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試乗・解説

■試乗・文:ノア セレン ■撮影:渕本智信 
■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor// 
■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html Alpinestars https://www.okada-ridemoto.com/brand/Alpinestars/


梅雨も明けて暑い夏がやってきた! いざツーリングシーズン……だがいくらなんでも暑すぎやしないか!? 熱中症アラートが出る中、それでもバイクに乗りたいマニアなあなたにお薦めしたいのが「カブ」だ。

暑い! 暑い!! 暑い!!! 熱い! 熱い!! 熱い!!!

 夏は暑く冬は寒い日本は、果たしてライダーにとっては良い環境なのだろうか?? なんて思ってしまう。春先と秋口は絶好のツーリングシーズンではあるものの、冬は完全防寒&グリップヒーターなしではなかなかキビシイし、そしてこの暑い夏となるともはや命の危険を感じるレベル……。
 そんな中、発熱量の多い大排気量バイクに乗るのは、まぁ、なかなか厳しいというのが現実だろう。標高の高いツーリングスポットに出かけられればいいが、その行き来でまかり間違って渋滞にでもハマってしまったらまさに灼熱地獄だ。
 それでもバイクに乗りたい。爽快な風を感じたい。そんなあなたに薦めるのは小排気量車だ。排気量が少なければやはり発熱量も少なく、おかげで比較的気軽に付き合える。そして小排気量代表と言えば……やっぱりカブでしょう!

#CG110

カブシリーズのベストバランス??
「クロスカブ」がオススメ

 カブと言えば今やハンターカブが飛ぶ鳥落とす勢い。125ccユニットの持つトルクの余裕やしっかりとしたフロントフォークなど走りの部分での妥協はないし、かつてのバイクファンから今の若者ライダーにも満遍なく刺さるスタイリングがその人気の理由だろう。
 ただ忘れないでほしいのがこちら、クロスカブなのだ。クロスカブはハンターカブよりも11kg軽く、シートは16mm低く、価格は7万7000円安い……というのはスペックから読み取れる違い≒魅力なのだが、これに加えて前後キャストホイールになってチューブレスタイヤだし、スタンダードカブのようにチェーンカバーがついているためクリーンだし、そしてダウンマフラー仕様というのもこの暑い季節にプラスに働く要素。ハンターカブほどのアイキャッチはないかもしれないが、絶妙な「ちょうど良さ」を持っているのがクロスカブなのだ。

#CG110

趣味に実用に、クロスオーバー

 クロスカブというネーミングはそもそも、趣味と日常のクロスオーバーという意図があった。だからこそ先述したチェーンケースがちゃんとついているのだろう。見た目は趣味心をくすぐるが、実用性に抜かりなし! という本来の「カブらしさ」を備えているのは確かな魅力だ。
 そしてキャストホイール化されてからはその実用性の部分がさらに高まったと言えるだろう。なにせチューブレスタイヤなのだ。パンクの可能性が大幅に少なくなったし、例えパンクしたとしてもガソリンスタンドなどで修理してもらえる可能性もかなり高まった。
 加えてディスクブレーキの採用も大歓迎したい部分。かつてのドラムブレーキでもリアブレーキを併用すればそれなりの減速力は得られてはいたものの、ディスクを知ってしまうと安心感は絶大。特に110ccともなればなまじ速度も出るため、現代の交通環境を考えるとディスクブレーキの採用は大正解だろう。それでいてハンターカブのように前後ディスクにすることなくリアはドラムとしたあたりもニクイ。ドラムブレーキは経済性が高く、そういう意味でもクロスカブは「実用性をしっかり確保してますよ」というメッセージを感じるのだ。

#CG110

乗って幸せ。ナイスバランス

 ハンターカブとクロスカブの比較記事は世にたくさん出回っているだろうが、簡単に言えば車体も110ccエンジンも軽やかなクロスカブに対して、重厚車体&125ccエンジンで頼もしいハンターカブ、といった住み分けに思う。乗った時の感覚は好みによって分かれるだろうが、個人的にはクロスカブのバランスを推したい。
 というのも、クロスカブの車体の軽さは確かな魅力であり「カブらしい」気軽さは確実に上だ。スイッと乗ってトタタッと走り出すさまは本当に気軽で、よく言えばナチュラル、意地悪な言い方をすればハンターのような個性は薄めとも言えるかもしれない。走っていると車体のバランスもクロスカブの魅力。ハンターは巨大なリアキャリアこそがアイデンティティではあるものの、それゆえにかなりリアヘビーな感覚があるのに対して、クロスカブは前後の重量配分がより自然な感覚がある。特に今回はディスクブレーキが装着されたことで、前後のピッチングモーションを使ったスポーティな走りも作り出しやすく、趣味心もさらに刺激してくれるようになったと思う。
 110ccエンジンは125cc版に比べればトルクでは譲るものの、静かで軽やかに回るという魅力もある。排気量が少ない分、特にこの季節は発熱量も少ないことだろう。良い意味で脇役に徹してくれるエンジンというのもまた「カブらしい」と感じさせる。

#CG110

オベント持って、どこ行こうかな!

「この暑い中、バイクに乗るの~??」となってしまいがちなこの季節。クロスカブならきっと「ちょっとそこまで」と思えるはず。本気のロングツーリングに行こうと思ったら、高速に乗れない車両区分としても、そして110ccというパワーの面からも、数日間をしっかり確保して臨みたいだろうが、でもクロスカブならお気軽な半日下道ツーリングでも十分楽しめるはずだ。
 保冷バッグにお弁当と飲み物を入れて、十分なサイズのキャリアにくくりつけて、さぁ出発! 暑さに負けるなライダー達よ! カブが楽しませてくれるぞ!
(試乗・文:ノア セレン、撮影:渕本智信)

#CG110

#CG110
#CG110
特にこのカラーによってか、アウトドア感や趣味ゴコロを刺激されるが、実はスタンダードカブによく似た構成であり、誰にでも親しみやすいのがクロスカブ。シートやキャリア、フォークの構成やチェーンケースの採用など、間違いなく究極の実用車である「カブ」の仲間だ。なお沈み込むシートやサスペンションのおかげで足着きは良好だし、不安があるのならば停車時にシートの前に尻を落とせばいいだけのこと。軽量な車体と合わせて、足着きや取り回しに不安はないだろう。

#エンジン
#エンジン
ロングストローク化されたエンジンは振動もメカニカルノイズも少なく極スムーズ。カブらしく、いい意味で脇役に徹してくれるエンジンだ。なおファイナルレシオはハンターカブよりもショートで、峠道は意外とキビキビ走る。

#エンジン
#エンジン
ハンターカブではフォークがトップブリッヂまで伸びている作りなのに対し、クロスカブはスタンダードカブやスクーターのようにボトムブリッヂで終わっているタイプ。ハンドリングには何も不安はないうえ、副産物としてヘッドライト周りがフレームマウントされ、さらにその上に小さなキャリアが装備されている。キャンプツーリングなど重積載時はここに荷物を分散させれば前後バランスを取りやすいだろう。

#フロント
パンクの不安が大幅に減らされたキャストホイール化&チューブレスタイヤ化は大歓迎したい部分。ディスクブレーキの採用は止まれる安心感が増えただけでなく、より積極的に車体を操らせてくれるという側面も。実はワインディングが楽しいのだ。
#マフラー
シンプルなアナログメーターの中には液晶があり、燃料計やギアポジション、時計などを表示。ロータリー式ミッションのカブこそギアポジションインジケーターは嬉しい!

#フロント
フロントにはディスクを装備したが、リアは経済性に優れるドラムを継承したというのがカブらしい設計。またクロスカブはチェーンケースも標準装備されるため、チェーンの保護性能が高いだけでなく安全&クリーンというのも魅力だ。リアサスはベーシックでプリロード調整機能もないが、かといって不安もなかった。
#マフラー
スタンダードカブ同様のダウンタイプのサイレンサーを持つのもクロスカブの特徴。ルックス的には「普通」といった感じだが、タンデム時や荷物の積載時はアップタイプよりもこのダウンタイプの方が安心感が高いし、この暑い季節はサイレンサーという熱い部品はなるべくライダーから遠ざけたいもの。

#エンジン
#エンジン
シートは極快適、キャリアはスタンダードカブと同様の形状をブラック塗装して装着する。ハンターカブはキャリア前方のハンドル部が高く、大柄なライダーだと尾てい骨にあたって痛いのだが、クロスカブはこのハンドル部が低いためこのようなこともない。またキャリアには荷掛けフックが充実していてゴムネットなどがかけやすいのもプラスポイント。

#CG110

#エンジン
#エンジン
バーハンドルとなっていることで、スタンダードカブには着けにくい後付けの機器をつけやすいのも魅力。左右スイッチボックスはシンプルな設計。左はウインカーとホーンの位置が上下逆なのはホンダの定番。いつまで経っても慣れないから本当に元に戻してほしい。なお右側はキルスイッチがないのが惜しい。特にこの暑い季節は自主的にアイドリングストップをしたいから。

#GP
#GP
●Honda CROSS CUB 110 Specification

■エンジン種類:空冷4ストロークOHC単気筒 ■総排気量:109cm3 ■ボア×ストローク:47.0mm×63.1mm ■圧縮比:10.0 ■最高出力:5.99kW(8.0PS)/7500rpm ■最大トルク:8.8N・m(0.90kgf-m)/5500rpm ■全長×全幅×全高:1935×795×1110mm ■軸間距離:1230mm ■シート高:784mm ■車両重量:107kg ■燃料タンク容量:4.1L ■変速機形式:常時嚙合式4段リターン(停車時のみロータリー式) ■タイヤ(前・後):80/90-17・80/90-17 ■ブレーキ(前・後):油圧式ディスク(ABS)・機械式リーディング・トレーリング ■車体色:マットジーンズブルーメタリック、マットアーマードグリーンメタリック、パールディープマッドグレー、グラファイトブラック ■メーカー希望小売価格(消費税込み):363,000円〜


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2024/07/23掲載