●FIMロードレース世界選手権
●MotoGPクラス
Repsol Honda Team – マルク・マルケス、 ポル・エスパルガロ
LCR Honda IDEMITSU – 中上貴晶
LCR Honda CASTROL – アレックス・マルケス
公式発表後には、選手のQ&AセッションがZoom上で行われ、LCR Hondaの中上貴晶とアレックス・マルケスが出席。世界各国から参加した100名の取材陣と質疑応答を交わした。
来シーズンにチームメイトとなるふたりは、それぞれの印象について以下のように述べ、互いを高く評価した。
「タカは鋭いコーナリングスピードが武器の勇敢な選手で、Moto2時代から速さを発揮してきた。今シーズンのレースでも、とても力強い速さを発揮しており、彼のようなライダーとチームメイトになるのはとても心強い」(マルケス)
「アレックスはMoto3とMoto2でチャンピオンを獲った優秀な選手で、今年はMotoGPルーキーにもかかわらず、2回も表彰台を獲得する素晴らしいライディングを披露した。来年は同じガレージをシェアすることになるけれども、小排気量時代から彼もホンダ育ちなので人柄はよく知っている。いいライバルとして、お互いに刺戟し合う関係になると思う」(中上)
2021年のMotoGPを戦う4名のホンダ勢は、全員がファクトリーマシンでニューシーズンに臨む。2021年に向けたマシンの改善ポイントについて、中上は、
「ホンダはライバル勢と比較すると、ハンドリングに優れたマシンとはいえはない。今年自分が使用した2019年型でも、この点は課題のひとつだった。なので、2月のセパンテストでバイクのポテンシャルを確認したうえで、改善点を洗い出していきたい」
と述べ、マルケスも
「パワーをうまく活かして引き出す方法を見いだしてゆきたい」と、期待を述べた。「ルール上、2021年シーズンは(エンジンが同じ仕様になるため)バイクは大きく変わらないと思うけれども、少しずつよくできるところを見極めながら、しっかりと煮詰めていきたい」
と抱負を述べた。
●Moto2クラス
IDEMITSU Honda Team Asia – ソムアキット・チャントラ、小椋藍
●Moto3クラス
Honda Team Asia – アンディ・ファリド・イズディハール、國井勇輝
Moto2クラスは参戦3年目のチャントラと、Moto3クラスから小椋がステップアップ。Moto3はフル参戦2年目の國井に、Moto2からカテゴリーをスイッチするイズディハールというラインナップ。この4選手と両チームを束ねる青山博一監督が、Zoomセッションでアジア諸国の取材陣と精力的な質疑応答を交わした。
このZoomセッションで、青山監督は4名のライダーに対して以下のように期待を述べた。
「Moto2を戦う小椋とチャントラは、ともに才能のある選手。毎戦ポイント圏内を目指す戦いを続け、可能なら表彰台も目指してほしい。國井は2020年に少しがんばりすぎてしまうあまり、本来の能力の60~70パーセント程度しか発揮できないこともあった。2年目の2021年は、存分に自分の力を披露してほしい。アンディはMoto3バイク自体の経験はあるので、その経験を有効に活かし、新しいクラスにうまく順応してほしい」
2020年シーズンは、Moto3クラスで小椋が何度も表彰台に上がり、最終戦まで続く熾烈なチャンピオン争いを繰り広げた。自分自身も250ccクラス世界チャンピオンという経歴を持つ青山監督は、シーズンを通じた小椋のレースマネージメントとして「セッションごとのアドバイスは、ひとつひとつ小さく絞り込んでライダーが混乱しないように心がけた。また、いつも自信を持って走れるように備えた」と振り返った。
その小椋はMoto2へ、入れ替わりにイズディハールがMoto3へとそれぞれクラスを変わることになるが、その際にふたりにとって重要なことは「そのバイクで自分にできること/そのバイクで自分にはできないこと/そのバイクに順応するために何をしなければならないか」という三つのポイントを見極め、しっかりと自己分析を行うことがシーズンを戦っていくうえで重要なキーポイントになる、とも話した。
●FIMスーパーバイク世界選手権(SBK)
Team HRC – アルバロ・バウティスタ、レオン・ハスラム
SBKでホンダは2020年からファクトリー活動を再開、新型CBR1000RR-R FIREBLADE SPでシーズンに臨んだ。初年度はバウティスタ、ハスラムともソリッドな戦いを見せ、ファクトリー2年目となる2021年シーズンに向けてさらなる期待を寄せた。
両選手もZoomセッションの質疑応答に参加。
「新型コロナウィルスでレース数が減って短いシーズンになったことは、新型マシンで争う自分たちにとって、マシンを煮詰めていくうえでも不利な戦いを強いられた感は否めない。そんな環境でも高い結果をコンスタントに収めることができたのだから、充実したシーズンだったと思う」(バウティスタ)
「ホンダSBKチームに参加した最初のシーズンは、短いレースカレンダーでリザルトも多少のアップダウンはあったが、新しいチームと新しいバイクをHRCがしっかりと支えてくれてレベルの高い戦いをできた」(ハスラム)
と、バウティスタとハスラムはともに、新型マシンによるファクトリー体制1年目のシーズンをポジティブに振り返った。また、2021年に鈴鹿8時間耐久ロードレース参加への可能性を問われた際には
「耐久レースは経験がないけれども、もし来年、8耐が予定どおりに行われてHRCから参戦を打診されれば、是非とも走ってみたい」(バウティスタ)
「8耐は大好きなレースで、雰囲気も最高。ニューファイアブレードでぜひ鈴鹿を走ってみたい」
と両選手とも前向きなコメントを述べた。
●FIM世界耐久選手権(EWC)
F.C.C. TSR Honda France – ジョシュ・フック、マイク・ディ・メリオ、高橋裕紀
2019/2020シーズンのF.C.C. TSR Honda Franceは、ル・マン24時間で優勝するなどの活躍を見せ、ランキング3位でシーズンを終えた。来たるべきニューシーズンについて、日本で最も注目を集めているのは、高橋裕紀の加入だろう。Zoomセッションの質疑応答で、高橋はチーム加入の経緯について、以下のように説明した。
「子供のころから、世界チャンピオンが夢でした。MotoGPではその夢を果たせず、日本に戻ってきて全日本ロードレースを戦っていると、あるとき、藤井さんから『耐久選手権でチャンピオンを目指そう』と声をかけていただき、新たな夢を目指すことにしました。チームメイトのジョシュやマイクから多くのことを学びながら、世界の頂点を目指します」
その高橋は、8耐の経験こそ豊富なライダーだが、耐久選手権で争われる12時間や24時間という長丁場の経験はない。
「そのような長時間のレースは、まだイメージが湧かないのが正直なところですが、すでにトレーナーとともに、長時間耐久に備えたトレーニングを着々と開始しています」
と話し、すでに来たるべき戦いに備えて準備を進めていることを明かした。
●FIMモトクロス世界選手権(MXGP)
Team HRC – ティム・ガイザー、ミッチェル・エバンス
モトクロス世界選手権の最高峰クラス(450cc)MXGPでは、4度目の王座(MX2=2015、MXGP=2016、2019、2020)を獲得しているスロベニア出身のライダー、ティム・ガイザーが3連覇に挑む。チームメイトは引き続きオーストラリア出身のミッチェル・エバンス(2020年ランキング14位)。両ライダーはワークスマシンのCRF450RWを駆る。
●AMAスーパークロス世界選手権(450SX)
Team Honda HRC – ケン・ロクスン、チェイス・セクストン
2020年、新型コロナウイルス感染拡大を受け中断となったAMAスーパークロスの最高峰クラスにはアメリカン・ホンダ・モーターのワークスチームであるTeam Honda HRCが参戦。今シーズン、ランキング3位のドイツ出身ライダー、ケン・ロクスンを引き続き起用する。チームメイトには今シーズン250SXイーストのチャンピオンを獲得したチェイス・セクストン。マシンはCRF450R。
●FIMトライアル世界選手権(TrialGP)
Repsol Honda Team – トニー・ボウ、藤波貴久
Trial GPは、トニー・ボウが前人未踏の15連覇を賭けて新たなシーズンに挑む。チームメイトは1996年以来世界選手権へ毎年参戦を続ける超人的な経歴を持つ藤波。両ライダーが駆るのはワークスマシン、Montesa COTA 4RT。
●ダカールラリー2021
Monster Energy Honda Team – リッキー・ブラベック、ホセ・イグナシオ・コルネホ、ケビン・ベナバイズ、ホアン・バレダ
2013年にカムバックを果たし、参戦8年目となった2020年、初の舞台となるサウジアラビアで12ステージ中6ステージでトップを獲り、ホンダにとって31年ぶりの栄冠となったダカールラリーは、優勝したリッキー・ブラベックを筆頭に、毎年不運に見舞われながらも圧倒的速さをもつホアン・バレダ、そして南米の星、ホセ・イグナシオ・コルネホとケビン・ベナバイズという4台体制で連覇を狙う。マシンはCRF450 RALLY。