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ヤマハの2025年発表会の直後に中須賀克行を囲んでのインタビューが行われた。43歳になる中須賀は全日本ロードレース選手権で13回目のタイトルを目指し、そして鈴鹿8時間耐久のエースライダーとしての意気込みを語った。
■文・写真:佐藤洋美 ■写真提供:ヤマハ

— 今季のマシンYAMAHA YZF-R1にウィングレットが装着されたということですが?


「戦闘力アップのために、去年の始まりからテストをして、羽根の大中小、装着位置も変えながらデータを取って最終的にこの形と位置になりました」

— ここに至るまでの難しさはありましたか?


「基本羽根が大きいとダウンフォースがより効くが、切り返しが重くなり、風の影響を受けやすいというネガティブな部分が出てしまう。なので適正な大きさと位置を探すのが難しいが、一番バランスがとれたのが現状のものです」

— 効果は?


「コーナー中のダウンフォースが効きマシンの安定性が増し、加速時にはウィリーを抑えてくれる。今までウィリーの制御を考えパワーを出さないようにしていたがよりパワーを出せるようになり、ポテンシャルを最大限引き出せる状態になったと思っています」

— 中須賀選手のオーダーで実現したのですか?


「効果はMotoGPでも証明されているし、戦闘力を上げるために取り入れたかった。全日本のレギュレーションではエンジンを改良出来るわけでもなく、外観的なところで出来るのが、このウィングレット。武器になるのではと要望は出していました。去年のワールドスーパーバイク(WSBK)で途中から導入されています。結果は振るわなかったですが、効果は絶対にあるので、それを国内で証明できるようにしたい」

— 具体的な効果は?


「実走としてはテストコースを結構な距離走っていますよ。制御のバランスが変わるので、データ取りをしっかりやってきている。開幕からポテンシャル発揮できるんじゃないかなと思っています」

— 感触が良いということですが、タイムが上がっているということですか?


「テストをしている感触はとても良いがタイムが飛躍的に上がるというのはないです。コンマ5秒短縮できるパーツはないので、ひとつのコーナーでコンマ1秒詰めることが出来たらという戦い。トータルでのアベレージを削っていく。20周のレースでは、コンマ1秒が、最大2秒となる。レースにおいて2秒はすごい数字なので、そこを目指しています」

#中須賀克行
#中須賀克行

— 昨年のドゥカティワークスマシンに続き、BMWもワークス仕様のマシンで参戦とライバルが増えることになります。


「ホンダも戦闘力を上げてくるはずだし、そういった意味では面白いレースが展開されると思う。ファンの皆さんにとってはエキサイティングな戦いを見ることができるし、自分も争うことによってレベルアップできると思います。全日本のレベルも上がって行くことになる。その中で自分が中心にいて引っ張れるように戦いたい。それだけの準備をしてきているので。去年はランキング2位で終わって悔しい思いをしている。そういった時の自分は強くなれていることを今までも証明してきているので再現できるようにと思う」

— 鈴鹿8耐にも参戦が決まりました。


「昨年の契約更新の時に聞きましたが、自分がライダーとして選ばれるとは思わなかった。年齢的なことを考えると自分が候補だとはすぐには思えなかった。ですが、選ばれたことは誇らしいことですし、それに応えたい。やはりファクトリー参戦である以上、勝たなければと思います」

— 選ばれるとは思わなかったのですか?


「もちろんその自分がその中心になれればいいなとは思いますが、自分が何スティントを担当するのかなど計算をして、その役割を果たすことが出来るのかと自問自答しました。6年のブランクがあるし、手放しでは喜べないほど過酷な戦いです。それが正直な気持ちでした」

— でも受けた。


「中須賀克行を採用しますって聞いた時に、やっぱりその気が引き締まりましたね。年齢にかかわらずに、期待を持って預けてくれる。弱音をはかずにやらなければと思いました。その期待に応えるべく中心となって、引っ張っていけるようにしたい。全日本でしっかりベースマシンを造り、誰が来ても乗れるようにしたい。そこに対する自信はあります」

#中須賀克行

— 誰と組みたいですか?


「自分が開発したマシンをMotoGP、WSBKライダーたちがどう評価してくれるのかは、とても興味があるし、どう乗るのかが知りたい。なので、いろんなライダーと組みたいですし、乗ってほしいですね。強いて言えばジョナサン・レイと組んでみたいですね。8耐の経験もありますし、チームワークという部分でもキャパが広いと思うので」

— 2019年鈴鹿8耐はトップでチェッカーを受けましたが、レギュレーションの解釈の違いでカワサキ勝利と覆りました。


「2019年に置いてきた忘れ物をしっかり取りに行きたいなと思っています。ヤマハレース活動70年目にふさわしい結果が残せればなと思います。けど、結果ばかりを追い求めていると足をすくわれるので地固めをしっかりやっていきたいなと思います」

— 忙しいシーズンになりますね。


「まずは全日本ロード開幕戦を決めなければですね」

 全日本ロードレースは4月20に栃木県のモビリティリゾートもてぎで開幕戦を迎える。
(文・写真:佐藤洋美、写真提供:ヤマハ)


2025/03/31掲載