KAWASAKI Ninja ZX-4R SE 車両解説
2010年8月に発売開始されたカワサキの新ミドル・スポーツ、Ninja 400はスズキのグラディウスなどとともに我が国の「ヨンヒャク」クラスを再び盛り上げるべく、カワサキが放った戦略マシンだった。250クラスのフルカウルスポーツを見事復権させたNinja 250ほどには圧倒的な支持を得るところまでは達していないが、中型クラスの定番マシンとしての地位を着々と築き上げてきたといえるだろう。
ここで、Ninja以降のカワサキの400スポーツの変遷をざっと振り返っておくと、基本的には、一足早く海外向けの2006年モデルとして発売されたER-6nとNinja 650R(ER-6F)の関係と同様で、フルカウルバージョンのNinja 400RとノンカウルバージョンのER-4nをラインナップし、多くのユーザー層をカバーする計画だった。翌2011年9月には、初のイヤーモデルとなる2012年モデルを発売。といってもカラー&グラフィックの変更のみで、価格、諸元に変更は無し。そして2012年10月にもカラー&グラフィック変更のみで2013年モデルへと発展。
そして3年目、2013年12月にフルモデルチェンジが行われ2代目となった。ただ新型となったのはカウルスポーツ版のNinja 400のみで(またNinja 250と同様、車名から“R”の文字が外された)、ノンカウル・バージョンのER-4nは継続販売とされた。
デザインは初代のNinja 400Rのコンセプトを忠実に引き継いでおり、大型の二眼ヘッドライトを装備するフルカウルからテールにかけて“Ninja”一族のアグレッシブなイメージも守りながら、右サイドにオフセットされたモノサスをアクセントとして押し出すなど、旧モデルからの個性的なデザインのDNAを発展させていた。
2015年2月に発売された2015年モデルは、カラー&グラフィックの変更のみで、メタリックスパークブラック×メタリックフラットスパークブラックという黒系と、パールスターダストホワイト×メタリックフラットスパークブラックの白系、2色のラインナップとなった。またそれまで通りライムグリーン系のカラーリングを纏ったSpecial Editionも別途ラインナップしている。
2015年12月に発売された2016年モデルも、カラー&グラフィックの変更のみで、メタリックカーボングレー(GRY)の1色の設定となった。Special Editionも同時に2016年モデルとなっている。2016年10月にされた2017年モデルでも基本構成メカニズムに変更は無く、カラー&グラフィックの変更のみだが、メタリックグラファイトグレー×メタリックスパークブラック(GY1)とキャンディバーントオレンジ×メタリックスパークブラック(OG1)2色の設定となっていた。
2018年2月、弟分のNinja 250と同時デビューしたのが3代目Ninja 400。2代目までの650㏄と共通の車体をベースにした安定志向の“ツーリングモデル”とは対極の“FUN TO RIDE”マシンとして生まれ変わった。Ninja 250と共通ベースの軽量級車体に、398㏄へと排気量を拡大した高出力ツインエンジンを搭載したクラス最高レベルのハイパワー、ライトウェイトマシンへの変身だった。
2018年10月には、その3代目Ninja 400が早くもカラー&グラフィックを変更。新色は、「エボニー×メタリックマグネティックダークグレー」と「キャンディパーシモンレッド×メタリックマグネティックダークグレー」の2色。また同時にKRTエディションも「ライムグリーン×エボニー」のグラフィックのまま2019年モデルとして登場していた。
2019年9月発売のモデルでも、メカニズム、諸元等に変更は無く、カラー&グラフィックの変更のみ。スタンダードのNinja 400が、「メタリックスパークブラック×メタリックマットグラファイトグレー」(BK2)と、「パールブリザードホワイト×メタリックスパークブラック」(WT2)。ライムグリーンカラーの定番仕様となってきたKRT EDITIONが「ライムグリーン×エボニー」(GN1)というラインアップだ。
2020年10月発売のモデルチェンジもカラー&グラフィック変更のみだった。カラーは、「ライムグリーン×エボニー」(GN1)、「パールナイトシェードティール×メタリックスパークブラック」(GN2)、「メタリックスパークブラック」(BK2)の3色。
2021年9月もカラー&グラフィックの変更のみで、「ライムグリーン×エボニー」(GN1)継続)、「メタリックマグネティックダークグレー×メタリックスパークブラック」(GY2)、「メタリックマットトワイライトブルー×メタリックグラファイトグレー」(BU1)の3色のラインナップに。
2022年9月のモデルチェンジも、基本的にはカラー&グラフィックの変更だが、同時に新排出ガス規制適合が行われたのがポイントだろう。
そしてまたもやってくれたのがカワサキだ。あの名車の誉れ高い“ヨンフォア”の血統CBシリーズですら4気筒はあきらめた感のある400スポーツ市場に4気筒スポーツを復活させてくれたのだ。
最大の特徴である水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンは、新開発の399cm3で、400ccクラス量産車初となる57kW(77PS)のパフォーマンスを発揮。
Ninja ZXシリーズからのフィードバックを受けて開発されたこの新エンジンは、クイックでダイレクトなスロットルレスポンスを提供してくれるとともに、街乗りで扱いやすい豊かな低中回転域のトルクと、スポーツライディングやサーキット走行をよりエキサイティングなものにする高回転域の鋭いパワーを両立させた、フレキシブルなエンジン特性も併せ持っている。
この魅力的なエンジンを搭載するのは高張力鋼製軽量トレリスフレーム。
フロントサスペンションには、ø37mmのSFF-BP(セパレートファンクションフロントフォークビッグピストン)を採用。SHOWA製のSFFとBPFのテクノロジーを組み合わせた先進のフロントフォークは、サーキットでのパフォーマンスと日常的な扱いやすさを両立しているという。
リアは、Ninja ZX-10Rと同様のサスペンションレイアウトであるホリゾンタルバックリンクリヤサスペンションで、プログレッシブな特性を提供。スーパースポーツハンドリングに寄与している。
★カワサキ ニュースリリースより (20232年6月20日)
Ninja ZX-4R SE 発売のご案内
- モデル情報
- 車名(通称名) Ninja ZX-4R SE
- マーケットコード ZX400RRFNN
- 型式 8BL-ZX400P
- メーカー希望小売価格 1,122,000円
(本体価格1,020,000円、消費税102,000円) - カラー(カラーコード) メタリックフラットスパークブラック×メタリックマットグラフェンスチールグレー(BK2) キャンディプラズマブルー×メタリックフラットスパークブラック(BU1)
- 発売予定日 2023年7月15日
- ※当モデルは二輪車リサイクル対象車両です。価格には二輪車リサイクル費用が含まれます。
- ※価格には保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う諸費用は含まれません。
- ※当モデルは川崎重工業株式会社の海外工場Kawasaki Motors Enterprise(Thailand) Co.,Ltd(KMT)で日本向けに生産された車両です。
- ※当モデルはABS装着車です。
- ※メーカー希望小売価格は参考価格です。
- 【Ninja ZX-4R SE】
スクリーミング・インラインフォー・パワーの雄叫び、再び。400ccスーパースポーツの頂点に立つNinja ZX-4R SE登場。新設計の399cm3水冷4ストローク並列4気筒エンジンは、最新のテクノロジーが注ぎ込まれ最高出力57kW(77PS)を14,500rpmという回転数で発揮。軽快さとコンパクトネスを追求したフレーム、フロントデュアルディスクブレーキや高性能な前後サスペンションユニットを組み合わせた高次元コンポ―ネントを形成することでスーパースポーツらしい運動性能、ハンドリングを実現しています。また、ハイパフォーマンスと扱いやすさを両立させたパッケージングとしてTFTカラー液晶ディスプレイ、トラクションコントロールとパワーモードを統合したインテグレーテッドライディングモードを装備。初めてのスーパースポーツモデルを探しているライダーから経験豊かなベテランライダーまでNinja ZX-4R SEはそれぞれに最適な1台となるでしょう。
- ■主な特長
- ・最高出力57kW(77PS)を発揮する新設計の399cm3水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒エンジン
- ・クリアかつ迫力のあるエキゾーストノートを実現したロングタイプのサイレンサー
- ・街乗りでの扱いやすさとスポーツライディング走行での優れたパフォーマンスを両立する軽量な高張力鋼トレリスフレームとNinja ZX-4R専用セッティングのSHOWA SFF-BPフロントサスペンション(プリロード調整機構付き)
- ・セミフローティングデュアルディスクによる、強力な制動力と優れたブレーキフィールを発揮するフロントブレーキ
- ・スマートフォン接続でライディングログの取得も可能な、視認性に優れた多機能4.3インチデジタルTFTカラー液状ディスプレイ。
- ・スポーツライディングでのパフォーマンスの強化と安定した車体の挙動維持をサポートするKTRC(カワサキトラクションコントロール)
- ・スムーズな加速とクイックでイージーな減速を実現するアップ/ダウン両対応のオートブリッパー付のKQS(カワサキクイックシフター)
- ・標準装備のスモークウインドシールド、USB電源ソケット、フレームスライダー
主要諸元
車名型式 | 8BL-ZX400P | ||
---|---|---|---|
Ninja ZX-4R SE | |||
発売日 | 2023年7月15日 | ||
全長×全幅×全高(m) | 1.990×0.765×1.110 | ||
軸距(m) | 1.380 | ||
最低地上高(m) | 0.135 | ||
シート高(m) | 0.800 | ||
車両重量(kg) | 190 | ||
乗車定員(人) | 2 | ||
燃費消費率(km/L)※1 | 24.4(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | ||
20.4(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)※3 | |||
最小回転半径(m) | 2.6 | ||
エンジン型式 | – | ||
水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ | |||
総排気量(cm3) | 399 | ||
内径×行程(mm) | 57.0×39.1 | ||
圧縮比 | 12.3 | ||
最高出力(kW[PS]/rpm) | 57[77]/14,500 | 59[80]/14,500(ラムエア加圧時) | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 39[4.0]/13,000 | ||
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置 | ||
始動方式 | セルフ式 | ||
点火方式 | バッテリ&コイル(トランジスタ点火) | ||
潤滑油方式 | ウェットサンプ | ||
潤滑油容量(L) | 3.0 | ||
燃料タンク容量(L) | 15 | ||
クラッチ形式 | 湿式多板 | ||
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | ||
変速比 | 1速 | 2.928 | |
2速 | 2.055 | ||
3速 | 1.619 | ||
4速 | 1.333 | ||
5速 | 1.153 | ||
6速 | 1.037 | ||
減速比1次/2次 | 2.029/3.428 | ||
キャスター(度) | 23.5° | ||
トレール(mm) | 97 | ||
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W | |
後 | 160/60ZR17M/C 69W | ||
ブレーキ形式 | 前 | φ290mm油圧式デュアルディスク | |
後 | φ220mm油圧式シングルディスク | ||
懸架方式 | 前 | テレスコピック式(インナーチューブ径37mm) | |
後 | スイングアーム式(ホリゾンタルバックリンク) | ||
フレーム形式 | トレリス |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。