだけすごいってことは、痛いほど分かったような気がしますです。


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2021/08/16掲載