Facebookページ
Twitter
Youtube

名車図鑑



THE444RR・4ストローク・4気筒・400cc・レーサーレプリカの時代 Vol.1 


ごっこは子どもを夢中にさせる。
動くもの、乗り物、速い物……それを操る男たちは、憧れの人そのものだ。
真似をしてみたい。あの人に近づきたい。あの人のマシンに乗りたい。無垢で、無邪気な子どもの遊び心が、サーキットの壁を取り払った。
レーサーレプリカ、公道認可レーサー。なんて素敵な響きだろうか。GSXーRを初めて見た日を覚えている。信じ難い前傾とカウルのスタイリング、アルミ骨格の鈍い輝き。新素材をこれでもかと使った全貌が壁のむこうから広場に躍り出た日だった。
本当に乗っていいんだろうか? ときめきよりも、後ろめたさが前に出た。素直な気持ちだった。やがて「R」というキーワードは、時代のシンボルになる。追随するRを超えるRの名のもとの新勢力たち。壁を壊した憧れの体現車たちは、たたみかけるようにボクらの話題の中心になった。
牽引する作り手たち、レーサーたちの一挙手一投足に日常のエナジーがあった。21世紀も10年以上を経て、バイクを取り巻く意識と環境は激変した。退屈は閉塞を生み、ネガティブは膠着をよしとする。ありし日のよすがを偲ぶ者だけが、公道認可レーサーに目をとめる。
時代に逆行なんて、していない。スピードはバイクの真髄だ。前のめりで、スロットルを開ければ、ごっこの遊び心が蘇る。光り輝いていたあの人、マシンのカラーが無邪気を取り戻す。追いかけてくるのは元気だ。
いみじくも2010年、あの頃に生まれた千葉の青年が、世界タイトルをとった。きわめて昭和な両親の悲願は達した。そしてもうひとつだ……気運はある。ここらで風を変えなければ、みな力尽きてしまう。壁を取り払って欲しい。かつての400レプリカが、そうであったように。
THE444RR レーサーレプリカ前史
HONDA VF
1982年12月 VF400F(NC13)
VF400F キャンディブルゴーニュレッド×パールシェルホワイト
VF400F キャンディブルゴーニュレッド×パールシェルホワイト

カワサキZ400FX、ヤマハXJ400、スズキGSX400Fと3メーカーが先行した第一世代の空冷400インラインフォア。最後発となったホンダは1981年、全身ハイメカを盛り込んだCBX400Fを投入し見事に雪辱を果たした。そのわずか1年後、追撃の手を休めることなく投入されたニューモデルがVF400Fである。750と同時開発された400、4気筒クラス初となる水冷エンジンは、8バルブ、楕円ピストンのワークスレーサーNR500のノウハウを投入した90度V型4気筒。V4エンジンもフロント16インチももちろんクラス初のニューメカニズムであり、クラス最強の53psで登場するや鈴鹿4時間耐久レースなどサーキットでも活躍。ニューフェイスのV4は、高性能、ハイメカニズムに渇望していた400少年達のハートをがっちりと掴むことに成功した。モデルチェンジのサイクルが早まりつつあった当時、カラーリングを含め一度もモデルチェンジすることなく、VFR400にスイッチするまで2年以上販売され続けたことからも、その人気とポテンシャルがわかるだろう。唯一のバリエーションモデルとなったのが、フルカウルのVF400Fインテグラ。インボードディスクではなく穴あきタイプのディスクブレーキを装着していた。

VF400F キャンディアリューシャンブルー×パールシェルホワイト
VF400F キャンディアリューシャンブルー×パールシェルホワイト
VF400F ブラック×パールシェルホワイト
VF400F ブラック×パールシェルホワイト
●エンジン︰水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰55×42mm ●最高出力︰53PS/11500rpm ●最大トルク︰3.5kg-m/9500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2060×750×1160㎜●軸距離:1415㎜ ●燃料タンク容量︰17ℓ ●乾燥重量︰173kg ●タイヤ前・後︰100/90-16・110/90-18 ●車体色:キャンディブルゴーニュレッド×パールシェルホワイト、キャンディアリューシャンブルー×パールシェルホワイト、ブラック×パールシェルホワイト ●発売当時価格︰528000円 
1984年1月 VF400F INTEGRA(NC13)
VF400F INTEGRA ネプチューンプルー×シャスタホワイト
VF400F INTEGRA ネプチューンプルー×シャスタホワイト
VF400F INTEGRA ファイティングレッド×シャスタホワイト
VF400F INTEGRA ファイティングレッド×シャスタホワイト
●エンジン︰水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰55×42mm ●最高出力︰53PS/11500rpm ●最大トルク︰3.5kg-m/9500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2055×730×1195●軸距離:1405㎜ ●燃料タンク容量︰17ℓ ●乾燥重量︰177kg ●タイヤ前・後︰100/90-16・110/90-18 ●車体色:ネプチューンプルー×シャスタホワイト、ファイティングレッド×シャスタホワイト ●発売当時価格︰589000円 
HONDA CBR
1982年12月 VF400F(NC13)
CBR400R シャスタホワイト×ファイティングレッド
CBR400R シャスタホワイト×ファイティングレッド

新世代ホンダインラインフォア第一弾として1981年末に登場したCBX400Fと、1983年その後継機として誕生したCBR400Fは、ハイパワー、ハイメカニズム、そしてなによりカッコがよく大ヒットシリーズとなったが、80年代も半ばを過ぎるとヤマハ、スズキ、カワサキはすでにフルカウル+アルミフレーム+水冷エンジンの本格的なレプリカを発売し、好調にセールを伸ばしていた。対するホンダは1986年にVFをVFRへと進化させ、インラインフォアは新開発のCBR400Rを投入、V4とインラインフォアの2本立てで対抗した。「人とマシンが交互に感じあう」人車一体をコンセプトにしたホンダ初の4気筒水冷400となったCBR400Rは、かつてのGPマシンで培われたカムギアトレーンを採用し軽量コンパクトなエンジンは目の字断面アルミツインチューブフレームに搭載された。それらを包み込むフルカバードボディーは、フルカウルをさらに進化させ、騒音、熱気を遮断し、Cd値を徹底追求し開発された。性能面もコンセプトも破綻のないニューモデルであったが、洗練されすぎたデザインからか、より先鋭化を続けるレプリカ少年、峠小僧の魂を大きく揺さぶることはできなかった。

1986年7月 CBR400R(NC23)
CBR400R シャスタホワイト×ミクロネシアンブルーメタリック
CBR400R シャスタホワイト×ミクロネシアンブルーメタリック(1986年9月下旬発売)
CBR400R ミディアムグレーメタリック×グラニットブルーメタリック
CBR400R ミディアムグレーメタリック×グラニットブルーメタリック(1987年5月下旬追加)
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰55×42mm ●最高出力︰59PS/12500rpm ●最大トルク︰3.8kg-m/10000rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2015×685×1095㎜●軸距離:1380㎜ ●燃料タンク容量︰16ℓ ●乾燥重量︰165kg ●タイヤ前・後︰100/80-17・130/70-18 ●車体色:シャスタホワイト×ファイティングレッド ●発売当時価格︰669000円 
YAMAHA XJ-Z
1983年4月 XJ400Z(33M)

ヤマハ400、4気筒初の水冷エンジンはDOHC4バルブと背面ジェネレーターを採用し、ヤマハらしいコンパクトなエンジンに仕上げられた。登場した1983年4月時点では400、4気筒クラス最強の55ps(58psのCBR400Fは12月登場)で、コンパクトかつ高性能なこのエンジンは、空冷のXJ400から10psものパワーアップを果たし、XJ400にも採用されていた独自の省エネシステムY.I.C.Sも搭載し燃費向上にも貢献している。足周りはヤマハ400、4気筒では初のモノクロスサス、セミエアフロントフォーク、トリプルディスクで強化された。カウルレスで丸目ヘッドライトのZとミニカウル付きのZ-Sの2機種がラインアップされ、カウルの有無だけではなく、Zがメッキのメガホンタイプ、Z-Sはブラック仕上げでスポーティなサイレンサー別体風と差別化もおこなわれていた。本格的なカウルを標準装備したZ-Eも続いてラインナップされたが、スーパースポーツではなく、グランドツーリングスポーツという位置づけでの登場であった。

XJ400Z クオーツシルバー
XJ400Z クオーツシルバー

XJ400Z スーパーレッド
XJ400Z スーパーレッド
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC2バルブ ●総排気量︰347cc ●内径×行程︰54×43.6mm ●最高出力︰55PS/11500rpm ●最大トルク︰3.5kg-m/10000rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高︰2100×725×1115㎜ ●軸距離:1420㎜ ●燃料タンク容量︰19ℓ ●乾燥重量︰177kg ●タイヤ前・後︰90/90-18・110/90-18 ●車体色:クオーツシルバー、スーパーレッド ●発売当時価格︰515000円
1983年4月 XJ400Z-S(35J)
XJ400Z-S スーパーレッド
XJ400Z-S スーパーレッド
XJ400Z-S ニューヤマハブラック
XJ400Z-S ニューヤマハブラック
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC2バルブ ●総排気量︰347cc ●内径×行程︰54×43.6mm ●最高出力︰55PS/11500rpm ●最大トルク︰3.5kg-m/10000rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高︰2100×725×1235㎜ ●軸距離:1420㎜ ●燃料タンク容量︰19ℓ ●乾燥重量︰179kg ●タイヤ前・後︰90/90-18・110/90-18 ●車体色:ニューヤマハブラック、スーパーレッド ●発売当時価格︰538000円
1983年4月 XJ400Z-E(53U)
XJ400Z-E シルキーホワイト
XJ400Z-E シルキーホワイト
XJ400Z-E クオーツシルバー
XJ400Z-E クオーツシルバー
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC2バルブ ●総排気量︰347cc ●内径×行程︰54×43.6mm ●最高出力︰55PS/11500rpm ●最大トルク︰3.5kg-m/10000rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高︰2100×725×1245㎜ ●軸距離:1420㎜ ●燃料タンク容量︰19ℓ ●乾燥重量︰180kg ●タイヤ前・後︰90/90-18・110/90-18 ●車体色:シルキーホワイト、シルキーホワイト ●発売当時価格︰565000円
SUZUKI GSX-FW
1983年4月 GSX400FW(GK71A)

400、4気筒クラスで初の4バルブエンジンを前作のGSX400Fで採用したスズキの水冷第一弾は、250クラスの量産車としては初のDOHC4気筒モデルとして話題となったGS250FWの兄貴分にあたるGSX400FWである。K-701と名付けられたニューエンジンは、GSXの名称が示すように4バルブ(当時のスズキ4ストスポーツモデルは2バルブをGS、4バルブがGSXと使い分けていた)で、スズキお得意のTSCC(2渦流燃焼室)を採用し高性能と好燃費を両立、2バレルキャブレターなどによりエンジン単体で65㎏という軽量化も達成している。フロント16インチに、これもスズキの当時の象徴でもあるANDF(アンチノーズダイブフォーク)をダブルで装着、角と丸パイプを組み合わせたL-BOXフレーム(アルミに見えるがスチール)、リアサスはRCPL(リモートコントロールプリロード)付きのフルフローターサスなどのニューテクノロジーを多数搭載し、ハーフフェアリングとミニフェアリングの2バージョンが設定された。登場時の最高出力は50pで、当時としては高出力であったが、同月登場のXJ400Z(55ps)、年末のCBR400F(58ps)と急激なハイパワー化に対応するため、1984年6月、バルブの大径化(IN19→22㎜、OUT17→18㎜)、吸排通路形状変更、ヘッド形状の真円化によるハイコンプ化等(というよりも3月に誕生したGSX-Rのエンジンを搭載したと言ったほうが正解)により9psものパワーアップを行なったが、時代の主役はすでにレーサーレプリカに移行しており、次世代ニューモデルの誕生が急がれていた。この後期型をベースとした教習車仕様も製作されている。

GSX400FWハーフフェアリング仕様
ハーフフェアリング仕様は写真のブラック・レッドツートンの他、レッド・ホワイトツートンもラインナップ。559,000円。
GSX400FWミニフェアリング仕様
ミニフェアリング仕様は写真のスペースブラックと、キャンディー・ジプシーレッドの2パターン。515,000円。
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰398cc ●内径×行程︰53×45.2㎜ ●最高出力︰50PS/10500rpm ●最大トルク︰3.6kg-m/8500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2110×745<735>×1180<1230>㎜●軸距離:1435㎜ ●燃料タンク容量︰17ℓ ●乾燥重量︰177<178>kg ●タイヤ前・後︰100/90-16・110/90-18 ●車体色:スペースブラック、キャンディー・ジプシーレッド ●発売当時価格︰515000<559000>円 < >はハーフフェアリング仕様
1986年6月 GSX400FW(GK71A)

最終型は外装系に変更はないものの、大幅にパワーアップしGSX-Rに引き継がれることになる新型エンジンを搭載して登場。写真のパールシャイニーホワイトの他にスペースブラックも設定された。

GSX400FW パールシャイニーホワイト
GSX400FW パールシャイニーホワイト
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰398cc ●内径×行程︰53×45.2㎜ ●最高出力︰59PS/11500rpm ●最大トルク︰4.0㎏-m/9000rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2110×735×1215㎜●軸距離:1435㎜ ●燃料タンク容量︰17ℓ ●乾燥重量︰178kg ●タイヤ前・後︰100/90-16・110/90-18 ●車体色:パールシャイニーホワイト、スペースブラック ●発売当時価格︰566000円 
Kawasaki GPZ-R
1985年2月 GPZ400R(D1)

ヨンフォア亡き後1979年にZ400FX(43ps)を投入し、400、4気筒クラスをリードしたカワサキは、1982年Z400GP(48ps)、1983年GPz400(51ps)、GPz400F(54ps)と空冷エンジンのパワーアップで対応し続けた。待望の水冷エンジンは、1985年のGPZ400Rから投入された。4メーカー最後発となった水冷エンジンの400、4気筒モデルだけにすべてが新設計の意欲作であった。フラッグシップのGPZ900Rを思わせるようなスタイリングは、cda値0.29以下のエアロフォルム。イコライズドセミエアフロントフォークにはアジャスタブルアンチダイブ機構(AVDS)をダブルで装着、リアはZ400GP以降定評ある1本サスのユニトラック。アルミ角パイプのアルミクロスフレームに搭載される新設計エンジンは、ライバル他車と同等の59psだが、他メーカーのレーサーレプリカ(この当時カワサキはレースに参戦しておらず、レプリカの元となるレーサーがないのだから、GPZ400Rはレーサーレプリカではないと言われた)とは異なり、あえて中低速を重視したセッティングがなされ、普段使いの渋滞路や市街地でも扱いやすいことからさらに人気が広がり、発売直後からベストセラーを記録した。

GPZ400R エボニー×ファイアクラッカーレッド
GPZ400R エボニー×ファイアクラッカーレッド
GPZ400R ファイアクラッカーレッド×パールアルペンホワイト
GPZ400R ファイアクラッカーレッド×パールアルペンホワイト
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰398cc ●内径×行程︰56×40.4㎜ ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰3.6kg-m/10500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2095×675×1180㎜●軸距離:1430㎜ ●燃料タンク容量︰18ℓ ●乾燥重量︰176kg ●タイヤ前・後︰100/90-16・130/90-16 ●車体色:エボニー×ファイアクラッカーレッド、ファイアクラッカーレッド×パールアルペンホワイト ●発売当時価格︰629000円 
1986年1月 GPZ400R(D2)

カラー変更とNinjaのロゴが新たに書き加えられた。価格は1万円アップ。

GPZ400R エボニー×ファイヤークラッカーレッド
GPZ400R エボニー×ファイヤークラッカーレッド
GPZ400R ポーレアホワイト×サンビームレッド
GPZ400R ポーレアホワイト×サンビームレッド
1986年9月 GPZ400RLIMITED(D2)

販売累計3万台突破を記念しD2にエボニー×パールコスミックグレーの特別色を施したリミテッドエディションを1000台限定で発売。カワサキ販売店限定500台でライムグリーンも発売された説もあるが、資料が発見出来ず詳細は不明。

GPZ400RLIMITED エボニー×パールコスミックグレー
GPZ400RLIMITED エボニー×パールコスミックグレー
1987年3月 GPZ400R(D3)

フレームまで黒く塗られた新色のエボニーにカラー変更。

GPZ400Rエボニー
GPZ400R エボニー
1987年5月 GPZ400R(D3A)

初代ニンジャをイメージしたキャンディパーシモンレッド×メタリックグレーストーンを追加。

GPZ400R キャンディパーシモンレッド×メタリックグレーストーン
GPZ400R キャンディパーシモンレッド×メタリックグレーストーン
1989年2月 GPZ400R (D4)

GPX400R用のエンジンパーツを流用しフリクションロスや騒音の低減がされ、AVDSの電子化、フロントブレーキディスクの大径化、2ポッドキャリパーの採用など熟成化。主要諸元は乾燥重量が181㎏に増加。

GPZ400R エボニー
GPZ400R エボニー
GPZ400R エボニー×ファイアクラッカーレッド
GPZ400R エボニー×ファイアクラッカーレッド
Kawasaki GPX
1987年2月 GPX400R

登場からわずか1年で3万台を越える好調なセールスのGPZ400Rに続くレプリカではないレプリカの第二弾は、GPZ400Rの思想をもう一歩進めた「モーターサイクルは乗りやすさをもっとも重視すべきだ」がコンセプト。フルカバードボディはCda値0.28の優れた空力特性が自慢のフラッシュサーフェイス化されたもので、熱気を強制的に排出するダクトを設けエンジン熱の遮断も実現した。エンジンはGPZ400Rをベースとしながらもピストン、ピストンピン、コンロッドの形状や材質、工法の変更により軽量化を達成している。最大のポイントはフレーム。アルミフレームにあらずんばスーパースポーツにあらず的な絶対思想が主流にも関わらず、あえてスチールの丸パイプを使用した卵形形状で、リアフレームのみアルミ角パイプを使用した軽量、高剛性、低コストを狙ったFAST(Feather weight Alloy&Steel Technology)フレームを採用した。コンセプトも性能も間違っていなかったはずだが、CBR400Rと同様、時代の趨勢の前に理解を得ることは難しかった。

GPX400R パールクスミックグレー
GPX400R パールクスミックグレー
GPX400R パールアルペンホワイト
GPX400R パールアルペンホワイト
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰398cc ●内径×行程︰56×40.4mm ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰3.6㎏-m/10500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高︰2105×690×1155㎜ ●軸距離︰1415mm ●燃料タンク容量︰18ℓ ●乾燥重量︰174kg ●タイヤ前・後︰100/90-16・130/90-16 ●車体色:パールクスミックグレー、パールアルペンホワイト ●発売当時価格︰629000円 
1987年6月 GPX400R(E2)

ニンジャをイメージしたエボニー×パールコスミックグレーを追加。価格は659000円に。

GPX400R エボニー×パールコスミックグレー
GPX400R エボニー×パールコスミックグレー

[その2 VFR編]

2015/09/25掲載