Facebookページ
Twitter
Youtube

ニュース

知識隼和、MiniGP初優勝からのダブルウィン!

2024 MiniGPジャパンシリーズ第1戦
茨城県・筑波サーキット コース1000

 2024年、3年目を迎えたMiniGP。シーズンインを前に行われたセレクションには15名枠に20名の応募者が集まる盛況となった。前年度参加の8名は、そのままスライドで参戦権を得て、残り7名を選ぶセレクションが行われた。セレクションには台湾や香港からの遠征組も加わり国際色豊かな戦いとなった。セレクション通過枠の7番手のライダーと8番手のライダーのタイム差はコンマ1秒という接戦となるレベルの高さだった。

 10歳から14歳が参加資格を持つシリーズでは、年齢が上限に達しての卒業などもあり、昨年のランキング上位陣が抜け、新たなチャンピオンが生まれる戦いがスタートした。タイトル候補の最右翼は昨年ランキング2位の#04国立和玖だ。シリーズ上位2名が参加を許される世界戦ファイナルにも参加、今季の目標は「チャンピオンになり、もう一度、世界戦に参戦する」ことだ。

 国立選手は、昨年の筑波サーキットでダブルウィンを飾っており、筑波の速さに定評がある。年5大会、2レース制で戦われるMiniGPの2024年スケジュールでは、筑波戦が開幕と第3戦に組み込まれており、国立優位のシーズンになると見られていた。


 打倒国立に燃えるのは#08知識隼和だ。国立はライダーのスキルの高さもあるが、小柄で体重が軽いことも筑波戦では優位になる。知識は昨年から身長が伸び、さらにダイエットして体重を落とし、顔つきがシャープになって現れた。


 開幕戦は1名のスポット参戦もあり16名のライダーが集結した。予選1回目では、#08知識が37秒677でレース1決勝のポールポジション(PP)を獲得。これに#04国立が37秒717で続き、この2人だけが37秒台に突入した。

 予選2回目では#04国立が37秒503でレース2のPPを獲得。#08知識も37秒583までタイムを縮め2番手につけた。

 レース1決勝。好スタートを切ったのは#09真木來人、それを#08知識、#04国立、#07吉原寅之介、#13若松 汐と続いた。すぐに、#08知識がトップを奪う。#04国立も2番手浮上して、序盤から集団を抜けてトップ争いを見せた。

 #13若松は3番手に上がるがヘアピンで#09真木が接触して転倒。#09真木は再スタートするが、#13若松はそのままリタイアとなった。このアクシデントもあり、トップ争いとセカンド集団には開きが出来た。

 トップ2台は接近戦を見せる。首位に立った#08知識をマークする#04国立との争いは、終盤にかけて激しいバトルへと発展する。1コーナーでは#04国立が前に出ると、翌周には#08知識が仕掛ける。続くヘアピンで#04国立が前に立ち最終ラップに突入する。

 #08知識がヘアピンで前に出ると#04国立を振り切り優勝のチェッカーを受けた。参戦3年目で念願の勝利だった。2位に#04国立となり、3位に単独走行となっていた#07吉原が入った。

 レース2決勝は#04国立がホールショットを奪い、#08知識、#09真木、#07吉原、#13若松が続き5台がトップグループを形成する。だが、#04国立と#08知識が集団を抜け出し一騎打ちとなる。その後方では、#09真木、#07吉原、#13若松が3番手争いを繰り広げる。


 終盤に#04国立がトップに立ち#08知識を突き放そうとするが、#08知識は離れずについて行く。そして、最終ラップの最終コーナーの進入で#08知識が#04国立のインに飛び込み、チェッカー目前で前に出ることに成功した#08知識がレース2も制しダブルウインを飾った。# 04国立は悔しい2位となった。

 3位争いは、#07吉原に仕掛けた#09真木と2台が並んでゴール。モニター上では同タイムのため映像判定となり、#07吉原が3位、4位に#09真木、5位に#13若松となった。



 念願の勝利を飾った知識は「初優勝できてすごくうれしいです。筑波では(#04国立)和玖君が速いのは分かっていたので、とにかく練習しました。レース1はヘアピンで、レース2は最終コーナーでいくことを決めていたので狙い通りの展開。両親を始め、応援してくださったみんなに感謝します」と語った。

 国立対策を「ワクワク作戦」と銘打って、知識家は、時間が出来ると筑波の練習走行に通った。「勝ちたい」という思いに突き動かされて努力する息子を家族が支えた。筑波に一緒に通った母は笑顔を見せ、父は勝利に感涙、表彰台の真ん中に立つ姿を誇らしそうに見つめた。通い続けたことを知る筑波のスタッフも祝福の声をかけていた。


 国立は「悔しい。予選1では2番手でしたが、予選2でポールポジションを獲ることができたので落ち着いて走れば勝てると思っていた。レース1は、仕掛けるタイミングがよくなかったので、レース2では一度前に出してラスト3周で前に出てスパートする予定でした。最終コーナーで来るのは分かっていた。でも、タイヤが厳しくなり抑えることができなかった。次はこの経験を生かす」と誓った。

 国立は語学堪能なクールな男の子だ。その国立が悔し涙を流した。急浮上して来たライバルの存在は、国立の成長を助けることになるのだろう。

 両レースで3位に入った吉原は「レース1は、前の2台が転倒しての3位だけど、レース2は3位争いを制すことができた。でも、前のふたりとは離れてしまったから、もっと差を縮めたい」と語る。


 練習走行では、上位と変わらないタイムを記録している吉原、その速さを決勝で出せるようになれば、トップ争いに絡むのは必至だ。3番手争いを見せた真木や若松の成長も印象に残る戦いとなった。


 このシリーズを主催する中込氏は「シリーズランキングの1位2位と『MiniGP World Final』に出場して、初年度は池上選手が3位、昨年は富樫選手が2位、今年は優勝しかないと思っています」と語った。

 子供たちの夢は「世界」だ。ファイナルで勝利することは、確実に世界への扉を叩くことにつながる。走行後にアドバイザーの長島哲太、尾野弘樹からアドバイスをもらおうと列をつくる子供たちの本気が、この大会のレバルを押し上げて行く。

 次戦、シリーズ第2戦は5月19日(日)埼玉県・MotoUP桶川スポーツランドで開催される。

https://www.minigp.jp/
https://www.youtube.com/watch?v=o7QvTr73haY&t=2s

■FIM MiniGP について
『FIM MiniGP World Series』は、マシンや競技・技術規則など、レギュレーションを統一することで、世界中のヤングライダーに平等なプラットフォームを提供し、『MotoGP』昇進に向けた、スキルアップとチャンスを与えることを目的としています。エントリー可能の年齢は、満10歳から満14歳まで、使用するミニバイクは「Ohvale GP-0 160」、タイヤは『Pirelli(ピレリ)』社、潤滑油は『Motul(モチュール)社』を使用する。

初年度となる、2021年は「アルペ・アドリア、北米、フランス、アイルランド、イタリア、マレーシア、オランダ、ポルトガル、スペイン、イギリス」で開催。2022年は、2021年開催された国に加え、新たに「オーストラリア、オーストリア、インドネシア、カタール、日本」で開催された。

2024/05/07掲載