全日本ロードレース選手権に参戦する日本郵便ホンダレーシングの体制発表会が行われた。昨年に引き続きST600クラスに小山知良、大和颯、J-GP3クラスに岡崎静夏、若松怜、新たにST1000クラスに西村硝が加わる。
小山は昨年の怪我から手術を受けその復帰シーズンとなる。小山は「怪我の回復は順調に進んでいますが、主治医と相談しながら慎重に復帰の時期を考えたい。ST600の開幕戦となる5月のSUGO大会には間に合わせるようにしたい」と語った。大和は「継続参戦出来ることを感謝します。昨年は思うような結果とはなりませんでしたが、今年は上位進出が出来るようにと思います」と挨拶した。
J-GP3クラスの岡崎は昨年初表彰台を獲得しランキングも女性ライダーとして最高位となる4位と飛躍した。今季から日本郵便のマスコットであるポスクマをマシンのカラーリングに取り入れることを発表した。岡崎は「以前から願っていたので本当に嬉しい。今年は昨年以上の走りが出来るようにします」と笑顔を見せた。昨年はタイトル争いをしながらも、届かずに悔しい思いをした若松怜は「今年こそチャンピオン獲得を」と誓う。
昨年はアジアロードレース選手権参戦を中心とした活動をしていた西村は「まだ、今季のマシンには乗っていませんが、戦闘力の高いマシンであることは、これまでの結果で分かっているので、早く自分のものにしてトップ争いが出来るようにしたい」と語った。
西村起用の理由を手島雄介監督は「西村選手と最終戦鈴鹿で話をした時に、我々チームを応援に日本郵便の職員の方々が毎戦来て頂くのですが、その声援に応える活躍がしたいと言いました。同じ志を持つことが出来たことが理由」と語った。
地域おこしの一環としてバイク教室の開催や災害体験などのイベント活動、また、安全講話で全国の郵便局を回り、交通事故0運動を目指している活動報告が行われた。
チーム代表として若松が能登半島地域で勤務する日本郵便の社員に向けた手紙を朗読した。
「日本海側を中心に寒波が訪れ積雪で交通の便が滞っていないことを願っています。前回、訪問させて頂いた11月から月日が経ちました。
私たちはレースで勝利に向かって走ります。レースの中では、ミスや思どおりにバトルが行えないこともありますが、それでも最終的に誰よりも早くチェッカーを受けることができるように。最後まで自分を信じ仲間を信じて走ります。
震災直後、がれきの街中を走り続けた皆さん、今も復興とはほど遠い中、毎日配達を行っていると聞いています。皆様の強い使命感は、きっとその先に誰かがいる明るい未来があると信じ続けているから生まれたのではないかと察します。
私たちの生活インフラを支え続けていただいている皆様に、モータースポーツの世界から明るいニュースを届けられるよう、そして、震災を風化させないように、皆様の思いを背負い、2025年シーズンを走り続けます」と語った。
最後に手島監督は「昨年の1月に震災が起き、当たり前に使えるものが使えないっていう経験をされた方々の状況を聞き、当たり前のすごさというものを感じることになりました。サーキットには、本当に多くの日本郵便の社員さんが集まっていただきました。この人たちと信じ合うということがどれだけ重いのかということを、去年1年間、実感させていただきました。
人が夢を見てチャレンジしたときには当然苦難があります。でも、信じる力があればと一歩踏み出せる。信じる力を持って笑顔がいっぱい生まれる瞬間を作ることが僕らの1つの役割だと思います。ここにいらっしゃる皆様、ファンの皆様、この会見を視聴して下さっている1人1人が何かちょっと信じてみたいと思い、行動し、そこで発揮される力が素晴らしい瞬間を生むのだと思います。2025年皆様のサポートを受けワンチームで花咲くよう祈念して私の最後の挨拶とさせて頂きます」と語った。
日本郵便レーシング参戦レースは5月25日(決勝)の第2戦SUGOとなる。
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(文・写真:佐藤洋美)