7月21日(日)、Hondaウエルカムプラザ青山で、恒例の鈴鹿8耐フェス パブリックビューイング(PV)が開催されました。
この8耐PVの始まりは、1986年に日本初の衛星生中継イベントとしてスタートしてから、今年で39年目を迎えます(2020年、2021年はコロナ禍により鈴鹿8耐が中止のため、青山でのPVも中止)。
ホンダ青山ビルは、2025年の春から立替工事に入るため、現状のHondaウエルカムプラザ青山としては最後の8耐PVになります。
また、ロードレース専門誌「ライディングスポーツ」の協力により、1982年の創刊号からホンダチームが優勝した年のバックナンバーを一堂に展示していました。そして、鈴鹿8耐を走った耐久ロードレースマシンの特別展示もファンにはたまらない存在です。
ステージでは、特別プログラムが組まれました。ゲストに、2003年の鈴鹿8耐でチーム桜井ホンダからVTR1000SPWで出場し見事優勝した生見友希雄さん、月刊オートバイ編集長の松下ひさしさん。そしてゲスト兼MCとしてモータージャーナリストの今井優杏さんが出演されました。
スタート30分前の11時に始まったオープニングイベントでは、ホンダスマイルの進行で3名のゲストの皆さんが最新情報に加え、8耐の魅力や見どころを紹介して盛り上げました。
そして、11時30分にルマン式スタートによって、第45回鈴鹿8時間耐久レースがスタートしました。プラザでもカウントダウンをしながら全ライダーの健闘を祈りました。
2階のロビーには、大型モニター2基とライブタイミングモニター1基を設置して、レースをじっくり見ていただくゾーンとしていました。
レースは、ゼッケン30番のTeam HRC with 日本郵便が序盤でトップを奪ってからは、常にトップを維持し続けています。ライダー交替のピット作業も完璧なチームワークを見せて、盤石な体制に見えます。しかし、鈴鹿8耐には予期せぬトラブルがありますから、油断はできません。15時、ゼッケン30番は依然トップを快走中。
ステージでは青山PVイベントに関するクイズ大会がありました。1986年にスタートした39年の歴史があるイベントにふさわしいクイズが用意されました。
プラザには、歴代耐久マシン3台を特別展示。V型4気筒、V型2気筒、直列4気筒の3種類のエンジン形式のマシンを一堂に見られる希少な機会です。これらのマシンを見ていると、あっという間に時間が過ぎていきます。VTRとCBRは、8耐優勝マシンです。
スタートから6時間30分が経過しました。青山も夕暮れを迎えようとしています。レースのほうは、Team HRCが2位に1分ほどの差をつけて、トップを維持しています。残り1時間30分の勝負です。
午後7時10分、ステージではエンディングイベントがスタートしました。Team HRC with 日本郵便は、2位に50秒以上の差をつけています。よほどのアクシデントが無い限り優勝するのは当然といった雰囲気になりました。後はチェッカーを待つだけです。
ところが、ゴール5分前にトップチームに40秒のペナルティが課せられたとの実況に、プラザ内には緊張が走りました。詳しい状況は分かりませんが、計算上では10秒くらいの差で優勝できますが、もはやゴールするまでは予断を許しません。
スタートしてから8時間が経過。トップを維持したまま高橋巧選手が見事にチェッカーを受けました。
ゴール後の映像を見ながらのエンディングは、ゲストの方々と一緒になって優勝を祝いました。
39年の歴史に一旦幕を降ろす青山8耐フェスは、ホンダ3連覇、30勝目、高橋巧選手の最多優勝6勝目、最多周回数220周という記録づくめで有終の美を飾りました。39年という歴史の中では、バブルの崩壊やリーマンショックなど様々な危機的状況を経験しましたが、勝っても負けてもモータースポーツの素晴らしさを伝えてきた関係者の方々に感謝いたします。
【会場の展示に見る鈴鹿8耐青山PVの足跡】
1982年のライディングスポーツ誌創刊号から、鈴鹿8耐でホンダが優勝した年の特集号を一堂に展示。各号の下には、優勝ライダー名とマシン名が記載され、表紙から熱戦の様子が伝わってきます。創刊500号の最新刊は、来場者が手に取って見られるようにしていました。
1986年に日本で初めて鈴鹿8耐の衛星生中継を行ったときは、ホンダウエルカムプラザ青山と多摩テックの2か所だけでした。鈴鹿の興奮を青山でも体感して欲しいという願いを込めて、モータースポーツファンの拡大を目指したのです。
地下駐車場は、この日に限って二輪車で来場される方だけが利用できます。これは、1986年から続くサービスで、バイクに乗って鈴鹿8耐を観に行きたいという、二輪ライダーの期待に応えたものです。もちろん、メーカーを問わない姿勢は続いていました。私もスーパーカブで来場し利用させていただきました。バイクライダーにとっては特権ですね。
(レポート:高山正之)